【大紀元日本5月30日】北京第一中級人民法院は29日、中国薬品監督管理局の元局長、鄭筱萸・被告(62)に収賄罪と職務怠慢罪で一審死刑判決を下した。中国産の食品原料や医薬品に有害物質が含まれていたことで、米国をはじめ、国際社会から安全性を強く非難されていたことから、中国政府としては、同被告を極刑に処することで国際社会の批判をしずめるのがねらいとみられている。
新華社の報道によると、鄭被告は、1998年から2005年の間に、中国の国家食品薬品監督管理局の局長を務めており、在任中に職権を濫用し、数百種類の新薬に販売許可を与え、合わせて約65万ドル相当の賄賂を受け取った。問題が発覚後、解任されたという。収賄については8件、職務怠慢については3件が追求された。
報道によると、当局は今回の法廷審議は公開にしていたにもかかわらず、審議に出席する対象を厳しく制限した。メディアの出席申請はすべて「出席申し込み完了」の理由で断れたという。
同被告は法廷で、収賄罪は認めたが、職務怠慢罪については否認している。被告は重い糖尿病を患っており、服役中に一時出所を申請したが拒絶された。
鄭被告に対する極刑処理は、中国当局が、最近起きた一連の中国から輸入した有毒食品、薬品及び飼料事件で国際社会の批判を鎮める狙いと見られている。一方、同審議結果は、中国大陸のインターネット掲示板などで熱い話題となっている。罪状にしては極刑が重すぎることから、黒幕まで責任追及が来ないようにしたとか、中国共産党内部の抗争が表面化したものなど、憶測が飛び交っている。
法廷での審議中、同被告は、中国薬品監督管理局薬品登録課の曹文庄課長のことを何度も言及したという。曹課長は以前、鄭被告の秘書を務めたことがあり、2002年から薬品登録課長に就任した。報道によると、現在、中国で認可された17万2千種類の薬品のうち、15万種類は曹課長が処理したという。 曹文庄は2006年1月に中央紀律検査委員会に「双規」され、情報によると、その取り調べ中に、鄭被告の収賄の行為を供述した。同被告の結審後、曹文庄も起訴された。