【大紀元日本5月22日】ニューヨーク・タイムズ紙は5月6日に一面にわたり、365人のパナマ人がジエチレングリコール(diethylene glycol)を含有する中国製液体咳止め薬を摂取後に死亡した報道はまだ記憶に新しい(そのうち100症例は中毒死が確認された)。しかし、5月19日、またも6000本の中国製有毒歯磨き粉「エクセル」と「ミスター・クール」がパナマで発見された。実際、「エクセル」は5月18日に豪州東南部のリスモー(Lismore)のスーパーチェーン店でも見つかり、すでに店内から撤去されたという。
パナマで発見された有毒歯磨き粉は、買い物客が最初に見つけたという。買い物客は店に陳列されたこの歯磨き粉の表示に、ジエチレングリコールを歯磨き粉成分として記載していることから、衛生当局の薬物管理部門へ通報した。当局は、この歯磨き粉を販売している店に対して2万5千米ドル(約300万円)の罰金と一時営業停止の行政処分を下した。同国の食品および薬物管理法規によると、工業原料のジエチレングリコールは歯磨き粉の使用は禁じられている。
問題の歯磨き粉製品は、数ヶ月前にパナマ運河付近の自由貿易区に到着し、検査を受けたという。検察側のルイス・マーティンツ検査官は、実験室での測定結果は、「ミスター・クール」には4・6%のジエチレングリコールが含有され、「エクセル」には2・5%が検出されたことを明らかにした。パナマ衛生部によると、両製品共にパナマで登録されていないため、密輸品であると断定された。両製品はその他動物用製品に混載してパナマに入港したという。
ニューヨークタイムズ紙の5月6日の報道によると、含有されるジエチレングリコールは中国江蘇省にある工場の製品だという。中国工場側は、99・5%高純度のグリコールとして、スペインの会社へ販売し、そこから更にパナマ側にわたり中毒事件を起こしたという。
パナマ当局はこのほど、販売店から同2種類の歯磨き粉を商品棚から撤去させ、これらの歯磨き粉を使用しないよう、国民に呼びかけた。当局のミリアム・ロドリツ氏は、今のところ、この2種類の歯磨き粉を使用して被害を受けた者はまだ現れていないと強調した。パナマ港税関は今回の事例をドミニカ共和国政府にも連絡し、同類の歯磨き粉を運搬した7隻の貨物船が今後も同国へ入港することから、注意を呼びかけた。
米国食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)のアベスフェルド氏(Doug Arbesfeld)によると、ジエチレングリコールは歯磨き粉の使用は許可されていないという。また、これらの製品は米国に入国されている証拠はないにしても、FDAはパナマで起きた事件に厳重に注意を払うことを示した。
今年に入ってから、中国製有害原料事件が相次いで発生している。メラミン含有ペット・フードを食したために数千匹の犬と猫が死亡した事件に続き、5月初めに、中国から米国ミシシッピ州およびアラバマ州に輸入されたナマズから使用禁止の抗生物質が検出されたことから、すべての販売店に対して、中国産ナマズの販売を禁止した。また、米国経由しカナダへ輸入された中国産有毒タンパク質原料60トンがすでに魚のエサとして使用され、57箇所の水産養殖場へ流通した。
中国製原料の安全問題はここ数年間、各国政府が注意を呼びかけている。欧州連合は2000年、禁止された抗生物質が含まれた中国産エビの輸入を禁止。日本では、抗生物質残留量過剰のために、中国産茶葉およびホウレン草を輸入禁止し、韓国で中国産キムチから寄生虫が検出されたことから輸入が禁止された。フロリダ州で2006年、中国産はちみつに抗生物質のフルオロキノロンが含まれていることから、対米輸出の中国企業4社に対し、はちみつの輸出を禁止した。香港においても、マラカイトグリーンを含有した中国産魚類製品の輸入を禁止した。