【大紀元日本7月22日】デイリーNKの報道によると、現在北朝鮮の両江道、咸境道、黄海道一帯にパラチフス、百日咳、奇病(らい病・レプラと住民が称している) など急性伝染病が流行しており、全国的に拡散する勢いであることが確認されたという。
この報告は、デイリーNK 国境特派員 2人による 3ヶ月間の追跡取材と、北朝鮮住民17人の証言を通じて、繰り返し確認された。
「苦難の行軍時代とまったく同じ。食糧事情が悪く、栄養不足だからあらゆる雑病が流行している。人民組だけでも、2~3世帯は伝染病患者がいるようだ。結核患者は患者扱いも受けないほどである。パラチフスで、女性と年寄りたちが家で病んでいるし、百日咳にかかって幼稚園や託児所に隔離された子供達も多い」- ツェ・ギルニョ氏(仮名:59歳、黄海南道海州) 。
「10年前の苦難の行軍時代と類似」する伝染病は、2006年春から黄海道、両江道、咸境道など国境地域で始まり、現在内陸地方で拡散している。両江道一帯では、病気にかかって屠殺された牛や豚を食べた住民たちの間で、皮膚にでき物ができ、肉が落ちる 「奇病」 患者が発生し、北朝鮮政府を緊張させている。
豆満江国境地域で会った北朝鮮住民(脱北者 11人、旅人 6人)は皆、「現在、多くの伝染病が流行している」と指摘し、「苦難の行軍時代(90年代中期)に伝染病が流行した時と類似した状況」という一致した見解を見せた。
最近、中国に入国した旅行者たちは、地方の人民組(30世帯) や闇市場での忌まわしい葬儀を目にし、伝染病の名称と症状、発病理由に対してかなり具体的に分かっており、このような伝染病は「全国的状況」と把握しているという。
高熱と下痢を伴い、比較的高い致死率を見せる消化器系の急性伝染病である「パラチフス」は、黄海道一帯で発生、平安南道と咸鏡南道一部地域まで拡散し、死亡者が続いていることが確認されている。
12日に親戚を訪問した丹東のツェ・ギルニョ氏は、「5月末から、海州市、青丹郡、新院郡などでパラチフス患者が増え、死亡者が発生している・・・・正確な数字はわからないが、少なくとも10家族当たり 1家族はパラチフス患者がいるようだ」と伝えた。
食糧事情が正常であれば予防できる「後進国病」、また主に 10歳未満の子供たちの間で発生する急性呼吸器伝染病 「百日咳」は、黄海北道一部と咸境道、平安道地域に広がっている状況で、咸興では乳飲み子の死亡消息が伝わった。
延辺自治州の図們関を通じて、中国に入国した旅行者パク・チョルマン氏(仮名;62歳。咸南咸興)は、「4月中旬から咸興市内の託児所、幼稚園子供達の間で百日咳が広がり始め、6月には 1歳もならない乳飲み子数人が死亡した」と伝えた。彼は、「咸興と清津では、赤ん坊から小学校の子供達まで、旅行が統制されている」と語った。
一方、両江道・恵山と金享権郡には、奇病が広がっていることが確認されている。脱北者の李・ソングフィ氏(仮名、25歳)は、「病んで強制的に屠殺された牛や豚を市場で密かに売っており、その肉を買って食べた人々の中に、肌に腫れ物が出きながら、肉づきがしおしおと落ちる症状がでている。確かな病名は分からないが、人々はライ病と呼んでいる」と言った。
李氏は、「現在政府は、両江道一帯を封鎖した。地域の保安当局が、市場監視隊を動員して、肉を売ることができないように統制している。恵山と金晶淑郡、金享権郡、普天郡一帯で、牛肉が外部に流出することができないように取り締まっている」と伝えた。
李氏は 、「生きている牛を強制的に屠殺することは法的に禁止されているが、死んだ牛を市場で販売することは取り締まられていない・・・しかし最近では、牛肉を販売することも取り締まり、商人たちが他の市、郡の牛肉を売ることも皆統制している」と付け加えた。
一方、南韓に居住している脱北者のパク・チョンハ(仮名;36歳)氏は、「最近、北朝鮮にいる家族との電話を通じて、肉が腐る病気が流行しているという噂を聞いた」「人民委員会 2部(保安の管轄)で、旅行証明書を承認する時、衛生防疫所で発給した衛生通過証を要求している」と付け加えた。
北政府や、援助薬品を組織的に着服している北朝鮮住民たちは、各種疾病がはびこっている理由を「食べる問題」に帰している。北朝鮮住民たちが日常的に苦しんでいる疾病は、大部分が栄養失調に起因する「後進国型疾病」だからだ。
注目すべきことは、90年代後半の大量餓死時期に流行した疾病が、また登場しているという事実だ。
延辺自治州・延吉で会った旅人のカン・スンミ(仮名:59歳、沙里院)氏は、「結核、膓チフス、パラチフス、百日咳などは苦難の行軍時期に出回った病気なのに、このごろまた流行している・・・食料事情も悪化しているのに、伝染病まで流行ったら、人々の間でこんなになって、苦難の行軍がまた始まるのではないかと言う心配が大きくなっている」と言った。
延辺自治州・竜井に居住する脱北者の医師・金某氏は、「今北朝鮮の病院には、薬や医療器具もなく、医者に配給もされないから、保健衛生当局の職員たちも皆、市場に出て商売をして暮らすか、政府の外貨稼ぎ単位に出勤している」と言った。
金氏は、「国家機関の幹部たちが、外国援助医薬品を独占して、市場に売っているから、援助の恩恵を受けない人民たちが、必要な時に治療薬を手に入れることができない」と言った。金氏はまた、「医薬品は重さや体積の割に、現金に換えやすいから、外貨稼ぎ単位や国家機関たちはむしろ食糧より援助医薬品に触手を伸ばしがち・・・・外国から医薬品援助をするためには、大都市の大きい病院より 1次診療単位である郡の診療所に直接医薬品を送付しなければならない」と言った。
一方、7月 5点xun_ネ後会った旅行客などの北朝鮮住民たちは北朝鮮のミサイル発射のニュースを住民たちが聞く唯一の放送である郡内有線放送(朝鮮中央放送提供)を通じて知ったと言いながら、「よくある事」という反応を見せた。
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