「国際薬物乱用・不正取引防止デー」、中国の深刻な事情

2006/06/27
更新: 2006/06/27

【大紀元日本6月27日】国際薬物乱用・不正取引防止デーの6月26日にあたり、中共国家麻薬・薬物乱用禁止委員会(以下、国家禁毒委)は「2006年中国麻薬・薬物乱用報告書」を発表した。報告によると、中国はアヘン類の伝統的麻薬およびアンフェタミンやメタンフェタミン(中枢神経を麻痺・破壊する)の新型覚せい剤の急速な蔓延に直面しているとし、さらに、境界外から各種ルートで麻薬・薬物が中国に侵入したと同時に、技術輸出も近年の新しい情勢を作り出したと指摘した。海外専門家らは、現在、中国国内の麻薬・薬物常用者は、少なくても500万人以上いると分析し、国内の麻薬・薬物販売の集団犯罪組織が警察とグルになって、犯罪を行っている現状を懸念している。

麻薬・薬物ルートの拡大

同報告では、これまでの麻薬の流入ルートは、ミャンマー北部の「ゴールデン・トライアングル」のほか、このころ、アフガニスタンおよび南米地区からも麻薬の密輸が頻繁になってきたという。

同報告によると、ヘロインはいまだに、中国国内で消費される主な麻薬であるとし、ヘロインの常用者は全国で70万人がおり、麻薬・薬物常用者人口の78.3%を占めている。また、35歳未満の青少年、農民および無職者は、それぞれが同該当枠の69.3%、30%、51.7%を占めているという。

国連の報告によると、ミャンマーで2005年度のアヘン生産量は312トンであり、前年同比16%減少したという。中国国内で使用されるアヘンの殆どが、ミャンマーからのものであり、中国にとって、「ゴールデン・トライアングル」は依然として、最悪な麻薬生産地であるという。

同報告では、2005年、アフガニスタンで生産されたアヘンは4100トンにも上り、世界総生産量の87%を占めたという。これまで、アフガニスタン製の麻薬の殆どがヨーロッパへ密輸されているが、「ゴールデン・トライアングル」での生産量の減少に連れ、アフガニスタンの麻薬は、直接または周辺国家を通じて、中国への流入が日増しに増加しているという。因みに、ミャンマーでは、これまでアヘンの栽培から、お茶の木、コーヒー、トウゴマ、タピオカ、ゴムの木などの植物栽培に替えたという。

製造技術輸出、危害が深刻化

国際トラベル・ヘラルド紙の報道によると、近年、大陸で流通している薬物は「多角生産」「多角輸送」、「多角販売」までに発展し、特に薬物の製造技術の伝播およびインターネットによる販売ルートの増加が、もっとも典型的であるという。

国際麻薬・薬物防止組織の調査で、近年、流通している中枢神経を破壊する覚せい剤の売り上げが向上していることが明らかになった。中共「国家禁毒委」の情報によると、今年の上四半期だけで、中国の税関で23件の覚せい剤の密輸を取り締まったとし、これまでの麻薬・薬物犯罪事件の約半分を占めたという。その際、アンフェタミン、メタンフェタミンを含む各種薬物、約48.7kgを押収したという。これらの薬物は多くは「ゴールデン・トライアングル」の麻薬犯罪者を通じて、輸出した技術によって、地元で通常の製薬規則に従って生産されたという。

また、カフェインや薬物の製造は非常に簡単なため、中国各地へも急速に広がった。少し前に、廣西省柳州市で闇の大型薬物製造工場が検挙され、製造者は中学校も卒業していない農民だった。同容疑者は別の麻薬犯罪者から製造方法を習い、数人で百キロ以上の薬物を製造したという。彼らは6万元(約87万円)で1万粒の覚せい剤を製造できると明らかにし、1粒の末端価格は28元(約400万円)で、収益はなんと5倍に上るという。

中国国内の麻薬・薬物常用者、500万人を超す

中共当局が公表した数字によると、2002年に中国で記録された麻薬・薬物常用者の人口は102万人前後であるが、西側のメディアおよび専門家らは、同数字に対して懐疑的であった。なぜなら、同年、広東省だけでも、記録されている麻薬常用者はすでに40万人を超えていたからだという。

専門からは、広東、廣西、雲南、四川、甘粛、河南および寧夏等、深刻な麻薬・薬物問題を抱えている各省の人数も加算すれば、少なくても500万人以上になると分析した。

麻薬・薬物のため、自ら生産、自ら販売、自ら売春

ニューヨーク州立大学・政治学科の夏明教授によると、現在中国の麻薬・薬物常用者の薬物入手ルートは、次の傾向が現れている。①自ら栽培。特に陝西、山西、黒龍江、内モンゴル、四川等地区が顕著である。蘇智良氏の文章によると、1930年代では、中国国内のアヘン常用者人口は4000万人だったという。②自ら薬物販売に関与。③自ら売春。統計によると、女性薬物常用者の80%が売春の職業に従事するものであるという。また、一部の強盗、窃盗等の犯罪者の60%~80%が、薬物常用者であるという。

麻薬・薬物販売の犯罪集団、警察と結託

夏教授の調査研究によると、中国の麻薬・薬物販売の犯罪集団は次の特徴がある。①犯罪集団は、地元の政府当局、警察とグルになる。②犯罪集団は国際化、薬物の入手、販売等が一貫した組織が普遍的になっている。③武装犯罪集団へ変化。

情報筋によると、中国では、一部地方の公安部門が押収した薬物をさらに犯罪集団へ投売りするという。また、麻薬・薬物乱用防止・矯正センターで、押収した薬物を再び同センターの薬物常用者へ転売するという。

夏教授は、薬物の売人は、基本的に貧しい人が多いと指摘し、彼らは自分が死んだほうが、家族が幸せになると考えるために、無謀な行為をするという。従って、下層社会の人々の生活が変えなければ、薬物販売の犯罪行為は永久に続くと分析した。