【大紀元日本2月23日】北朝鮮当局の厳しい統制、中国公安による摘発、北朝鮮への強制送還、中国以外の第3国或は韓国への亡命など、90年代の中期から10年にもわたって、脱北者問題が国際社会で話題になっていた。
2007年に入った今は、中国国内の脱北者数が減っているのか、或は増えているのか、どれ位の数がいるのか、中国政府の公式な統計がない限り誰もが判断しにくい。
時の流れにより、強制送還された人、韓国、東南アジア、日本、米国など自由な国に亡命した人、北朝鮮から逃げてきた脱北者たちはさまざまな形で自分が生きるための新しい人生を選択して来た。
又、その中、中国に定着して生活している脱北者の数も少なくない。
定着して生活している脱北者はほとんど女性が多い。生活方法としては、中国の朝鮮族や漢族の男性と結婚するものが多い。結婚といっても、そのほとんどは人身売買で売られて結婚するケースが多い。
携帯電話で組織内部から連絡を取りながら、売春商品探しに必死になっている中国国境の町・延辺の人身売買ブローカーたちは、脱北女性を捕まえて中国の農民、或は売春場所に売り飛ばす。
最初は中国東北地域の農村部が主な売買場所になっていたが、今は山東省、雲南省など南のほうにも広まっているのだ。
これはもう完全に組織的な犯罪集団になっている。北朝鮮からの脱北女性は彼らにとっては金もうけの商品である。
たった1、2年前の話だが、延吉では北朝鮮の脱北女性が処女の場合は年齢、容貌、健康状態によって6,000元~16,000元の値段が付いていたそうだ。
又、脱北女性が命を懸けて売春しながら集めたお金を「お前を韓国へ安全に送ってあげる」などと、中国朝鮮族ブローカーの巧みな嘘によって騙しとられるケースも多い。つまり2重被害にあう女性もいるのだ。
運よく友人なり、親戚からの紹介で中国人男性と結婚する女性もいる。
しかし、彼らの結婚は非合法で中国の政府は今も認めない。従って、彼らの子供も法律上では認められないし、住民登録も出来ない状況なのだ。幼稚園はもちろん学校にも行くことも出来ないのが現実なのだ。
しかし例外的に農村の場合は学校に行ける余地は残っている。
中国人男性と結婚した北朝鮮脱北女性はどのように暮らしているのか? 幸せな生活を送っていたのか? 又、中国人の夫の生活能力はどうなっているのか?
非公式に調べた結果、中国人の夫のほとんどは知的障害者、身体障害者であることが多い。そうでなかったとしてもほとんどが農村部の男性が多く、経済的にも一番最低限のレベルの人が多かった。
今、中国で潜伏生活をしている脱北者の新しい問題は、中国公安の摘発により母親がいなくなったり、中国人の夫があまりにも貧しいために他の所に移って幼い子供だけが残ってしまったり、又無能な中国人の父親にも捨てられて孤児になってしまう子供たちが増えていることだ。
これらの子供たちの年齢層は、大体3~8歳くらいの子供が多い。
今年一月、筆者は現地の協力者の紹介で北朝鮮の女性が生んだ5人の子供と会ってみた。5人の中3人は母親がいなかった。かれらの母親3人ともが中国公安により強制送還された後は行方不明になっている。父親はみんな中国の朝鮮族で農業を営んでいるが、正常に働ける人は一人もいなかった。みんな知的障害者もしくは身体障害者だった。
今中国で実施している「新農村づくり運動」で、農村の学校では教育費はほとんど掛からないようになっている。しかしほんの少しの雑費(月10元、約170円)がなくて学校に行かせていないのも現実である。
現地の協力者の証言によると、彼が住んでいる中朝国境の××村は20棟ぐらいしかない小さな村であるものの、子供を生んだ後でいなくなった北朝鮮の女性が残した子供は11人ぐらいいるという。
この数値から見ると、中国全土に散らばっている北朝鮮女性が産んだ子供の数は誰も想像できないだろう。中国において、このような子供たちに対する教育問題、身分保障、将来の就職問題など、さまざまな新しい問題が生まれて来るに違いない。
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