「新華社の記事を使え」 人気大衆紙に新たな報道規制

2010/07/22
更新: 2010/07/22

【大紀元日本7月21日】中国政府は最近、人気ある数社の大衆紙に対して、記事を提供し合うことを禁止する方針を通達した。自社記者の執筆記事以外、国内外のニュースはすべて国営新華社通信の配信記事を掲載するよう求めた。シンガポール中国語新聞「聨合早報」が伝えた。 

政府から資金提供を受けていない大衆紙は自由度の高い報道スタイルで、読者の人気を博している。通常、大衆紙は主に現地の情報を報道するが、報道規制のある中国では、地方紙は現地の突発事件や暴動事件を無断で報道してはいけないため、各地方紙は記事を提供し合う協議を結んでいる場合が多い。現地政府にとって不祥事と見なされる事件の記事をほかの地方紙に提供することによって当局の規制をくぐり抜けている。いわば「苦肉の策」。

地方政府は、ほかの地方のメディアに対して管轄権がないため、それを報道規制することができない。そのため、記事を提供し合うやり方を禁止するよう、たびたび中央宣伝部に訴えている。

また、今年3月の全人代前、「経済観察報」など13社の大衆紙は共同社説を掲載し、戸籍制度の改革を呼びかけた。この大胆な行動は宣伝管轄部門の逆鱗に触れ、「政府の見解と異なる記事を掲載し、正しい世論形成に支障をきたした」と政府部門に問題視されている。

政府宣伝部門は長年、現地ニュース以外の記事は新華社通信の記事を転載するよう求めてきたが、それに従う地方紙は少ない。

今回の新しい禁令は、主に広東省、広西省、江西省、湖南省などの地方の大衆紙を対象とするものだという。

情報筋の話を引用した香港紙「明報」の報道によると、通達された新しい禁令は次の範囲に及ぶ。▼ほかの地方で起きた事件の報道▼公安、検察、裁判所の不祥事の報道▼地方紙の共同社説の掲載▼突発事件の報道は新華社通信の記事を転載するなど。

明報によると、今回の禁令はツイッターにも影響を及ぼしている。広東省など21の省、市の公安庁がツイッターを開設したのに続き、北京市公安当局もツイッターに進出し、世論に直接影響を与えようとしているという。

禁令を受けた大衆紙数社はいずれも、禁令の取り消しを中央部門に求めていくとしている。

(翻訳編集・高遠)