【大紀元日本9月7日】世界遺産にも登録されている水の都ベニスが、水害の危機に直面し、30年後には無人都市になる恐れが出てきた。
英国のガーディアン紙やインディペンデント紙によると、ベニス市政府当局は現在、ベニスの人口減少に悩まされている。ベニスには毎日5万人の観光客が訪れているが、1966年の大洪水以来、全市の水没の恐れを懸念する住民たちは次々に街を離れ、もともと12・1万人いた人口がこの40年間で6・2万人に激減した。
専門家は、現在の人口の減少速度から計算すると、30年後の2036年前後にはベニスは無人都市になると推測しており、市の住宅問題担当議員も、「もし本当にそのような日が来たら、ベニスは純粋に『旅行者の天国』になるであろう」と語った。ただ、観光客も旅行者だけのベニスなど見たくはないかもしれない。
ベニスは現在、入江地区の海水汚染がひどく、多くの古建築物の地下の基礎構造部分が腐蝕し、沈下を招いている。また、イタリアが位置するアフリカプレートが徐々に北の方へ移動することによって、アルプス山脈の上昇と相まってベニスの沈下が引き起こされており、ベニスは100年ごとにおよそ1・3センチ沈下している。
ベニスは、2001年1月にも再度大洪水に見舞われた。それは、1966年の洪水を上回る史上最悪の水害だった。洪水は4日間続き、多くの街が水没した。それ以来、毎年60回に及ぶ水害が起きており、ベニス住民にとって悪夢となっている。
頻繁に起こる水害は、地盤沈下が進んだことによるものだが、大陸プレートの移動などの自然的要因で起こる沈下は必ずしも致命傷ではない。地盤沈下を加速させているのは人的要因だといわれている。第二次大戦後、地下水を大量に汲み上げたことによって、街全体が20年間で30センチも沈下した。また、地球温暖化によって、ベニスの海面は、この100年で23センチも上昇している。
このような情況を受け、生態学者は、もしこのまま対策をとらなければ、2050年にはベニスの大部分の陸地が永遠に海底に沈むだろうと警告を発している。
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