約2500年前、南アジアに世界的な聖者が誕生した。当時釈迦国(現在ネパール地方)のカピラバーストにあった釈迦族の王子ゴーダマ・シッダルダその人である。彼は、旧暦の4月8日に生まれたと言われているが、現在国内ではその出生を新暦の4月8日に祝い、「甘茶祭り」として人々に親しまれている。
彼は、何不自由ない王子の身分として出生しながら、世のはかなさを憂い、29歳にしてその王位継承権を捨てて出家した。長年の苦しい修行の後、ついに35歳のときに明けの明星を見て大悟するのであるが、彼の説いた教義の中でひときわ異彩を放ったのが「因果応報の理」だろう。「悪には悪の報いがあり、善には善の報いがある」という現代人ならば誰もが聞いた事のある教えだが、当時は画期的な大発見だったのに違いない。
では、その具体的な表れとは何だろうか?先鋭的な現代の物理学者によると、この宇宙には多層次元の空間が数多くあるという。まさに仏教で言うところの十方世界さながらであるが、それぞれの世界にはそれぞれの時間があり、人は時間と暦法の中で生活している。
今年の新暦5月12日、中国四川省でM7.8級の大地震が発生し、死者6万人を軽く超える大惨事となったが、これを旧暦に直すと4月8日である。この四川省の西部には、「アムド」「カム」という旧チベット領から接収した地域があり、その北部には北京五輪のシンボルマークとなったジャイアント・パンダの保護区がある。
今年3月、チベット動乱が起こって、共産軍がラサに進駐しこれを弾圧した。また、中共高官が海外に行くたび、或いは北京五輪のトーチが海外をまわるたびに、世界各地で地を震わすが如くの「フリー・チベット」が巻き起こった。
かつて、共産政権の樹立される以前の中国は、「儒」「佛」「道」の教えが栄える精神文明の大国であったが、66年から始まった10年に及ぶ文化大革命で、その精神の真髄が骨抜きにされた。特に、仏閣の中には共産党員が送り込まれて教えそのものが破壊されただけでなく、優秀な僧侶たちが「仏の経文は犬の屁と同じようなもの」というプラカードをもたされて自己批判を迫られた。
こういった伝統的な佛家のほかに、この旧暦4月8日に大きく関係する団体がもう一つある。それは法輪功だ。その創始者である李洪志氏は、新暦の1951年5月13日、旧暦では4月8日の生まれだ。法輪功は、99年7月20日に中共による弾圧が開始されて以来、中国全土でその修煉者が不法に拘留・逮捕され、現在でも強制労働収容所で労働改造の憂き目に遭っている。
先の四川大地震では、本来無神論であるはずの四川の被災民が、天に問いかけるような眼差しで「…どうして、天は四川にこのような試練を与えたのか?」と祈る姿が、海外通信社の特派員によって報じられた。因果応報の理によれば、まさに宗教弾圧の劫が噴出したものではないだろうか?
では、どうしてこうも新暦と旧暦の間で事象間に規則性が見られるのか?地球は約24時間で自ら一回転(自転)し、約365日間かけて太陽の周りを一周(公転)し、月(地球の衛星)が約28日間かけて地球のまわりを一周している。天体自体、あるいは宇宙自体に、埋め込まれたリズム、規則性があるのである。
99年7月20日の法輪功弾圧では付け足すべきものがもう一つある。これを旧暦に直すと6月8日なのであるが、今年の新暦6月8日に国内のエレクトリック・タウン秋葉原では無差別テロ事件が起きた。わずか10分足らずの犯行時間のうちに、死傷者17人を出す流血の惨事となったが、これを「…隣国中国の宗教弾圧にもっと声を挙げなさい!アジアの民主国家としてこれを看過してはいけない!」と、“天の警鐘”と捉えるのは余人の穿った見方だけなのであろうか。
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