欧米一流大学のネット公開授業が人気 中国の若者「これが民主主義の真髄か」

2010/12/28
更新: 2010/12/28

【大紀元日本12月28日】いま、中国都市部の若者の間で、欧米の名門大学のインターネット公開授業が流行している。誰でも無料でネット上から受講できるのが特徴で、「お金をかけずに外国の名門校の教育を受けられる」と好評を得ている。また、これらのオープンな授業を通じて、欧米の民主主義と中国の共産主義との社会体制の差異を見出し、「これが民主主義なのか」と感動している者もいる。

インターネット公開授業により、マサチューセッツ工科大学やイェール、ハーバード、ケンブリッジ、オックスフォードなど、地球の裏にあるこれらの世界一流名門大学は、多くの中国の若者にとって身近な存在になった。都市部では「ネット授業ハンティング族」が現れ、多数は20~30代の社会人だという。その多くの人は朝5、6時に早起きしてネット公開授業を受けてから、出勤する。「大学生のときでさえこんなに頑張ることはなかった」と授業を受ける一人の若者は言う。彼によると、このグループは、プライベートの時間は買物や遊びより、家でネット公開授業を受けるのが流行なのだという。

試験もない、出欠も取らない、もちろん卒業証書もないインターネット公開授業。なぜ、これほどに中国の若者に人気なのか。

中国のメディアに勤める賀さんは、中国の名門北京大学の卒業生である。ハーバード大学のネット公開授業を受け、「いままでの(中国の一流名門校の卒業生としての)誇りは瞬く間に消えた。(中略)むしろ、自分がかつて就学していた学校を大学と呼ぶ勇気すらなくなった」という。

ハーバード大学の「公平と正義」という人文学の授業を受けた若者は、ネットで次のように心情を綴った。「この授業を高く評価したい理由は、教授の講義内容の質のみならず、一国の社会体制が大学の授業に現れているためだ。民主主義の真髄をまさに目の前に見せつけられた。つまり、大多数の人間の賛同を得るためには、自分の観点と理由を明確に説明しなければならない。このような社会は思考力をもつ健全な社会である。それに背反して、民衆を枠の外に排除する社会体制は、必然的に国民を愚民化してしまう。長い目でみると、この2種類の社会の知力は天地の差が開くだろう」

インターネット公開授業の立役者である米国マサチューセッツ工科大学は、2001年からインターネット上で同校の授業を公開しており、現在その科目数は1800にも及んでいる。授業財団からの資金援助で提供されており、米国のウィリアム・ アンド・フローラ・ヒューレット財団は過去8年間、同校に1400万ドルの関連資金を提供した。同校に続いてその後、ハーバード、ケンブリッジ、オックスフォードなどの世界名門大学もインターネット公開授業を始めた。

アップル社が2006年に公開したiTunesU(アイチューンズ・ユー)は、講義から語学レッスン、映像、実習、オーディオブックなどの教育コンテンツを配信できる。現在、日本を含めて世界175カ国の大学の授業資料を集めており、2009年末までに、そのダウンロード数は1億を突破した。

一方、ネットで授業を無料公開する教授の中には、予期せぬ収穫を得ている人も少なくない。執筆する教材の売上が激増したり、出版社が自ら関連書物の出版を打診してきたりしているという。中国でもっとも有名になったのは、ネット公開授業「公平と正義」を担当するハーバード大学のマイケル・サンデル教授である。今年、同教授は中国上海市の名門大学・復旦大学に招かれて講義を開いたとき、学生たちが押し寄せ講堂を埋め尽したという。

(翻訳編集・叶子)