【大紀元日本7月12日】絢爛たる花火が、オリンピアシュタジオンをさらに輝かせた。空を覆う満天の紙吹雪と舞い上がるリボンの中、イタリアチームは優勝トロフィーを高く掲げた。1ヶ月間、多くの人はワールドカップに興奮し、感動し、それぞれの心情でついにフィナーレを迎えたのである。
これまでのチャンピオン、ブラジル、アルゼンチン、イギリス…すべての輝かしい勝利のシーンは、ファンの心に残っている。一代の英雄ジダンも悲劇的な形でフィールドを離れた。彼が立ち去る時、背中に映った悲哀は、ワールドカップの歴史に永遠に刻まれるだろう。それは、カーン選手がドイツ対アルゼンチン戦で、相手チームの選手レマンの肩を抱き、彼の手をしっかりと握り祝福した画面が、ファンの心に永久に残ったのと同様だ。
イタリア人は最後まで笑い続け、勝利は彼らに故郷へ帰る力を与えた。しかし、本当に心から笑い、軽やかな気分だったのは、主催国のドイツ人だ。ドイツ・チームはトロフィーまであと一歩だったが、世界中の人々から、もっとも素晴らしいワールドカップ主催国であると賞賛された。
まず、ドイツの経済省長官が笑った。ワールドカップは少なくとも5万人の雇用をもたらし、その内の1万5000人は、長期にわたる雇用だった。また、観光庁長官も笑った。世界各地から集まった観光客は、予想の倍以上であった。ワールドカップを楽しんだ旅行客は、自分の国へ戻ってからも美しいドイツの宣伝をしてくれるだろう。さらに、アディダス社も笑った。同社は今年の売り上げが40%も増加し、「チーム・スピリツ」サッカーボールのみで、1500万個が売れたのだ。
また、ドイツ人も皆笑った。ワールドカップのお蔭で、ドイツ人は笑うことを学んだのだ。ドイツ人は、ワールドカップの標識にある顔のように心ゆくまで楽しんで笑っている。彼らは国旗を振り、誇りに満ちて「ドイッチェランド(ドイツ)」を声高く叫ぶことができた。彼らは、敗戦試合でも、ドイツ選手に向かって「あなたたちは我々の心の中のチャンピオンだ」と言葉をかけた。さらに、彼らは自信、およびユーモアを取り戻し、イタリア人に向かって「トロフィーを4年間保管してくれることに感謝」と言えるようになったのだ。
ドイツの人々は、今回の実績で、クリンスマン氏が現職に留まることを望んでいる。政治家らは、前任者が成し遂げられなかった事業を成功させたとクリンスマン氏を高く評価した。同氏は、障害と困難に満ちた環境の中で改革を推進し、新人を大胆に起用するなど、彼が達成したことは、ドイツのサッカー連盟から賞賛を受けた。
しかし、人々は4ヶ月前に、メルケル首相が同氏およびベッケンバウア氏を総理府まで招き、同氏に「連邦政府はあなたを支持する」と単刀直入に、同氏を現職に留めたことは想像もつかなかっただろう。
メルケル首相は、実はクリンスマン氏の最高の理解者かもしれない。昨年の総選挙時、メルケル首相が率いた大連盟政府も同様に、長年の習慣がこびり付き、困難極まる政界で、改革を模索していた。ちょうどうドイツ・チームが、ワールドカップに向かって前進し、クリンスマン氏の新たな改革による成果が現れた時、独政府も憲法修正案、医療改革等一連の改革方案を打ち出した。最終的な結果はまだ未知数だが、言うまでもなく、ワールドカップに向けた期待が新しい動力をもたらしたと言えよう。ドイツ人は奮闘前進、団結、百戦危うからずといったドイツ精神を取り戻したのだ。
クリンスマン氏の留任の行方はどうであれ、ドイツのサッカー協会は、同氏の理念を全力的に推進すると言明した。そして、4年後地球の反対側で開かれるワールドカップへと繋げていくのだ。
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