国連安全保障理事会は15日、7月5日の北朝鮮のミサイル発射問題に関し、加盟国に北朝鮮へのミサイル物資などの移転阻止に必要な措置を講じるよう求めると同時に、ミサイル発射を非難し、北朝鮮に対しミサイル開発の停止を要求する決議案を全会一致で採択した。日米などが共同提案していた修正決議案にさらに修正を加え、制裁措置の根拠となり、加盟国への拘束力を持つ「国連憲章第7章」の文言は削除された。
これに対して北朝鮮はただちに非難声明を発表。朴吉淵国連大使は同決議を「全面拒否する」としたうえで、同国のミサイル開発や発射実験は「北東アジアの勢力バランスと平和と安定を維持するカギである」と述べた。
米国のボルトン国連大使はこれに応酬し、「きょうは歴史的な1日だ。安保理が全会一致で今回の決議を採択したと同時に、それに対して北朝鮮がわずか45分後に拒否するという最速の世界記録を作ったからだ」と、皮肉をこめて北朝鮮の対応を批判した。
北朝鮮に対する安保理決議は、核査察のための軍事施設の公開を同国に促し、核拡散防止条約(NPT)脱退決定の再考を求めた1993年以来初めて。
安保理は北朝鮮が7月5日に行った7発のミサイル発射への対応をめぐり、10日間にわたって協議を続けた。発射されたミサイルの中には、理論的には米大陸を射程に入れる「テポドン2号」が含まれたが、日本海に落下した。
15日の安保理では、日米が拒否権発動の構えを見せる中国に配慮し、国連憲章第7章の削除に同意。これに対して中国とロシアが両国の当初提案よりも強い文言を決議に入れることを受け入れた。
決議はすべての加盟国に対して「北朝鮮のミサイル開発・大量破壊兵器に関連した物資や資金の移転阻止に必要な措置を講じる」よう要請する一方、北朝鮮に対しては「弾道ミサイル開発に関連したすべての活動を停止し」、再度ミサイル発射を凍結するよう求めている。