【大紀元日本6月6日】先月、北京で行われた「米中戦略経済対話」で、一時的に緩和された米中関係が再び緊迫化している。シンガポールで開催中の「アジア安全保障会議」に出席したゲーツ米国防長官は5日、同会議でのスピーチで、今年1月の米政府による台湾への武器供与に対する抗議として、中国軍部が米中間の軍事交流を中断したことについて、「意味をなさない」と強く批判した。
また、韓国の哨戒艦沈没事件については、「何もしないことで、悪い前例を作ってしまう」とコメントし、中国に、北朝鮮制裁への同意を促した。
AP通信の報道によると、ゲーツ国防長官の批判に対して、会議に出席した中国国防大学の朱成武将軍は、「中国は米国をパートナーと思っているのに、米国は中国を敵扱いしている」と反発した。
アジア安全保障会議が開かれる前も、両国間には摩擦があった。米国防総省は2日、ゲーツ長官は会議後中国を訪問することを計画して中国に打診したが、中国側から「都合の良い時期ではない」として断られたことを明らかにした。
中国側は、ゲーツ長官の訪中を断った具体な理由について説明していないが、米国の台湾への武器輸出問題や韓国の哨戒艦沈没事件などが背景にあるとみられる。ロイター通信は、米国側関係者の話として、韓国哨戒艦撃沈事件が国連安保理に提起されるデリケートな時期に、中国は米国との接触を避ける意図だと指摘している。
一方、米誌「外交政策」は、中国の拒否にはもっと深い理由があると分析する。米国との関係については、内部で意見が分かれており、良好関係を唱える派に対して、軍部関係者の多くは、もっと挑戦的になるように主張しているという。
また、その直前の1日には、米商務省が、中国製の鉄鋼格子に対し最大145.18%の反ダンピング税を課すことを正式決定。これを受けて、中国が米国を痛烈に非難した矢先のことだった。