何清漣氏新著「中国の嘘――恐るべきメディアコントロールの実態」、台湾で発刊

2006/07/30
更新: 2006/07/30

【大紀元日本7月30日】米国在住の中国人ジャーナリスト、社会経済学者・何清漣氏の新書『中国の嘘――恐るべきメディア統制の実態(中文版書名;霧鎖中国)』が、このほど台湾で出版された。同書は「中国人権」団体へ提出した専門報告書『中共政府は如何にメディアをコントロールするのか』をベースに加筆し、合計25万文字の著作。中共政権によるメディア統制についての専門書として高い評価を受けている。日本語バージョンはすでに昨年扶桑社により出版された。

著者はメディア関係者の一人として、大量の事実に基づいて、法律、法規、政策から、政府各部門の具体的運営、新聞関係者の声までの資料を集め、中共当局のメディア制御を全面的、系統的に分析している。

台湾・国立台湾大学新聞研究所所長・張錦華氏によると、著者の何氏自身は中国大陸の「特区経済雑誌」「深圳法制報」で、編集記者としての経験が数年あり、社会経済学者でもあるため、中共当局によるメディア制御は自ら経験しているという。整理された資料も刷新されており、学術界に資すると高く評価した。

何氏は2005年に「中国政府はいかに報道を統制しているか」を著したが、今回の新書では、外国人読者に対して、中国メディア報道の信憑性について、どう見極めるかの経験談が加えられており、その他、解放初期から(現在責任者の)丁関根氏まで歴代中共中央宣伝部部長の運命をも述べた。新書の中で例としてあげた中共宣伝部部長・陸定一氏は自ら、自分が十数年間務めた仕事の内容とは、人をこっぴどく懲らしめることのみだったとし、宣伝部部長というポストについた人は、決して名声や幸せに恵まれないと意味深な意見も記されている。

著者はさらに、中共の「国家機密」について、実例を挙げて分析した。周知の通り、中共政権が民主主義を唱える者を取り締まろうとする場合、常に「国家機密漏洩罪」を適用する。実例として、香港住民の徐澤榮氏は、2001年当時「境界外へ非合法的に情報を提供した罪」で13年の懲役を言い渡された。徐氏は韓国の学者に、1950年代に出版された朝鮮戦争に関連する「内部資料」を手渡したという。

何氏の分析によると「中国共産党(中共)が言う国家機密は、中共政権の法律規定に従えば、まったく国家機密ではない」という。当局は、35年前に機密ではなかった同書類を、逮捕する口実を設ける理由から、広州軍区が「機密」文書に指定し、後に逮捕に踏み切ったという。

また、著者は同新書に「折られた棘のついたバラ」という一節も添加、「南方週末」紙をバラに譬えて、1996年から2003年までの変化を分析、非常に生鮮で生き生きしているバラから、まったく生命力のない造花に変化したのは、中国の体制が原因であると指摘した。

著者は、「同紙は過去において、中国のトップ紙であった。もっとも優秀な記者団を有し、豊富な内容で読者の信頼が高かった。しかし、中共当局の弾圧、改造によって、優秀な記者たちが追い出され、編集長らも入れ替えられたため、現在では造花と化した。これまでに同紙を愛読した多くの人には、「南方週末」紙の生命力が奪われた原因が、中共の体制にあることは一目瞭然」と述べた。

新たに添加した「外国人現地報道員の取材制限」について、著者は「外国人記者は表から見れば、中共政権に対して取材の申請を申し込むだけで、取材ができるが、しかし、実際に、取材される側はすでに中共の指示を受け、当局の者の監視下で、統制された内容の会話のみ取材に応じていることは、外国人記者は決して知らない。また、取材される側は、中共の指示に反した言動があった場合、直ちに逮捕される羽目になる」と内幕を明らかにした。

著者は特に英国「ガーディアン」紙の駐中国記者ジャスパ・ベイク氏の例をあげた。ベイク氏が取材した中国の農民らは、その後に全員が投獄された。ベイク氏がいくら努力しても農民たちを救い出すことができなかったという。

また、中共政権が外国企業と手を組み、インターネットを制御していることについても詳しく紹介した。著者は、「グーグル」および「シスコ」が中共政権の圧力に屈服し、当局が統制するキーワードを検索不能にして協力したことを譴責した。

著者は、「シスコ社は、中共政権にあらゆる検閲機能および追跡機能ソフトを提供しており、これらのソフトは、ネットユーザーを個人ごとに監視でき、中共のゴールデン・シールドプロジェクト(中共サイバー警察の通信記録監視システム)の中核プログラムとなっている。さらに、中共は、ネット警察を教育する秘密専門書をも作成した。同秘密専門書は『中国を失う』の著者ゴトマン氏が入手し、現在、米国の裁判所へ訴えるための法的手続きが行われている」と明らかにした。

著者はこれまでに影響力のあるベストセラーとして、多くの著作が出版されており、同新書のほか、『現代化された落とし穴』は、世界中においてセンセーションを引き起こした。