パナマ有毒シロップ事件:被害者家族、中国側に損害賠償を求める方針

2007/07/20
更新: 2007/07/20

【大紀元日本7月20日】パナマ政府によると、昨年から同国で約365人の患者が特定の風邪シロップを服用した後に死亡したが、うち約120人の死因は、そのシロップに含まれている偽物グリセリンの有毒化学原料ジグリコールであると確認された。パナマの政府調査員は、この偽物グリセリンを製造したのは、中国江蘇省泰興市グリセリン工場であるとの証拠を確保した。それに対し、中国当局は本件におけるいかなる誤りを否認し続けている。被害者家族は中国側の責任追及を訴えている。

米国VOAは7月17日の報道で、「世界各地の輸入業者は、MADE IN CHINAの商標を警戒し始めている。今年、米国とその他の国々で、品質問題により、多種類の中国製品の回収を行った」と報じた。

パナマでの有毒風邪シロップによる大量死亡事件に関して、政府の調査員が詳しく調べた結果、このシロップは、パナマ現地の企業が製造した。この企業は、偽物の薬用グリセリン(調査により、格安の工業用溶剤である有毒化学原料のジグリコールであることが判明)と知らずに、シロップ製造に使った。同企業は、「この有毒物質は、安全かつ高価な原料ー-薬用ジグリコールと書かれていた」と説明した。その後の追跡調査で、調査員がこの偽物薬用グリセリンを製造したのは、中国江蘇省泰興市グリセリン工場であるとの証拠を入手した。

パナマの伝染病専門家ソウサ氏は、「一部の患者がこの有毒シロップを服用した後、腎臓機能衰弱の症状が現れた。この種の患者の死亡率は比較的に高い、半数以上の患者が死亡した。死亡確率は、服用した有毒シロップの量とその後の治療によって決められる」と話し、「パナマ政府関係者と本件の患者死亡原因の調査に協力した米国調査員は、風邪シロップから有毒な工業用溶剤を検出したことに、驚きを隠せなかった」と語った。

ウマンゾさんはこの有毒風邪シロップを服用後、死亡した。その妻は、「中国で偽造グリセリンを製造した業者は、夫の死亡に責任がある」と訴え、「どうして、有毒の工業用溶剤をまったく異なる別の製品のラベルを付けたのか、どうして、だれもこの偽造製品を検査しなかったのか」と怒りを表した。

一方、中国当局は、パナマでのこの大量死亡事件に、まったく責任がないと主張している。中国側は、「この原料(有毒工業用溶剤ジグリコール)をスペインの企業に販売した。そのときに、製品には正しいラベルを付けていた。その後、スペインの企業がこれらの製品をパナマに転売した」と説明。

中国外交部の秦剛・報道官は最近、国際社会で広がる中国製品の安全問題について、談話を発表した。「持続的に絶えず努力すれば、中国の製品は必ず品質がよく、値段が格安、安全な商品である」「中国の製造業者は努力を重ね、国際市場に商品を供給している…消費者は中国の製品に不安を抱かないでほしい」などと話した。

それについて、米国VOAは以下のように報じた。

パナマの被害者家族は、中国当局のこれらの声明に懐疑的見方を持っている。弁護士のランドロウ氏はその中の1人。彼女は、「中国当局は人の指摘を否認するのは構わないが、パナマの調査員は、中国は本件において、逃れない責任があるとの証拠を入手した。これらの証拠には、この偽造有毒物質の中国での最初のラベル、包装紙などが含まれている」と強く反論した。彼女の母親は、この有毒シロップを服用後、命に別状はなかったが、腎臓機能衰弱とその他の病を患った。彼女によると、一部の被害者家族は、パナマで告訴を起こし、中国のこの有毒偽造原料の製造業者に損賠賠償を求める計画だという。

本来ならば、風邪薬の原料には、薬用グリセリンが使用されるが、有毒化学原料のジグリコールが同じシロップ状で甘みがある上、価格が遥かに安い。

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