【大紀元日本12月26日】ある研究報告の指摘によると、特定の地域における不動産の状況を見る際、国際的に用いられている基本指標「中古住宅物件の販売価格と賃貸料の比率」からみて、北京における当該比率は警戒ラインに接近しており、「バブル化」のリスクに警戒を促すとともに、北京不動産への投資にさほどの価値はないとしている。
香港「大公報」21日付報道によると、この研究は、北京の不動産仲介会社である鏈家房地産公司(房地産は不動産の意)が、今年の中古住宅物件1万件の販売額、賃料について分析したものである。この1万件の物件は、北京にある8つの中心区、及び大興、通州、順義、昌平の4つの郊外地区、県をカバーしている。
報告の指摘によると、今年の北京市における不動産価格は上昇の趨勢を維持したものの、賃貸市場における価格には顕著な伸びが全く見られず、このため、中古住宅物件の販売価格と賃貸料の比率が拡大している。
統計によると、今年、北京市の1LDK普通住宅の賃貸料は、毎月1526元、各物件の平均販売価格は37万元で、販売価格と賃貸料の比率は、242:1であった。
2LDK普通住宅の賃貸料は毎月1751元、各物件の平均販売価格は49万元で、販売価格と賃貸料の比率は、280:1であった。
3LDK普通住宅の賃貸料は毎月2343元、各物件の平均販売価格は67万元で、販売価格と賃貸料の比率は286:1であった。
国際的に健全な数値と認識される、販売価格と賃貸料の比率は、200:1~300:1である。比率が200:1を下回る場合、当該地区の不動産投資価値は過小評価されており、投資の潜在力は比較的大きい。他方、この比率が300:1を上回る場合、投資価値は小さく、不動産バブルが顕在化していることになる。
これに基づき、報告は、北京の中古物件の販売価格、賃貸料の比率は、既に国際的に認識されている警戒ラインに接近していると分析し、「バブル化」への警戒を促している。
不動産市場におけるバブル発生の有無を判断する際、もう一つの国際的基準は、投資収益の回収年限を見ることであるが、この分析によっても、上述の結論が得られている。この基準によると、1つの物件について、15年以内の賃貸で費用を回収できる場合、それは比較的良い投資であることを意味する。また、不動産への投資、賃貸においては、必ず空室期間が存在することを考慮し、毎年2か月の空室期間があると仮定すると、15年の期間に30か月の空室期間が発生する。このため、一度投資をして、その費用を、210か月間、すなわち17・5年の賃貸で回収できれば、その投資収益は比較的理想的であるといえる。
しかし、鏈家房地産の統計によると、2006年における北京の1LDK、2LDK、3LDKの投資回収周期は、それぞれ20・2年、23・3年、23・8年で、ともに17・5年という投資収益の基準を上回っており、投資リスクの存在を示している。
鏈家房地産公司市場研究センターの金育松・総監の見解によると、北京の住宅価格が急激に上昇し、警戒の発出に繋がった原因として、次のような特定の背景があるという:都市化の過程で大量の居住者が立ち退きしたことによる住宅購入需要の発生、2008年のオリンピックのために大量の人員が北京にやって来て不動産を購入したこと、国内外のエリートが北京で仕事をすること、投資対象としての住宅購入需要が発生したことで、北京の不動産市場における需給の矛盾が激化した。金総監が明らかにしたところによると、こうした需要の大部分は普通住宅に対するものが主であり、統計によると、今年において取引が成立した住宅の67%は90平方メートル以下、総価格60万元以下の物件である。
また、旺盛な需要とのミスマッチも発生している。北京において、現在、業務単位が以前に立てた公共住宅の面積が50平方メートル~70平方メートルであるのを除けば、商品物件の面積は遍く拡大しており、今年における商品物件の平均面積は140平方メートルに達している。このため、供給量は増加しているが、有効な供給を形成することができず、供給矛盾が突出し、住宅価格は上昇を続けている。
北京市統計局の数字によると、1月から9月にかけての北京商品物件に係る空室面積は905・1万平方メートルで、このうち、住宅の空室面積は475・9万平方メートルであった。また、商品物件の全空室面積における、空室期間が3年以上の面積は、103万平方メートルであった。
この研究報告は、現在の、北京の中古物件に係る販売価格と賃貸料の比率の高さは、決して、不動産市場において既にバブルが発生していることを示すものではないとしている。しかし、当局は、不動産市場におけるバブルのリスクを重視し、警戒を発するべきであり、関係部門は、住宅価格の上昇に対する政策的措置をとって住宅市場のバブル化を予防すべきであるとしている。
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