上海市公安当局、陳情者多数を勾留・軟禁、上海協力機構会議で警戒

2006/06/21
更新: 2006/06/21

【大紀元日本6月21日】上海市公安当局はこのほど、同市で開催された「上海協力機構会議(上海サミット)」に先立ち、政府によって(住居の)強制的な立ち退きに遭った陳情者多数を拘留・軟禁した。中共当局の人権侵害は、再び国際社会の関心の的となった。

VOAによると、上海協力機構加盟6カ国の首脳による理事会が15日、上海で開かれた。上海市当局は、会議期間中のいわゆる「騒乱」を防止するため、強制的に立ち退き処分に遭った陳情者たちに対する監視を強化した。当局は陳情者が現れると直ちに強制連行し、自宅へ送り返したという。警備強化期間中は、大勢の陳情者が勾留・軟禁された。

王麗卿氏「上海は非常に緊張している」

当局に軟禁された被害者であり、立ち退き処分に遭った王麗卿氏によると、ここ数日間、上海市の雰囲気は非常に緊迫しており、当局に勾留された陳情直訴者は少なくとも20人以上、軟禁された者はさらに多いという。

王氏は「ここ数日間、上海市内の雰囲気は非常に緊迫している。浦東区の地下鉄入り口や道路は封鎖され、車の通行もできなくなった。子供の学校も4日間休校となった。また、浦東区には警官6万人が警備にあたり、上海各管轄の派出所外勤警官も浦東区へ派遣された。実際、警察に通報しても、問題を処理してくれる警官はいない」と語った。

楊春華氏「上海景康ホテルに軟禁された」

立ち退き処分に遭った楊氏は、「休息」名義で、上海景康ホテルに軟禁された。楊氏は、「我々は自己の合法的な権利を守るために動いている。当局の処分は全く正当ではない。住民の多くは、強制的に立ち退き処分に遭い、住宅問題が解決されていないために直訴したが、全員軟禁された」と憤りを口にした。

張雪英氏「24時間監視され、軟禁された」

張氏は6月初旬に北京へ陳情してから上海に戻ると、上海当局によって上海銀之星ホテルに軟禁され、24時間体制の監視が行われたという。張氏が同インタビューを受けた時も、当局関係者が傍らで監視していたという。

張氏は、「当局は会議があるという理由で、我々をここに軟禁し、窓を開けることも許さない。何の行動をとることもできず、食事さえ難癖をつけられる。連行自体が違法であり、何の権限があって人権を剥奪するのかと主張した。一般市民には基本的な人権すらなく、訴えるところすらない。当局は、我々市民を犯罪者扱いしているが、人権は一体どこにあるのか?」と当局を非難した。

馬亜蓮氏「陳情し、強制労働収容所に二度送致された」

強制的に立ち退き処分に遭った被害者の馬氏は、陳情に赴いたが、当局に「治安騒乱罪」で強制労働収容所に2度も送致された。2005年に釈放後、毎月のように同ホテルに軟禁されたが、今回は老母の看病があるため、自宅にいることができたという。

馬氏は、「我々一般市民の生活は、当局の監視・統制下にある。我々は、極普通の一般市民であり、当局によって住む家を追われたため、自己の権利を取り戻そうとしただけだ。災難が降りかかり、訴えるところすらない。当局は国家権力の専制でもってこのような底辺の民衆まで統制しようとする。実際、公安当局に雇われた失業者らは、法律を執行する権利がないのに、彼らの許しがなければ、自分たちはどこにも外出できない」と苦情を訴えた。

張雯氏「母親は精神病院に監禁」

張氏は高校生。母親は政府当局の立ち退き処分に不満を示したため、精神病院に監禁された。父親は上海サミットの前に抗議したため、当局に勾留されたという。本人は家計が困難に陥ったため、中途退学した。張氏のすべての動きは監視されているという。

張氏によると、当局は外出を許可せず、食事は手配されたが、食費も請求されたという。14日の晩、張氏はどうしても外出したくて出かけたが、当局はずっと後を尾行し、張氏がタクシーに乗ろうとすると、乱暴に阻止しようとした。周囲の通行者が当局の者を咎めると「悪いから何だと言うのだ?こっちは役所から派遣されているのだ」と怒鳴ったという。

反テロの旗を掲げるも、実際は人権侵害

中国研究員・林偉氏は、「上海協力機構の加盟国は、反テロの旗を掲げるが、本国での弾圧と(民主派などの)反政府勢力に対する迫害を合法化しようとしている。上海協力機構加盟国に対して、当該組織内部で国際人権規則を尊重するよう呼びかける。これまで機構当局は、如何なる人権原則をも提出しておらず、実際、加盟国は、その人権記録で非難されている国ばかりだ」と語った。

警官6万人が出動

新華社の報道によると、上海サミットの成功のために、上海市公安当局は私服・制服警察官、武装警察官など6万人強を派遣し警備を強化、更にサミット期間中は休日になり、一部地域と道路は交通規制を行ったという。