中国:外国人記者の取材の自由、履行されず

2007/09/20
更新: 2007/09/20

【大紀元日本9月20日】中国河北定州市の縄油村で取材しようとした外国記者が12日、現地の公安当局に身柄を拘束され、取材を禁止された。中国当局の新規定では、2007年1月から北京五輪が終わるまでに、外国メディアの記者が自由に取材・報道できると定めているはずだが、実際には履行されていない。国境なき記者団(RWB)アジア支局のブルセル局長は、中国当局がこのような報道の自由を制限する姿勢を変えない限り、来年のオリンピックの成功は難しいと指摘した。

RWBによると、AFP通信の記者2人が、河北省定州の縄油村を訪れ、取材しようとしたが、現地の公安当局から違法な取材とされ、5時間以上身柄を拘束された。また、公安は情報提供した村民のリストを強要したという。その後、上層の幹部が介入したため、記者たちは釈放された。

2年前に、現地政府が発電所を建設するため、土地を強制収用したが、縄油村の村民は、補償問題を訴え、抗議活動を起こした。その際に、正体不明の暴徒との間に暴力衝突が発生、6人が死亡、50人以上が負傷した。後に、暴徒を雇ったのは現地政府の関係者であることが判明し、当時の定州市共産党委員会の書記・和風有は主謀者として、無期懲役の判決を受け、暴徒数人の罪状も確定した。

当時の衝突で植物人間になった村民の1人は今年8月に死亡した。村民たちは、政府の補償金が低すぎると訴え、8月28日、百人以上の村民はその遺体を担いで、デモ行進を行ったが、現地の公安当局に弾圧された。あれから、村は再び公安の厳しい監視下に置かれた。AFP通信の記者は、本件への取材を試みる際に、身柄を拘束された。

その前に、BBC中国語ネットによると、BBCの駐中国記者・顧飛氏も本件を取材するため、現地に向かう途中で公安当局に身柄を拘束された後、釈放されたが、取材はできなかった。

今年1月、中国当局は新規定を公表し、来年の北京五輪が終わるまでに、外国人記者が中国国内において、政治的な内容を含め自由に取材できると定めた。それについて、国境なき記者団アジア支局のブルセル局長は、中国当局がこの規定を完全に執行していないと指摘し、「1月から、新規定が発動され、一定の改善がみられた。以前では報道できない内容も、一部では報道できるようになった。しかし、農村部の暴力事件や、民主活動家などを取材しようとすると、必ず阻止されたりする。例えば、監禁中の山東省の盲人人権活動家・陳光誠氏に関して、その妻への取材は一例である。我々はこのような状況に深い関心を持っている。中国当局は外国人記者に完全な取材の自由を許諾したが、現実はそうではない」と述べた。

エイズ感染者を支援する活動家で、北京在住の胡佳氏とその妻・曾金燕氏は、自らの体験を明かした。

それによると、今年5月から、同夫婦は自宅で軟禁状態になった。毎日、十数人の公安警察が自宅の周辺を監視している。今年1月から、計50人以上の外国人記者が取材に訪れたが、先ず、こうした見張りの公安の許可を得なくてはならない。ほとんどの記者には、身分証や、パスポート、取材の証明書などの提示が要求されているという。

米国RFAは、「胡佳氏夫婦を取材する外国人記者はまだましだ。公安の妨害を受けながらも、取材できた」とし、国境なき記者団の統計データを引用し、「今年1月以降、取材しようとする際に、身柄を拘束されたり、妨害されたりした外国人記者が約32人以上もいる。また、取材対象の中国人も公安当局の脅迫などを受けている。湖北省潜江市の元人民代表・姚立法氏は、現地の交通制度の改革問題について、我々の取材を受けた後、公安の取調べを受けた」などと報じた。

(翻訳・叶子)