巨額費用の閲兵、中共が直面する八つの危機=米中問題専門家

2009/09/24
更新: 2009/09/24

【大紀元日本9月24日】中国共産党政権樹立60周年を前に、米国ワシントンで16日、中国の著名な人権活動家や中国問題専門家、学者らを招いての「中共政権樹立60周年研究討論会」が開催された。世界ウイグル会議ラビア・カーディル議長らが講演するこの席で、北京師範大学心理学部の元副教授であり、現在ハワイ大学宗教・哲学学科の客員教授を務める孫延軍氏も出席し、中共が数十万人の総兵力に達するほどの軍備を挙げて警戒を行い、成功させようとする60周年の「国慶」行事自体はテロ崇拝であると譴責した。また、国を挙げて力を注いでいる天安門広場での大掛かりな閲兵式典の背後で、中共政権は八つの危機に直面していると孫教授は分析した。

孫教授が挙げた八つの危機は、(危機感の高い順に)▼中共の犯罪行為が根本から問われ、政党自体が抹消される▼中共政権の各種団体が連合して政権を転覆させる可能性▼内部分裂による政変▼民衆による暴力を伴う抗議デモの波▼バブル崩壊と日増しに悪化する庶民の生活▼民主化要求と異議を唱える知識人からの挑戰▼分裂勢力と民族対立▼周辺国家の領土争いなど。これらの危機の中、最も恐れているのはこれまで犯してきた罪が徹底的に精算されることだという。

同教授は、現在中国内で高まる民衆の暴力抗議は、中国共産党政権に不安を与えていると分析する。個人、組織、地域レベルで次々に反乱が起こっており、中共政権は、軍事勢力を駆使して抑え込もうとしているが、言論、表現の自由を抑圧しても流言飛語は止められない。

また、中共政権は、気功団体法輪功を政権を脅かす最大の敵と見なしている一方、中国人または国際社会は、法輪功団体が中国で受けている残酷な迫害に同情を持っていると同時に、法輪功団体に、中国の政治情勢の変化に対して役割を担ってほしいとも期待している。しかし、中共の悪意の推測であれ、外界の期待であれ、何れも法輪功に対する大きな誤解が存在していると、宗教専門家である同教授は述べている。

孫氏は宗教学の視点から、法輪功団体の中共政権に対する抗争運動を分析した。法輪功学習者が行っている「真相伝え」運動は、世間の政治に介入しようという目的によるものではなく、衆生済度という世間を超える精神的な追求である。真相を伝えることで、世の人々に善悪を問いかけ、失われたモラルを取り戻そうとしているのだという。

また、道教やキリスト教の提示する善悪を具体的に引用して、中国共産党の解体は、法輪功が目指す目的ではなく、より多くの人々が善悪をきちんと判断した結果の副産物に過ぎない、と解説した。

以下は孫延軍教授の講演全文:

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親愛なる来賓、淑女、紳士の皆様

ワシントン論壇の「中共政権樹立60周年研究討論会」に参加する機会に恵まれ、大変誇りに思います。 本日は、「中共は何を恐れているか」というテーマでお話しさせていただきます。

「国慶」そのものがテロ崇拝

中共が国民に慶祝を強制する 60周年の国慶をまもなく迎えます。民を労し財を傷める慶祝活動が、まさに中共政権という官僚集団を讃える低俗な格調劇として上演されます。中でも国を挙げて力を注いでいるのは、天安門広場での大掛かりな閲兵です。

この種の式典は、武力をひけらかすだけの愚昧の挙動で、多くの民主国家では行われておりませんし、 滑稽にさえ見えます。しかし、暴力と嘘言を推し進める中共にとっては、不可欠な儀式であり、式典を通して次の二つの効果を得ることを狙っています。

まず、中国の民衆を、中共政権に屈服させ、背けば大国の兵器で鎮圧すると脅えさせることです。もう一つは国際社会への恐喝です。先端兵器を誇示し、民主国家を脅かし、中国の人権状況に「口をはさむな」というメッセージを送る意図です。資本は求めますが、人類の普遍的な価値は蔑んでいるからです。 閲兵を通して、異分子を排除し、政敵に打撃を与え、権威を触れ回り、人々に中国共産党が国家の統治者であることを見せつけるのです。太平の中で行われる儀式として粉飾し、民衆の目を奪い、専制的な暴政統治の支配にあることをしばし忘れさせるのです。不幸なことに、中共が全力を傾ける誘いの声によって、民族主義を見下した優越感は極限にまで膨らんでいくことでしょう。

本来、こういったテロ崇拝を平和活動に粉飾することは,虚飾された喜びに包まれた雰囲気の中で行われますが、現在の中共政権は異常な挙動に走っており、北京市全体を高度の緊張感で包み込んでいます。9月15日から10月8日まで北京市では特別警戒態勢が敷かれています。 9月1日付けの「新華網」は、「治安維持部隊の第一線の総兵力は十万人に達する」と報導していますが、実質的な兵力はこの数字を遙かに超えるものと考えられます。

北京市民に対しては、北京の国慶にはテロ防御が必要と説明していますが、鳥さえ飛ぶことを許しません。中共政権が慶典に際して大敵に臨むように警備する背後には、政権内部が抱える恐怖感があります。テロリスト政権がテロ恐怖にさいなまれるとは、自業自得としか言いようがありません。それでは、中共政権は一体何を恐れているのでしょうか。

最も普遍的な見方は、民衆蜂起によって政権を失うことを恐れているというものです。中共政権の60年にわたる期間、どれだけの罪を重ねてきたのでしょうか。どれだけの徳を失ったのでしょうか。どれだけの血債を負っているのでしょうか。中共政権の官僚は政権を失う必然性を、はっきり認識しているはずです。ただしこの論法では,中共政権の心の状態を精確には判断できません。中共が何を恐れているかを的確に分析し、中共が専制する暴政に、反抗過程で最も有効な策略を編み出し、深刻な災難から中国人民を救い出すことが肝要です。

以下、中共政権が抱える諸々の執政危機を挙げ、中共が何を恐れているかを手短に分析していきます。

中共が直面している八つの危機(危機感の薄い順に)

1.中国と周辺国家の領土争い

2.分裂勢力と民族対立

3.民主化要求と異議を唱える知識人からの挑戰

4.中国が直面するバブル崩壊と日増しに悪化する庶民の生活

5.民衆による暴力を伴う抗議デモの波

6.中共内部分裂による政変

7.中共政権の各種団体が連合して政権を転覆させる可能性

8.中共の犯罪行為が根本から問われ、抹消される危険

1. 中国と周辺国家の領土争い

中共政権は、領土と主権を売り渡して、周辺国家に統治の正当性を認めさせています。

領土問題について、中共政権は、表面上は軽く取り繕い、陰で取引の策略をめぐらしています。領土を売り渡して主権を買い取り、周辺国家に統治の正当性を認めさせる方法を取っています。中共政権は一党の私利を国家主権より重視しているため、領土と主権取引に関する情報を国民には厳密に封じています。領土争奪の敵に対する防備より、中国の民衆に対する防備の方が堅いのです。領土と主権の問題は中国人民にとって核心的な利権問題であるはずですが、中共政権にとっては優先事項ではなく、取引条件だけに関心を寄せています。このような売国奴的な態度に基づき、領土問題は「間接的」な比較的危険度の薄いものとみなされています。

2.分裂勢力と民族対立

中共政権は、国家分裂、民族団結破壊の罪を、台湾、チベット、新疆に被せています。

中共は長期にわたって台湾、チベットおよび新疆独立を批判することで愛国行為を装ってきました。台湾の民主化要求は無視し、チベット、新疆両地の伝統宗教文化の保護要求を随意に歪曲してきました。国家分裂、民族団結破壊の罪をこれらの三地になすりつけ、自分の罪を転嫁することは、官民対立を避けて人心をつかむためのたくらみです。仮にこれら三地が独立を宣言しても、中共政権にはなす術がなく、現地の中国人民は抛棄されることでしょう。しかし、これらの三地区には現在、各種の制約があり、今のところ独立の条件が整っていません。このため、中共政権にとっての危機感は比較的低いとみられます。

3.民主化要求と異議を唱える知識人からの挑戰

中共政権は、対外的には金銭攻勢、対内的には民族情緒を煽動しています。

西洋の敵対勢力に対しては、金銭面から攻勢を仕掛けています。国内に対しては人心を責める形で、偏狭な民族情緒を煽動しています。異議を唱える知識人に対しては、買収、分裂、迫害、誹謗中傷の限りを尽くし、手管を尽くして国内の人権状態に関して沈黙するよう迫ります。この点では、中共政権は、国際的なイメージだけを考慮しており、自己の核心的な利権にまで及ぶとは考えていません。

4.中国が直面するバブル崩壊と日増しに悪化する庶民の生活

中共政権は、繁栄を装い、虚偽の経済情報で世界を騙し続けています。

経済奇跡を誇り、ひたすら己の功を宣伝することで、執政を合理化しています。経済の衰退、民衆の疲弊を前に、この種の欺瞞を維持することは困難になっています。一方では金融危機、西洋諸国のせいにし、一方では、欺瞞に満ちた経済情報を流し続けています。狂ったように資源を消耗し、環境を破壊しており、全民族の未來を徹底的に抹殺したいかのようです。中共政権の官僚は、内心は脅えています。自己の任期中に中国経済が崩壊しなければ、最終的な勝利だというアプローチをとっています。

5.民衆による暴力を伴う抗議デモの波

中国各地で同時多発の暴力デモが生じています。

中国民衆が暴力に訴えるデモの潮流は、中共政権を不安に陥れています。個人レベル、組織化されたもの、組織化されていないもの、各地の同時多発デモ、一地区の暴力を伴うデモなど全て、中共政権は恐怖に感じています。エスカレートしないことを望んでいますが、回避することはできないでしょう。中共政権は膨大な軍事力で情勢を制御しており、言論の自由に対する抑圧も成功していません。官僚は自分の任期内で大事が起こらないことだけを気にかけているのです。

6.中共内部分裂による政変

国内外からの各種の圧力の相乗効果で、中共政権が内部で抱える矛盾が爆発する可能性があります。

権力闘争がエスカレートすれば最終的には中共政権の内部分裂に政変がきたされます。政権交代が正常に行われなければ中共は必然的に勢力を失います。体制内の形勢を読み違え、党内の所属先を誤れば、更迭され死刑となる可能性もあります。中共政権の権力者が恐れるところで、慎重に対処せざるを得ない問題です。

7.中共政権の各種団体が連合して政権を転覆させる可能性

中共の専制的な暴政は、一部の役人が一端を担っているに過ぎません。

社会の矛盾がある程度以上積み重なると、軍内部を含む中共政府の官僚集団は、社会での制御能力を失います。各界で組織が形成され、暴力的、非暴力的な方法で人々が結束し、中共の専制政権を潰して、民主政府を立てることでしょう。中共政権は最終的に執政権を喪失し、既得利益も失います。中共の専制的な暴政は、一部の役人が一端を担っているに過ぎません。当然ながら中共政権はこの事態を恐れ、極力避けようとしています。しかし、回避の余地は既に存在しません。

8.中共の犯罪行為が根本から問われ、抹消される危険

現在、中共政権の官僚らは,汚職で得た資産を国外に移し、家族に外国の市民権を取らせています。中国大陸を去り、名を伏せ、国外でのんびり暮らす計画です。傷だらけの中国の政局を、共産党崩壊後の民主政府に残す。自分が残した社会の病因を新生の民主政府の責任として、官民衝突を煽り、あわよくば復帰をはかります。

資源を使い果たし,国の蓄えもなく,経済は発展しません。環境汚染、病疫多発に対しても、政府には対処する術がありません。特にすべての社会階層で「礼」は壞され、「喜」は崩れ、道徳観は喪失し、 社会の基本である「寬容」と「自制」は失われ、衝突が絶えず、民衆の安寧は得難くなります。よい政策があっても執行されず、良い策略があっても採用されません。中国人民が専制的な暴政を姑息に見逃してきた罪を償うことになります。

他人が不当な扱いを受けていた時、「義」を以て「勇」な行動に出ることなく、「自分には関係ない」とした態度に対する報復が現れます。他人の不幸を汲み取り同情しなかったけれど、今となれば、同情の対象となるのは自分になってしまいました。この情況で全社会は力を失います。まだ時間が残されている者は、中共の罪を償うことになります。中共の作り出した虚飾の繁栄を懐かしみ、中共復活の支持をする現象も出てくることでしょう。

以上の8つの危機、8つの起こりうる情況が、中共政権の恐れているものです。しかし、中共政権の官僚たちは既に逃げ道を準備しているため、最初の7つは「最も恐れること」にはあたりません。中共政権にとって最も好ましいことは、欺まんを続けて何も起こらないようにすることです。なにかあっても自分から申し出ることはなく、大事が起こったら小事とし、国外への退路を準備し、中共政権が崩潰したら責任は下層党員に押し付け、自分はさっさと逃げるという計画です。

中共政権が「最も恐れること」は8つめの、「中共の犯罪行為が根本から問われ、抹消される危険」です。犯罪行為を根本から問い、罪の徹底的な清算を求めるためには、下記の三つの条件が必要です。

第一に、中共政権崩壊後、人心が惑わされ、中共の命運に同情したり、虚飾に塗られた繁栄を懐かしむようなことがないように、中国および世界から、共産主義の影を徹底的に除去することです。

第二に、道徳体系を立て直し、人類の善悪観を立て直すことです。全社会の道徳水準と精神的な水準を向上させることで、中国の民衆が、善意と寬容を基盤として、中国社会の未來に起こりうる数々の艱難困苦に耐えられるようにします。道徳基盤にのっとり、時間と精力を傾けて中共政権の罪業を清算することも可能となります。

第三に、中国政権の官僚の国外の親族が移動した資産の詳細をしっかり把握することです。今後、中国政権の官僚を徹底的に清算するにあたり、充分な下地となることでしょう。

この三つがあれば、中共政権の物質的な基盤は制御され、中共政権はその精髄から徹底的に解体されます。精神性の高い世界において、自分は跡形も残ることがない。これこそ、中共政権が最も恐れる結末です。

真相が未来を決定する

私の見るところ、国内外で善悪を示す行動において、法輪功が第二の条件を最も良く満たしてくれています。法輪功の伝える『九評』は、共産党からの脱党を促し、中国民衆や国際社会に中共政権とその背後にある邪悪な本質による巨大な損害を解説しています。

さらに、法輪功が真相を伝え続け、中共の迫害を暴き、法輪功とは何かを語り、インターネットを通して真実の情報を開示したことは、確実に中共政権の勢力を震え上がらせました。法輪功の唱える「真、善、忍」も確実に人類の道徳水準を向上させる作用をもたらしています。

このため、中共政権は、法輪功を最も危険視してきたわけです。法輪功に対する迫害は激しさを増すばかりです。国際社会は残酷な弾圧を受けている法輪功の修煉者に深く同情しています。同時に法輪功が中国の政治情勢を変革させる力となることに大きく期待しています。しかし、私の理解するところでは、中共政権の悪意に影響された人々の推断もあり、また善意からくる人々の期待にも大きな誤解があります。

法輪功が中共の残酷な弾圧に遭っていることは紛れもない事実ですが、法輪功は一つの修煉方法に過ぎないのに、中共政権が目の敵にしています。同時に法輪功は人々の同情を求める弱者ではありません。法輪功の修煉者には崇高な精神力があり、一切の邪悪を退けます。このことは法輪功の修煉者が弾圧に直面した時の態度や精神レベルから明らかにされています。円満成就することが修煉の究極的な目的で、権力や福祉への執着はありません。

法輪功は、修煉の求めに基づいて真相を語っています。徳の高い人は、心性が高く、功も伸び、高い次元に到達できるという真理を尊び、衆生を救い済度することを修煉の一部としています。真相を伝える副産物として、必然的に中共政権が解体されていくのです。

「善を行い、魔を除く」ことは、東西いずれの伝統的宗教でも説かれています。道教の経典『道徳経』では、「道」を修める人の行為は「徳」という言葉で表現されると語っています。キリスト教の『聖書』には、多くの邪悪を退け、善を行う実例が記載されています。儒教を代表する荀子は、「善を積み徳を成せば、神明自ずから得て、聖心備わる」と諭しています。威徳を立てることは、高い次元に自分を高めるための必要条件なのです。

中共解体は、法輪功学習者が人を救うために真相を伝えた後の副産物です。法輪功の説く「真,善、忍」は、中共の「偽、悪、暴」とは対象的です。中共政権は、法輪功の真相に触れることはできません。同時に、法輪功は衆生を救い済度することを起点としており、人類の道徳水準の向上に努め、日に日に悪化する人類の生活環境の中で、善良、理性、寬容の態度を保持し、数々の危難を乗り越えています。中共政権を解体することは目的でなく、善悪に対して民衆が目覚めるように真相を語ることで、自然に中共政権が解体される過程が始まります。

中国の前途は中国の民衆が真相をどこまで理解するかにかかっていると、私は見解します。真相を理解した人が多ければ多いほど、中国の未来への希望は高まります。同様に、人類の命運も、人類の道徳水準によって定まります。

前米国FRB総裁のグリーンスパン氏が、有益な見解を啓示しておられます。金融危機は人類の道徳崩壊が生んだものだと指摘されているのです。人類の道徳水準が向上しなければ、再び金融危機が発生することでしょう。法輪功では、真相を理解することが未来への希望だと言っています。私は心から、より多くの人が人と宇宙のつながりを理解し、社会全体の道徳水準が向上し、人類文明に未来が開かれることを願っています。

(記者・南希、翻訳編集・鶴田)