【大紀元日本5月3日】日米の外務および国防担当閣僚は5月2日早朝(日本時間)、ワシントンで在日米軍の再編問題について、日米安保協議委員会(2プラス2)で最終協議をまとめた。両国は新たな同盟関係として新しい段階に入ったとし、米国の在日米軍再編計画から、中国共産党(中共)政権の急速な軍事拡大に対する牽制を強化し、台湾海峡での危機事態発生の可能性に対応することが重点に置かれたとみられる。
報道によると、同会談に出席した麻生外相、額賀防衛長官、ライス米国務長官およびラムズフェルド米国防長官は、協議に合意した後、米軍基地再編の具体的実施日程表を提出し、2014年までに同大規模な基地再編、移設を完了する予定と示した。
在日米軍の再編は前線情勢を重視し、司令部機能統合および自衛隊の協力により、国際テロ組織の攻撃、北朝鮮およびイランの核開発動向を阻止し、中共軍事力の急速な拡大を牽制する役目を果たすことになる。両国は共同文書で、同地域における軍事力の現代化により透明性を求め、緊密な協力体制で昨年2月に発表した「台湾海峡問題の平和的解決」の共通戦略目標の実現に言及。同文書では名指しはしていないが、中共が含まれているのは明らかだ。
米国防省は本年2月に発表した国防報告で、すでに中共を米国にとって最大の軍事潜在力を持つ脅威国と位置づけしており、中共に対する強い警戒から、米国は東アジアの最大同盟国である日本と防衛協力関係を強化することは当然であることを示した。
在日米軍再編の最大の特色の一つとは、ワシントン州の陸軍第1軍団司令部を「拠点司令部」に改編した後、神奈川県の座間基地へ移設し、台湾海峡危機、朝鮮半島緊急事態ないし中東突発事態に対応し、遠隔操作する司令塔になるという。同司令部は、本部がハワイにある米太平洋軍司令部に直属するが、一旦東アジア地域で紛争が発生した場合、任務部隊を指揮する司令部となるという。
また、同司令部は2年後に成立される予定でおり、陸上自衛隊が反テロ対策のために新たに設置した中央対策司令部と同基地で司令部の機能を統合することになるという。また、航空自衛隊本部隊司令部は、東京都福生市にある横田空軍基地へ移設されるとし、4年後に米空軍および航空自衛隊の「統合運用協調部門」が設立され、米軍が日本で新たに設置する「X-バンド」レーダーおよび自衛隊が収集したミサイル防衛情報の相互提供が行われる予定。
もう一つの特色として、沖縄の負担を軽減するため、また、米軍の一部の主力部隊を北朝鮮の弾頭ミサイル「芦洞号」射程外へ移駐するために、現在駐在している海兵隊の半数近く、約8000人をグアム島へ移動することに決定した。専門家は、グアム島の戦略的重要性を高めることによって、米国は、台湾海峡を含む、東側の北朝鮮から西側の中東地域までの「不安定地帯」に対して、日本、グアム島およびハワイの三角関係を利用し、危機事態に対する臨機対応を円滑化することができると分析した。
一方、在日米軍の再編後、自衛隊と同一の基地を使用することによって、米軍の後方支援力も強化される。また、台湾海峡および朝鮮半島に近い九州の福岡県築城航空自衛隊基地および宮崎県の新田原基地は、米軍物資輸送の中継点となり、両基地は米海軍陸戦のために訓練場、輸送機、ヘリコプターの駐機場、倉庫および緊急時の軍営を建設することになる。
さらに、沖縄南部の米海兵隊普天間飛行場は、名護市の辺野古沿岸部へ移設し、V字の滑走路を建造する予定でいる。移設によって、同重要基地は市の中心区を離れながら、戦略性を持つ重要位置にある沖縄に留まることができる。
日米安全保障条約は1951年に締結され、1960年に改訂され、1978年に日米防衛協力ガイドラインを締結した。2002年末、日米安保協議委員会「2プラス2」が設立され、新たに防衛体制の協議が行われた。2003年末、日本はミサイル防御システムの導入を決定した。2005年2月、日米の「2プラス2」会議で、「台湾海峡問題を平和的に解決する」を盛り込んだ在日米軍再編の第1段階協議に合意し、両国の共通戦略目標を宣言した。同年10月に再び「2プラス2」会談を行い、日米の役目および任務分担の協議が行われ、中間報告を発表した。そして、今回の「2プラス2」で最終段階の協議に合意し、最終報告を発表したのである。
日米防衛協力ガイドラインは1997年に、国際テロおよびミサイル防御等の協力問題における見直が行われた以降、改訂されていない。額賀防衛長官は2日、会談後の記者会見で、日米双方は新たな防衛協力ガイドラインについて協議するよう提案したと述べた。今年の6月に訪米予定である小泉首相は、ブッシュ大統領との首脳会議で、新たな日米安保共同文書の発表は注目されるであろう。
同会談で、北朝鮮に対して、無条件で6カ国会議へ即時復帰を促した。また、イランの核開発に巡り、ウラン濃縮活動の中止に尽力し、国際原子力機関(IAEA)が同核開発の査察に全面的に協力し、国連安保理はイランの核問題に対し必要な処置を取ることで意見が一致した。