【大紀元日本8月5日】先月、中国各地のテレビ局は、宝飾店であまりショッピングしなかった大陸からのツアー客を、香港のガイドが罵倒する動画を放送し、大きな反響を呼んだ。
7分間にわたる動画のなかで、ツアーガイドは「この世にただ飯なんてものはない。はるばる飛行機に乗ってきて、1000元(約1万2700円)ちょっとのツアー料金じゃ飛行機代にもならない。それなのに買い物で金を払おうともしない。よく考えてよ!これでいいのかって!」と強い口調でツアー客を責め立てた。
また、今年5月にも、元卓球中国代表選手の陳佑銘さんがやはりショッピングをしなかったことで香港のガイドと言い争いになり、怒りからくる心臓発作で亡くなる事件が起きていた。
一連の事件を受け、香港商務・経済発展局の劉呉恵蘭・局長は先月31日、北京で国家旅遊局局長と会談し、買い物強要で問題となっている格安「買い物ツアー」に対する監督・規制を強化することで合意した。早速の合意から、事件で悪化した観光イメージを改善し観光客の流出を食い止めたい香港側の焦りがうかがえる。
そもそも、香港の格安「買い物ツアー」は、コスト割れの低価格で客を集め、土産物屋で買い物をさせる見返りに、店からのコミッションで売り上げを補う仕組みで、大陸からのツアー客の大半はこのやり方で香港に旅行に来ている。そのため、旅行会社やガイドが強引な方法で買い物を強要するケースが多々あり、かねてから香港の旅行業界の構造的な問題として指摘されてきた。
一方、このようなツアーは一部の観光客の需要にマッチしていることも事実である。安いツアー料金で香港入りし、浮いたお金を買い物にまわす。もっぱら買い物目当ての観光客にとっては、利用しやすいシステムではあるが、ツアー内容、料金の内訳などが曖昧な場合、買い物をめぐるトラブルに発展しかねない。
さらに、格安料金は買い物が前提だと知りながら、買い物をせず、少ないお金で香港旅行を果たそうとする観光客の存在も否めない。
そんな「買い物ツアー」の実情を踏まえ、今回の合意は、買い物強要の禁止やツアーの運営ルールの明確化、消費者の意識改革を促すことが主な内容となっている。「行程に買い物が含まれるかどうかをはっきりさせ、含まれる場合は事前に参加者に周知させなければならない」と劉局長は会談後に語った。
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