【大紀元日本5月19日】朝鮮戦争以来56年間分断されていた南北朝鮮の縦断鉄道が、ついに軍事境界線を越えて17日開通した。長い間、南北で懸案事項となっていた半島の西側を走行する「京義線(韓国ソウル-北朝鮮・新義州、全長518.5㎞)」と東側を走行する「東海線(北朝鮮・咸鏡南道安辺-嚢陽、全長192.6㎞)」で、今回は南が定期的な運行を求めたものの、北の意向で一回きりの往復試運転となった。
BBCなどによると、京義線では南から北に移動、17日午前10時半頃からのムンサン駅での記念式典の後、韓国統一部の李在禎(イ・ジェジョン)長官ら韓国側の乗客100人と、北朝鮮の権虎雄(クォン・ホウン)内閣責任参事ら北朝鮮関係者50人を乗せた機関車は、午前11時30分頃、京畿道坡州市にある京義線・ムン山駅を出発、正午15分過ぎに軍事境界線を通過、午後2時40分頃に開城駅に到着して再び復路についた。
一方東海線でも、建設交通部の李庸燮(イ・ヨンソプ)長官や北朝鮮の金竜三(キム・ヨンサム)鉄道相らを乗せた東海線の列車も、観光で有名な北側の金剛山駅を出発し、京義線列車と同じころ軍事境界線を越え、南の猪津(チェチン)駅に到着して復路についた。
今回の開通式では、韓国は祝賀ムードに包まれ、南側のムンサン駅とチェチン駅では、鼓笛隊なども繰り出したが、北は終始実務的な態度で終始したという。BBC現地特派員の消息によると、今回の開通式に当たり、北は軽工業の産業開発のために8000万ドル相当の経済援助を南に求めるものとみられ、北が「統一」を見せながらうまく立ち回る外交戦術との見方もある。
南北縦断鉄道の再敷設については、二年前に鉄道敷設の部分だけ戦車地雷などの障害が撤去され、北が南の経済支援を視野に入れる形で話が進行してきた。将来的には、南は安価な労働力で知られる開城の工業団地などで生産される北の製品を国内に輸送するなど、金剛山観光の延長としてシベリア鉄道へのリンク(中国経由)を視野に入れており、観光事業を振興したい青写真を描いているという。