【大紀元日本5月4日】世界最大のインターネット市場・中国で、検索エンジンのシェア75%に達する「百度(バイドゥ)」。彼らにとってグーグルの次の挑戦相手は「北京」か、とアナリストたちは分析している。英BBCによると、昨年12月には官製検索エンジン「人民捜索(GoSo)」が登場しており、元グーグル中国の管理職らが採用されたという。また違法ダウンロードなどの処罰も強化されており、民間企業の市場占有の拡大を恐れる当局は、これら民間企業を押さえ込む動きを見せている。
百度は、拡大する中国インターネット市場の牽引役として急速な成長を続けている。最新の四半期決算報告書によると、同社の純利益は1億6350万ドルと前年同期の2倍以上に増加し、ロイター調査によるアナリスト予想では、次の四半期の収入見通しは4億8千万ドルになるという。加えて、同社CEO・李彦宏(ロビン・リー)氏は、米経済誌フォーブス中国版の本年度中国長者番付1位に選出され、世界でも注目される人物を、百度は作り出した。
この成功理由の背景には、当局の与えた検閲規則を百度が遵守したことにある、と一部のアナリストは見ている。しかし皮肉なことに、その躍進振りは当局により抑えられようとしている。中国コンサル企業・BDAのダンカン・クラーク会長は、歴史的教訓の諺「出る杭は打たれる」を引用し、「もし百度の検索エンジンのシェアが9割に達するならば、間違いなく北京から与えられる『課題』に向かうことになる。百度の頭痛の種になるだろう」と予想している。
英BBCによると、昨年12月にスタートした中国宣伝部が運営する検索サイト「人民捜索(GoSo)」には、元グーグル中国の管理職らが採用されているという。クラーク氏は、その検索機能力は百度に匹敵するとみている。
取締りの強化
当局は、知的財産に関する違法取り締まりも強化させている。新華社によると中国文化部(省に当たる)は25日、百度を含む14社に対して、楽曲違法ダウンロードサービスを提供していたとして、各省市の担当部門に調査・処罰するよう指示した。以前から中国インターネット市場は、日米など各先進国から著作権違反を警告されていたため、取締りの強化を内外にアピールする狙いがあると見られている。同省は3月中旬にも、百度に対して書籍共有サービスに違法掲載があるとして処罰している。
現在、民間企業では中国インターネット検索のシェアは百度が7割、グーグルが2割、残りの10%以下に捜狐(Sohu)や 捜狗(Sogou)がある。
捜狐(Sohu)の情報によると11日、米SNSサービス・フェイスブック(facebook)が中国市場の評価を進めており、百度と提携して新しいSNSサイトの創設に合意した、と百度従業員の話として伝えた。フェイスブックは2009年から、中国では利用が規制されている。合意の情報について、両社は正式なコメントを出していない。
引き続き拡大するインターネット市場
ユーザー人口の増加と、国外からの競争も相まって、中国国内のインターネット市場は急成長を続けている。英国系金融グループHSBCは、百度の収益増を見越して一株につき117ドルから158ドルまで目標株価を引き上げた。HSBCの金融アナリストは、「百度は最も収益の見込める、低リスクの優良株企業」と、英BBCの取材に対して答えている。
しかし一方で、百度の市場占有率が拡大し、収益増が続けば、政府系検索エンジンの登場に伴うリスクに注意しなければならない、と警告している。