【大紀元日本1月14日】中国・北京の天安門広場から東へ100メートルほどの所にある中国国家博物館北広場に、高さ9.5メートルの孔子の銅像が設置され、12日銅像の落成式が行われた。当局は中国の伝統文化を宣揚するためと発表したが、当局の政治的意図が見え見えであると、ネットユーザーから批判の声が殺到している。
人気ポータルサイトネット網易の12日の関連記事に対して、同日だけでもネットユーザーから7千近くの書き込みが投稿され、同日の最もホットな記事とランクされた。書き込みの内容はほぼ批判的な口調一色で、40年前に中国全土で批判された孔子を今日崇拝する対象にしたことは「政治利用目的だ」とネットユーザーらが猛烈に批判している。書き込みには、「孔子は広告ボードに過ぎず、宣伝に使われているだけだ」「孔子や孟子は共に統治階級が労働階級を愚弄するために利用された道具である」や、「孔子より、包青天(北宋時代の清廉潔白な官吏の代表人物)の銅像を立ててほしい」、更に「孔子像を建てるなら、王朝も漢に戻したら」と共産党政権を痛烈に批判するコメントも多く見られる。
1966年から76年までの文化大革命の時代には、紅衛兵による攻撃の標的として「四旧」が挙げられ旧思想・旧文化などが徹底的に破壊されるとともに、文革末期には「批林批孔運動」が発動されるなど、中国共産党は一貫して、孔子や儒教といった伝統文化に対して否定的であるか、自己正当化のため伝統文化を恣意的に利用する態度をとってきた。
現在、胡錦涛主席が「和諧社会(調和社会)」を提唱し、国を挙げて「孔子を祀る」ことや論語ブームを推進していることも、伝統文化を国内の安定に利用するための政治的手段に他ならない。
また、海外各地に設置している「孔子学院」は、孔子の名義を冠しているが儒教の経典や古典を教える学校ではなく、中国文化を愛好する海外の人々に、現代中国語の学習を通じて共産党中国に対する友好的な感情を注入しようとする国家的文化戦略の一環である。
一方、昨年末、中国当局は民間団体名義で「孔子平和賞」を設立した。世界平和に貢献した人物に授与するという同賞の主旨であるが、初の賞を北京政権に親しい台湾の連戦副総統に与えたことで、「親共的な人物を見分ける標識だ」と海外メディアが批判している。