検索大手バイドゥ、米国で提訴される 中国当局も被告

2011/05/21
更新: 2011/05/21

【大紀元日本5月21日】米国在住の原告団8人は5月18日、中国の最大手検索サイト「Baidu」(バイドゥ百度)を米国の地方裁判所に提訴した。提訴の理由は、同社が情報を検閲・封鎖しているため、原告側の言論自由の権利が侵害されたということ。バイドゥのほか、中国当局も被告である。

米国憲法に違反することを理由に、外国のネット検索サイトを提訴するのは、今回が初の事例であり、欧米メディアの注目の的となっている。

米国各メディアの報道によると、原告らは、「同社は中国当局に協力して、特定の文字を情報検閲の対象と定め、その関連情報を封鎖しており、原告らがインターネットで公開する文章や映像も含まれている」などと指摘した。原告団8人は民主支援者で、中国人であるかは不明だという。

その訴状は、Baiduは米国からでも利用できる事実を取り上げ、この種の情報検閲・封鎖は米国国内での検索結果に影響しているため、米国憲法に違反したと主張している。

情報封鎖を行っている中国で、今までBaiduは情報を政治的にフィルタリングしてきた。例えば、「6・4天安門事件」というキーワードで検索すると、リストアップされるのは、まったく関連のない情報であり、1989年に中国当局に武力弾圧された同学生民主運動の情報は出てこない。一方、中国国外で運営されているグーグルの中国語検索サイトで同じキーワードで検索すると、3万件以上の情報がリストアップされた。

「我々が提訴したこの民間会社は、ある外国政府の政治言論を圧制する立役者になっている。しかも、国境を越えて米国の憲法まで侵害している」と、原告団のスティーブン・フレズオス代理弁護士はメディア取材でこう語り、原告側はBaiduに1600万ドルの損害賠償を求めているという。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は19日の関連報道で、「この種の情報検閲・封鎖は中国国内の言論自由を圧制するだけでなく、中国で運営する外国のインターネット企業にも重大な支障をもたらしている」と記し、中国から撤退したグーグル社の実例を挙げた。

1年前、米国のネット検索大手グーグルは、中国当局の情報検閲および顧客情報を盗み取るハッカー攻撃を理由に、中国から撤退し、その中国語検索サイトのサーバーを香港に移設した。

また、利用者が自由に情報を共有できる人気のサイト、例えば、Facebookやツイッター、Youtubeなども中国では封鎖されて利用不能である。

今回の案件について、中国外交部の姜瑜・報道官は、19日の定例記者会見で記者の関連質問に対して、国際法に基づいて外国の司法機関には該当の管轄権がないと述べ、「中国政府はインターネット事業の発展を支持・促進しており、法律に基づいて中国公民の言論の自由を保障している」「中国政府が法律に基づいてインターネットを管理するのは国際上の慣例的なやり方であり、主権行為である」と発言した。

以前から、民主支援者の間では、中国当局がよく口にする「法律に基づいて公民の言論自由を保障している」という文言は、「実質上、法律に違反して公民の言論自由を恣意的に剥奪している」ということに等しいとの声が根強い。

(翻訳編集・叶子)