【大紀元日本8月20日】中国東方航空の機長である袁勝氏は職員に中国共産党(中共)からの脱党運動を紹介したことが当局に通報されたため、自らが操縦する旅客機で米国に到着後、米国に政治亡命を求めた。もし袁氏が中国に帰国すれば、どのような仕打ちを受けるであろうか? 公開された関係報道を調べたところ、情報源が多くないにもかかわらず、少なくとも法輪功学習者四百人が「九評共産党(共産党についての九つの論評、以下九評)」を伝え、三退(共産党、共産党青年団、少年先鋒隊という3つの組織からの脱退)を勧めたことを理由に逮捕され、強制労働や刑罰を科せられ、刑期が長いものは13年にも及ぶ。しかしながら、、怯えているのは中共のほうであると、ある評論家は見ている。
大陸では「九評」の伝達者が秘密裏に逮捕されている
アメリカのハーバード法学院のウェブサイトと社会センターの研究から明らかになったことは、現在大陸において封鎖されている情報の中で、九評と共産党離脱に関連するサイトは最も厳重な封鎖や、激しく妨害されていることである。中共はこの問題において「外国に対しては良い顔をし、国内に対しては厳しい」という表裏ある手段を取っており、たとえ中国で事件が発生しても一般民衆には知らせず、対外的には平和を装い、その裏では公安が法律を守らず、それに抗議する民衆を迫害していると、外国のアナリストは指摘する。
北京と上海での例を挙げる。明慧ネットの統計によると、北京の海淀分局内のある区で、2006年初めから現在まで、少なくとも60人の法輪功学習者が「九評」を伝えることや、「三退」を勧めたことで逮捕された。上海市では2006年5月と6月だけで百人近くの法輪功学習者が逮捕されたという。
連行されるときにも、公安は一般的に行うはずの逮捕状や捜査状を提示せず、ただちに連行し、その後も家族に連行したことを知らせない。連行された法輪功学習者の多くは生死不明となったり、不法に強制労働させられたり、あるいは重い刑罰を与えられたりする。
例えば、以前に英国に留学し、現在アメリカアジア基金会の北京事務所で働いていた法輪功学習者である卜東偉は2006年5月19日夜、7、8人の警察に自宅から連行され、1歳ぐらいの子供と二人の年老いた老人だけが取り残された。
警察は「九評」を調べに来たそうで、家宅捜査をしてもその本は見つからなかった。しかし警察はパソコンを没収するとともに、卜さんを強制連行した。その後家族と会社の人が探し回ったが、警察からの直接の連絡はなかった。現在には卜東偉は秘密裏に2年半の強制労働判決を下されたようで、彼の妻が国際社会へ救援を呼びかけている。
少なくとも現在まで400人が逮捕され、強制労働などの刑罰を科された
明慧ネットは、これと類似した案件は大陸の至るところで発生していると指摘している。今春、胡锦涛主席の訪米時、全世界脱党サービスセンターはブッシュ大統領に、九評を伝達したことで不当に逮捕された学習者91人の名簿(26ページ)を提出した。この名簿は主に各個人の調査によりできたものである。これらの不当に逮捕された人を救出するよう、国際社会に呼びかけている。
また、大陸各地の公安が九評を伝達する法輪功学習者を多数逮捕したという情報が明慧ネットで多く報道されている。例えば、内モンゴルで2005年7月20日頃、内モンゴルの扎蘭屯市、阿栄旗、莫旗などの公の場所で十数万部の「九評」や「江沢民、其の人」「脱党パンフレット」などが発見された。公安部はそのため調査班を組織し、2006年3月27日の一日で法輪功学習者50人を逮捕したという。逮捕者は未だに行方不明のままである。
山東省では、2005年4月の上旬、曾慶紅、胡錦涛が相次いで山東省の潍坊と寿光に訪れた後の20日間で、寿光、昌邑、青州、諸城などの場所で法輪功学習者30人が逮捕された。現在、学習者の多くは秘密裏に刑罰を科され、強制労働に従事させられている。山東省の莒南では、自宅で九評が見つけられたため強制労働させられた学習者は楊広珍さん、趙小慰さん、劉希娥さんなど十数人にも上る。韓広梅さんは逮捕された後、看守所で警察の殴打により四回も意識不明の状態になった。
江蘇省の塩城で2005年6月中旬、「九評」が大量に見つかり、当局は秘密裏に法輪功学習者30人を逮捕した。公安は彼らを重大な政治犯と見なし、家族の面会は一切許されなかった。また人民に対し、「九評」の出所を密告した者に対し1万元の報酬を与えるという。
胡錦涛がアメリカを訪問する前日、湖南省長沙市開福区の裁判所は自宅から「九評」VCD1850枚が見つかったとの理由で、法輪功学習者である高輝に不法に7年の刑罰を科した。5歳の子供を持つ母親一人をなぜ中共は恐れ、重い刑罰を科したのだろうか。中共政権は数枚のVCDで転覆するほど弱くなっただろうかと、地元の民衆は疑問視している。
その前、遼寧省盤錦市の辛敏鐸さんと鮑俊岑さん夫婦は自宅で1100枚のVCDを作った理由で訴えられ、それぞれ13年と12年の重刑を科せられた。「九評」を所持していることで、石家荘の孫莉さんは5年の判決、北京の林樹森さんは5年の判決、黒竜省の王志革さんは「九評」を所持していたため暴行加えられ傷害を負った後三年の判決を、不当に下された。湖南省長沙市の国連難民である張新義さんは「九評」を配布したため3年の刑罰を科せられた。広東省揭陽市の呉静娟さんは「九評」VCD数枚を所持していたため3年の刑罰を科せられた。四川省濾州市の、刑に服する能力のない精神病患者である梁劲輝にも2年半の刑罰が科せられた。
袁勝氏が中国に戻らないのは賢明な行動
袁勝氏の亡命事件について、脱党サービスセンターのボランティアである王華氏は大紀元に次のように語った。「彼(袁勝)が帰らないのは賢明な行動である。迫害から逃れる条件があるのに、どうして中共に逮捕されるのを待つ必要があるでしょうか。ここで言いたいのは、袁勝さんは中共を恐れているわけではなく、肉体を持つ生命ならば、誰もが残虐な刑罰を恐れている。老子曰く『民、死を畏れざれば、奈何に死を以て之を懼れせしむや』。人類の歴史上において、多くの仁徳のある人は信仰のために肉体を虐げられたこともあった。しかし、両者を比べれば分かるように、共産党は袁勝氏をもっとも恐れている、なぜなら、『九評』は共産党の『邪悪』を述べただけではなく、共産党の『脆弱』を明らかにしたからである。宇宙には邪は正に勝たずという規律があり、邪悪は自らの悪事のために、必ず自らを墓に送る。これは宇宙の特性によって決められた道理である。ヒットラーは往年大変強大なものとなり、旧ソ連もとても威勢が良かったが、どうして彼らはすべて崩壊したのか。歴史はそうした邪悪を許さないのである」。
王華氏はまた、次のように指摘する。「袁勝氏のような法輪功学習者が、このような一冊の本が出版されたと紹介しただけで、1000万人を超える人々がこの本を読んだ後に共産党を放棄した。このことを聞いた人はどのように思うのか、それは本人の選択である。法輪功はこれまで共産党に反対するよう、誰にも呼びかけたことはない。共産党は恐れているのは法輪功学習者ではなく、目覚めた人民の心である。九評はただ事実を述べただけで、選択するのは、共産党内の各層指導者たちをも含む、一個人である」。