3千人の警備隊に車で突っ込む 男性、死亡か 湖北省で立退き抗議事件

2010/11/23
更新: 2010/11/23

【大紀元日本11月23日】 中国の湖北省武漢市黄陂区後湖村で16日、現地当局による大規模な家屋強制取壊の工事を阻止するため、住民のゴン澤林さんが車で警備隊に突っ込むという事件が発生した。警備員12人が負傷。ゴンさんはその後、武装警官に暴行されて病院で死亡したもよう。

現地住民の証言によると、ゴン澤林さんの妻は以前、交通事故で亡くなり、娘と2人暮らしだった。強制取壊の対象となる自宅は、妻の交通事故の賠償金と高額のローンで建てたもの。当日、ゴンさんは現場で取壊を止めるよう政府関係者に懇願し続けたが、聞き入れてもらえなかった。怒り心頭のゴンさんは、自家用車に乗って警備員の隊列に突っ込んだ。その直後、ゴン澤林さんは車から引きずり出され、武装警官からひどい暴行を受け、病院に運ばれた。

現地当局の発表では、工事関係者12人が負傷。そのうち4人が重体。ゴンさんは病院で治療を受けているという。一方、現地住民は、ゴンさんが同日夜7時ごろ病院で亡くなったことを証言しており、当局の発表とは食い違いをみせている。

「すべての財産を失ってしまった彼は、命がけで車に乗って突入行為に走ったはず。自殺するつもりだったのでしょう」とある住民は語った。

取材を受けた住民によると、約千世帯が3、4年前に市政府の許可を受けて村の土地を購入し、家を建てた。大半は3階建ての一軒家だった。11月15日、市から突然、これらの家屋は違法建築であるため強制的に取壊すと通達された。「何も知らされず、突然、家を強制的に取壊すなんて、家具、テレビなどの家財を運び出す時間もない」と住民らは事情を説明する。

通達が出された翌日の16日早朝6時、村に通じる各道路が封鎖された。午前中に、警官と警備員、工事関係者3千人余りが現地に入った。インターネットで公表された映像から、大勢の警備員が現場待機している様子がうかがえる。

黄陂区後湖村の土地価格は、近年上昇が続いている。情報筋によると、現地の不動産開発業者と政府機関が癒着関係にあり、裏で巨額な金銭が動いており、今回の家屋強制取壊もその一環にあたる。今回の一件について、政府管轄の現地メディアは一斉に、史上最大規模の「違法建築物の取壊」と報じていた。

人命事件のため、今回の強制取壊は一旦中止となった。

(記者・陳怡蓮、古清児、翻訳編集・叶子)