【大紀元日本11月26日】中国総理・温家宝氏はこのほど衛生部と農業部の部長を連れ立ち、遼寧省・鳥インフルエンザの被害状況が深刻な地域を視察したが、このことは中国が鳥インフルエンザを重視するようになったことを世界に示している。世界規模で鳥インフルエンザが蔓延に至った主な原因は、中国が過去数年もの間、鳥インフルエンザの発生状況を隠蔽したことを認識しなければならない。
アジア時報21日記者田鏡の報道によると、中国当局は海外(香港も含む)が鳥インフルエンザの発生源であることを何回も指摘したが、多くの事実から、中国こそ鳥インフルエンザの発生源であることが明らかになったという。
中国「財経」誌によると、2004年の以前、鳥インフルエンザの発生状況は中国では機密として扱われた。2000年以来、中国の多くの省級畜牧獣医センターと地方科学研究機関は既に鳥インフルエンザの研究を始め、そのワクチンも試作し始めた。H5N1のほか、当時中国養鶏業に大きな被害を及ばしたのはH9N2というウイルスであった。
言い換えれば、少なくとも2000年から、中国の内陸では既に鳥インフルエンザが現れ、対策としてワクチンを試作し始めた。しかし、2004年以前、中国は鳥インフルエンザの発見に関し何も発表しなかった。
もう一つの事実もそれを証明することができる。2004年初、河北省新楽市で偽ワクチンにより、大量の鳥が死亡した事件が発生した。調査によると、この偽ワクチンの製作者は李忠啓という人で、2001年7月から自製の同ワクチンを販売し始め、2004年2月まで、既に944本を販売したことが明らかになった。
中国全国テレビ放送局が放送した、中国公安部の主催番組「中国警務報道」によると、事件発生の1年前、すなわち鳥インフルエンザが流行する前から、李氏は不法な利益を得るため、ワクチンを自製し始めた。李氏はラベルを準備し、顧客が必要とするワクチンの名前を売れ残ったワクチンの瓶に貼り、1本8元の値段で一次仲介者に売り、一次仲介者はさらに二次仲介者に17元で売り、最終のユーザは50元で買い取った。
同番組では、同案件を調査する際、河北省公安庁、石家庄公安局及び工商と畜牧などの部門から関係資料を提供してもらい、2003年初頭か、もっと早い時期から、すでに鳥インフルエンザが流行し始めたということが分かったと発表した。
上海の「第一財経日報」紙も、今年の11月10日の報道でより詳しい情報を公開した。同紙によると、2002年「生物学通報」第4期・「鳥インフルエンザの歴史と公共衛生意義」という文章では、1995年から1999年の間、唐秀英氏らは一部の地域で発病した鳥、ダック、アヒルとウズラの体内から28本のH9N2、1本のH3N2、1本のH1N1、1本のH3N8、2本のH4N6と3本のH5N1ウイルスを発見し、アヒル体内のH5N1は高毒ウイルスであるほかは、すべて低毒ウイルスであることを発表した。
中国予防医学科学院の郭元吉研究員らは1999年2月、5本のH9N2ウイルスが人に感染した実例を発見した。郭氏はH9N2亜型のウイルスは中国の鶏の中で広まり、既に人に移っていることを認めた。
ところが、中国政府、国務院および農業部衛生部は、当局が情報を隠して世界に予防措置を遅らせたことを認めていない。
不十分な予防措置も指摘されている。1971年、米国カリフォルニア州で大規模な鳥インフルエンザが発生し、当時1千万羽以上の鶏を処分した。ウイルスが蔓延した原因を追究すると、獣医がワクチン注射で各農場を巡回した際、獣医の体にウイルスが付着していたために伝染したということが分かった。
中国でも、未感染の鶏に予防注射する際、獣医の消毒措置は不十分なようだ。服装から、靴及びワクチンを入れる容器まで、1971年の米国の例のようにウイルスの伝染原因になる可能性が高い。また、感染の可能性がある鶏を処分する時、マスクや手袋をはめるが、ゴーグルをかけない従業員も少なくない。これまで海外の事例から、鳥インフルエンザほかのインフルエンザウイルスと同じように、人間の目から体に侵入することがある。
中国政府上層部は鳥インフルエンザの拡散に十分な配慮をしているかもしれないが、現場では、鳥インフルエンザは予防できるものだと認識している人が多く、拡散防止措置をおろそかにすることも現れているという。また、従業員全員に防疫装備一式を準備すると、大変な費用がかかる。こうした問題を抱えていることから、中国の状況は悪化するとみられている。
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