郭国汀氏:人権擁護運動で、中国司法制度の改革を促す

2006/07/15
更新: 2006/07/15

【大紀元日本7月15日】中国人権派弁護士・郭国汀氏は7月初め、台湾・新竹市で清華大学が主催した「中国人権擁護、台湾は国際社会と同調」と題した座談会に出席し、中国人権の現況から、両岸情勢および貿易危機について、出席者と意見交換した。郭氏は、中国での人権擁護運動の目的は、不公平な司法裁判の現状を徹底的に改変し、すべての人の権利が保障されるようにすることであると説明した。

中国で、外事訴訟事件が勝訴しても、執行された件数はゼロ

郭氏は、高為邦氏の著書『対中投資――あなたが知るべき落とし穴』に記載された事例は、すべてが真実であるとし、これまで、台湾投資家が大陸で中国法律の落とし穴に陥り、誰一人も公正な解決を得た者はおらず、すなわち、過去に起きた数千件の損害を受けた台湾企業訴訟事例の中で、裁判または示談による解決はゼロであると指摘した。また、仲裁または示談によって解決された案件は、往々にして、台湾側が最大限の譲歩をしたから可能になったと述べた。

郭氏は、カナダ人弁護士クリブ・アンスリ氏を例にして説明した。アンスリ氏は、中国国内で弁護士事務所を設立した最初の外国人弁護士である。香港、台湾および中国で19年の経験を持つ同氏は、元々中国歴史の教授で、弁護士資格を取得後転職した。同氏は毛沢東崇拝者であり、1966年に中国を訪問し、中国側を弁護していたという。

郭氏によると、以前は海事を専門とした弁護士だったアンスリ氏は、現在では国際人権弁護士であるという。同氏は2002年に中国でのすべての業務を終了させるまでに、上海で14年間、約300件以上、外事訴訟事件に携わっていた。しかし、勝訴したケースは殆どなかった。ほんのわずかな勝訴事例も、執行された件数はゼロだという。

郭氏も自らが携わった300件以上の外事案件を分析し、判決による勝訴は殆どなく、大多数が示談による解決であるという。また、勝訴になったケースは、いまだに執行されたものがなく、中には、勝訴判決の執行がされずに12年間にも及び、裁判所が執行拒否をし続けたケースもあったという。郭氏は、外事案件における判決は、是非を転倒されることが多く、訴えるにも訴えるところがなく、勝訴になっても執行は天を登るより難しいのだと指摘した。

郭氏によると、中国で裁判にかけて勝訴するには、法律によるものではなく、証拠によるものでもなく、「コネ」によるものであると指摘し、すなわち、権力および金銭によるものであるという。また、官僚に訴訟ケースに関与させることができれば、または、裁判官を買収することができれば、勝訴になるという。郭氏は、目下多くの弁護士は数百万から数千万人民元の収入があるに言及し、多くは上手に賄賂を使う者または、中共官僚とグルになって悪事を働く者であると分析した。

中国大陸の裁判所、案件を審理する際の依拠は「政治」原則である

郭氏は、現行の中国の司法体制下、裁判所の依拠は「政治」原則であり、法律原則ではないと指摘した。同氏によると、共産体制下の「政治」原則とは「無原則」であり、裁判官の思いのままにするのであるという。同氏は、中国の裁判所は、文明社会であるべき正義を主張する正常な機能はすでに喪失したとし、主審裁判官でさえ事件に対する判決権力がなく、真の独立した司法裁判權がないと指摘した。同氏は、敏感な案件または政治にかかわる案件は、すべて実際に関与していない裁判委員会または裁判所所長が決定するという。しかし、黒幕を操っているのは中共であると分析した。

中国人権擁護運動の目的、司法裁判の不公平な現状を徹底的に改変

郭氏は「中共の法律は、対中共、執政者または一部の者にとって有利な時だけ、法律とみなされる。反対に、それらの者にとって不利な場合、法律はただのゴミなのだ」と語った。同氏は、「徹底的に中国の司法制度を改変するのみ、公正な司法の実行ができない。人権弁護士が公正な司法の促進と一番直結している者だ。中国大陸の現行の司法体制では、公正な司法はありえない」と強調した。

同氏は、人権派弁護士・高智晟氏および法学者・袁紅氷氏が、中国現行憲法の序文の廃除を提唱したことについて、政治体制の改革を求め、司法体制の改革を求め、政治改革を求めることであると分析し、中国大陸の人権擁護運動は政治改革に与える影響が巨大であることを強調した。

(記者・林儀婷)