【大紀元日本11月10日】2005年末から始まった鳥インフルエンザ監視測定プロジェクト(インドネシア政府支援)では、担当のウダヤナ大学が、バリ島、ジャワ島、東ジャワなどの地区で広範囲にわたり調査を行っている。鳥類、豚、犬、猫、猿など動物の排泄物および血液など1万検体以上のサンプルを採集し、分析しているという。科学研究者らは35%のバリ島村落で鳥インフルエンザH5N1型ウイルスを発見したと発表。また、このほど発見された突然変異した鳥インフルエンザのウイルスについて、科学者らは、現在使用されているワクチンは新型ウイルスに対する抑制効果が低いとの見解を示した。また、アジアにおける、人々と家禽に新型ウイルスの感染が広がりつつあるとし、このウイルスの突然変異はこれまでのワクチン接種計画によって、もたらされた可能性が高いと懸念した。
鳥インフルエンザの新型ウイルスを発見した香港大学の管軼教授及び米国研究者らの共同研究報告によると、突然変異した鳥インフルエンザ・ウイルスの感染は、すでに中国では数カ所の省にわたっていると指摘し、さらに香港、ラオス、マレーシア及びタイまでに広がったと警告した。管教授らは、これまでに香港及びベトナムで発見された突然変異ウイルスと区別するために、今回のウイルスはH5N1「福建型ウイルス」と名づけた。この報告内容は米国学術専門誌「全米科学アカデミー報」に掲載された。
報告書の共同研究者の1人で、米国テネシー州モンペスセントユ児童研究医院のロバート・G・スボスト教授は、電話取材に対して、「鳥インフルエンザの突然変異をもたらした原因は分からないが、新しいワクチンの開発が必要だ」と語った。スボスト教授は、多くの科学者はワクチンの接種がウイルスを刺激し突然変異をきたすと考えているが、しかし、高品質のワクチンは発病率を抑制し、鳥インフルエンザの突然変異を防げるとの見解を示した。同教授は、突然変異のウイルスに感染した人が現れているが、人と人の間に広がることは確定できていないとした。
一方、世界保健機関(WHO)における鳥インフルエンザ関連項目グローバルチームの一員であるマイカル・L・ビアタ教授は、今回の新型ウイルスについて、感染は広範囲にわたり広がっているが、人間に対してこれ以上に大きな危害を与えるとは限らないとの見解を示した。ビアタ教授は、WHOと中国衛生部は新しいワクチンの開発で対応を図っていると示唆した。
また、公共衛生関係者らは、高病原性鳥インフルエンザH5N1型ウイルスは、1918年に数百万人を死なせた「スペイン・インフルエンザ」と同様に人と人の間に広がりやすい感染ウイルスに変異し、広範囲にわたる感染を引き起こす可能性が高いとの懸念を示した。しかし、この懸念により、科学者らは渡り鳥の野鳥に対する監察分析を強化し、鳥インフルエンザの伝播状況を把握すると同時に新たなワクチンの開発に尽力することであろう。
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