呉葆璋インタビュー:「新30条」に露呈された中国軍部の実情

2005/08/27
更新: 2005/08/27

【大紀元日本8月27日】中国軍部官製「解放軍報」8月17日の報道によると、中国共産党中央軍事委員会が最近軍部全体に対して、「軍隊の中国共産党紀律処分條例完遂補充規定」という新しい条例を発した。新条例は全部で30条あり、党の軍に対する絶対的統帥力を強調すると共に、軍人に対し、社会のデモ行進、その他示威行為、座り込み、請願、集団直訴などの活動への参加、あるいは支持を厳しく禁じると通告した。元フランス国際ラジオ放送局中国語報道部のベテランジャーナリスト・呉葆璋氏がこのほど、大紀元の取材に応じ、「軍隊の中国共産党紀律処分條例完遂補充規定」について(以下「新30条」と略称)見解を述べた。呉氏の意見では、「新30条」が作られた背景は、「党が銃(軍隊)を指揮する」現状がうまく作用できないことにあり、「新30条」は中共軍部の現状をはっきり表しているという。

下記は呉葆璋氏がインタビューに答えた内容の記録。

「新30条」は、中共の規定の中でも、軍部に関して一番多くの情報が伝えられた資料であるとはいえる。一体何が伝えられているのか?幾つが挙げると、

①中共軍隊に民間団体活動に参加し、宗教活動に参与している人がいる

②深刻的な問題となっている政治資料を隠匿する軍人がいる

③軍隊に党の絶対的統帥力に反対する文章や発言を発表した人がいる

④デモ参加や集団請願をしている軍人がいる

つまり、軍隊に軍隊以外の団体活動に参加する人がいる、また共産党思想に許されない有神論の浸透が目立つようになっている。

軍人の中に、「深刻的な問題となっている政治資料を隠匿している人がいる」とあるが、ここの「深刻的な問題となっている政治資料」はいったい何を指しているのか?これは恐らく「大紀元時報」が発表した「九評」と海外ネットからダンロートした政治ニュースのことを指しているだろう。例えば抗日戦争に関する歴史の真実など。

この数十年、共産主義と共産党の本当の姿はますます多くの中国人に認識され、特に軍人は、中共が必死に隠した8年間の抗日の真実、北朝鮮が挑発した朝鮮戦争の真実、50年代金門島古寧頭で共軍全滅の事実、珍宝島戦争の国際背景及びベトナム戦争など、表に出ない真実を知るようになった。党の威信は軍人の心の中からすっかり無くなり、軍隊にとって最も大事な信念、信奉、自信という三信が動揺している。軍隊の年長者は毎日空を見て溜め息をついて、若手はこれからどうするのか、誰のために命をかけ懸命にやるのかという質問に重い悩んでいる。軍隊の士気が衰えているのは言うまでもなく当然のことだろう。

「新30条」は以上の背景を踏まえて、中共不信任の軍人に対して打ち出した規制で、軍人は党の支配と命令に絶対に服従しないといけないことを重ねて強調している。そこで、色々なことが考えられる。まず、台湾や米国、日本などに宣戦する時、将兵の命令服従を強いる。即ち、台湾占領のための「新30条」である。次に、もし、社会的動乱が発生したら、軍隊は党に支配下にあるように打ち出した「新30条」である。そしで、党の絶対的統帥力を重ねて強調するもう一つ目的は、中上層の士官、特に若手の士官に、軽挙妄動しないようと警告することである。

中共は昔から年功序列を重んじている。軍隊の中に今の党総書記より年功ある者は一人、二人に限らない。若手の士官にとって、民主選挙により選ばれた総書記ではないことに対し、年功者のような政治権威感を決して感じない。

遅浩田氏、朱成虎氏と劉亜洲氏はよく聞かれる名前である。中共国防大学防務学院院長・少将教授である朱成虎氏はこのほど、世界に譴責されている米国への核兵器使用の発言はどうも総書記から影響を受けたわけではなく、彼本人の意志によるものとしか考えられない。核兵器で米国を威嚇する手段は、以前旧ソ連が使ったことがあり、結局失敗に終わった。このことは総書記が当然知っているし、また、失敗したことを真似することはしないだろう。

もちろん、中共政権を支持する軍の指導者達がみな目先の利益に振り回され、朱氏に託してこの芝居を世界に見せた可能性もあるが、むしろ朱氏が自身よりも年功のあるものがいないことから、党の絶対的統帥力の原則を忘れ、発言したというほうが合理的だと思う。

本来は、核兵器を使うかどうかは国策の問題であり、核攻撃に関する朱氏の論述はさらに中国共産党の重要戦略である。朱氏の勝手な発言は正に「軽挙妄動」の行動と見られ、今後このようなことが二度と発生しないように「新30条」を打ち出したのだろう。