【大紀元日本11月9日】米下院外交関係委員会は11月6日公聴会を招集し、ヤフーのマイケル・カラハン副社長兼法律顧問と創設者の楊致遠氏(ジェリー・ヤン社長)が顧客の保護すべき利用情報を中国当局に提供したことについて、再度証人喚問され、前回の公聴会で虚偽の証言があったことを説明した。議員から痛烈な批判が相次ぎ、ヤフーの情報提供で中国当局に逮捕・監禁された中国人記者・師濤氏の母親も傍聴し、涙を流した。
公聴会で証人喚問されるヤフーのマイケル・カラハン副社長(左)と創設者の楊致遠氏(右)(大紀元)
2004年4月中旬、中国当局がメディアに対し、天安門事件や、法輪功問題、国内民衆の陳情などを報道禁止する内部通達を下した。湖南省長沙市の「当代商報」紙の編集部主任だった師濤氏はこの内容をヤフーの電子メールで海外に送信した。後に、ヤフーは中国当局の情報提供の要求に応じ、保護すべき顧客である師濤氏のメール利用情報や、メールの内容などを提供した。それが証拠となり、2005年4月に中国当局は師濤氏に、不法に国外へ国家機密情報を漏洩した罪で、禁固刑10年を言い渡した。
事件後の2006年2月、米議会が公聴会を開き、ヤフーの関係者を証人喚問した。その際、マイケル・カラハン副社長は、中国当局から情報提供を要求された際に、当局の動機を知らなかったと主張した。後に、内情を知る者がインターネット上で、北京市国家安全局のヤフーに宛てた当時の証拠採取の通知書を公開、その中で、国外に「国家機密情報」を漏洩した疑いがあるため、師濤氏などを立証するための証拠採取だと説明していた。
ヤフーのカラハン副社長は偽証する理由について、前回の公聴会の数ヶ月後に初めてその詳細内容を知ったとし、関連資料の翻訳ミスであり、単なる誤解と説明している。また、同副社長は、その内容を知った後にも、米国議会に報告しなかった。
ヤフー側の対応について、公聴会を主催する米議会外交委員会のラントス委員長は、「私が明確にしたいのは、これは単なる社内情報伝達のミスではない、軽く言えば許し難い怠慢である。重く言えば故意な詐欺行為である」と述べた。
また、ラントス委員長は、ヤフーは過去2年間に、被害者の家族と接触することもなく、彼らに道義的な支援をも提供しなかったことを挙げ、怒りを示した。それについて、ヤフー側は「これは複雑な問題である」と解釈した。
ヤフー側の上記の2人の証人が公聴会で、中国で商売する以上、中国の法律に遵守するしかないと、自己行為を弁明したが、スミス下院議員は、「中国当局と接触する人なら知っているはずだが、民主と人権活動家や、宗教信仰者、迫害される国民を逮捕する際に、通常は「国家機密漏洩」との罪を被せる。これは独裁政権が慣用する手法である。実際には、その罪は、中国当局の犯罪行為を現している」と非難した。
二人の証人は国会議員から怒りの質問攻めに遭った。呉振偉・下院議員は2度にわたり、「あなたたちの会社に中国の公安部と国家安全部に直接連絡するオフィスがあるのではないか」と問い質した。
ラントス委員長はヤフーの中国当局の民主弾圧に協力する行動について、「あなたたちは技術と経済運営において世界大手であるが、道徳においては子ども以下だ」と強く非難し、両証人に対し、ヤフーを代表して関係者に謝罪することを求め、傍聴する師濤氏の母親に直面することを要求した。両証人から謝罪を受けた彼女は、思わず涙を流す一幕があった。
公聴会の最後、ラントス委員長はヤフーの両証人に対し、参加する議員らから出された具体な問題への書面説明の提出を要求、「このことは、議会下院外交委員会にとって非常に重要であり、あなたたちの良識にとってもっと重要である。我々に対応するだけではなく、自分たちの内心を直視しなさい。罪のない人々にもたらした苦難を直視しなさい」と述べた。
同外交関係委員会は、米国企業が独裁政権に顧客のいかなるプライバシー情報の提供をも禁止する法案の制定を計画している模様。
フロリダ州のウェクスロ下院議員は、米国政府は自由と民主の推進における責任と役割を反省すべき、と指摘した。
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