冀晋峪:中国が謳える「平和・協力・発展」の深層を読む

2005/08/13
更新: 2005/08/13

【大紀元日本8月13日】中国は各国との国際関係について言及する際、常に「平和、協力、発展」を強調する。台湾との関係にも同様なことを唱える。中共はこれが世界のトレンドであり、グローバル時代の動向であるというのである。表面上は堂々として、誰もが拍手して賛成する言葉である。故に、中共が外交上の窮地に陥ったとき、中共が人権人道に反し、民主自由に反することを譴責されたとき、または、諸外国が道義及び利益において態度を決めかねるとき、中共が国内外双方ともに行き詰まるときに、この言葉の使用頻度が高まるのである。日中関係の悪化及び台湾国民党・連戦氏の訪中がこのことの顕著な例証となった。しかし、この言葉は中共が人の耳目を惑わし、世界を騙すために用いる言葉である。我々はこれらの言葉のうわべだけを見てはならず、その裏にある意味を認識しなければならないのである。

一.中共が唱える「平和」の意味の真相

文化大革命によって中国の政治、経済及び中共自身が崩壊寸前にまで追い込まれてしまったため、中共は共産党独裁体制を維持するために、改革開放や経済発展の路線に切り替えざるを得なかった。しかし、世界の価値観は民主自由、人道人権を提唱する時代になっており、中国社会の各階層、中共内部でも世界と同様の価値観が強く求められるようになりつつある。さらに、各国の政界、民間組織及び国際組織から中国に対して、世界価値観に合わせるように中国の民主自由を支持し、中国のかつての悪行を譴責することも必然的に起きてくる。このようなことが起きれば、中共の独裁統治が安定できなくなる恐れがあるから、中共側はそれらの要求を中国への内政干渉であると言い、「平和」を破壊すると反発している。現段階において、中共がいう「平和」の本当の意味とは、外国から中国へ民主自由の理念をもたらさないこと、及び中国の民主自由、人道、人権に注目し、それらを支持しないこと、そして、中共独裁統治の合法性を承認し、中共独裁統治の安定を保障することである。中共の深層心理が分かれば、中共がいう「平和」は、世界各国が持つ平和の価値内容とは相容れないものだと理解できる。中共がいう「平和」の基準とは中共が引いた境界線であり、それを越えなければ平和を守る友好的な友であり、越えたものは平和を破壊する敵対勢力と見なすのである。中共はいわゆる「平和を守る」ために、「ベルリンの壁」に類似したもの設け、中国民衆が覚醒し、中共からの離脱を防止するために、中共の理念に不都合なこと及び事実が暴かれることを遮断するのである。同時に、中共は極力「良い外部平和環境」を作ろうとしている。

「外部平和環境」は中共政権の存続及び安定に係わる重要なものである。中国は現在、至るところに危機をはらんでおり、内部に多く存在する対立が激化しかねない状態である。中共政権は、見た目は強大であるが、実は崩壊寸前である。海外での動きに中共ははらはらしている。西側諸国が当時旧ソ連に対して行った対抗方式で中国を封じ込めてしまえば、中共はきっと、さんざんの体たらくになり、崩壊も間近となるであろう。声をからし、力を出し尽くして恐ろしい姿を見せたソ連共産党から中共は教訓を汲み取って、代わりに甘い言葉とうわべの友好、真の自分を隠した形に姿を変えた。さらに、ソ連共産党の封建対抗とは異なり、中共は平和を開放する形を取ったのである。また、西側諸国の融和主義と物欲氾濫の中で、中共は確かに往時の旧ソ連がもつ外部平和環境より遥か良いものを手に入れた。それ故、中共は内部で行っている独裁暴政を維持できるのである。この様な結果は、最終的に世界にとって福であるのか、それとも災難であるのか、世の人々は真剣に考えなければならない。

二.中共が唱える「協力」の意味の真相

平和は、中国が唱える三つのことの核心であり、協力は平和を保障するために存在するものであり、協力を通じて平和を更に有効なものとする。現段階において、中共がいう「協力」の本当の意味とは、利益を原動力として中国が各国と結託して、中共独裁政権を強固にし、維持することである。中共は外部との協力によって、外部の者たちにそれぞれ実益を得させることを通じて、最終的に中共の仲間にさせ、共に悪事を働くという中共の目標を達成するのである。

改革開廟xun_ネ降、中国経済は驚くほど速い速度で発展した。海外からの外国資本、科学技術、管理方法、運営方法などはその発展に重要な作用をもたらした。資本主義の苗は社会主義の草に勝り、西側の資本家諸国との協力は自立(自給自足)に勝る。協力を通じて、中国には血と汗から成る工場が多数現れた。その工場の特徴とは、中国、外国双方が中国の安い労働力を最大限に搾取することである。中国の環境及び資源に対しても、目先の利益に目が眩んで将来を考えずに略奪する行動が至るところで起きている。多くの外国資本は中国に進出した後、道徳及び道義に於ける約束を守らず、破廉恥にも利益のために悪事を働いたのである。さらに、自己の利益のために、中共の独裁暴政に対して体裁のよいことを言って飾り立てている。甚だしくに至っては、一部の大手企業(例えば、Google, ヨーロッパ衛星会社)は中共が求める「自粛」に従い、中国人民の情報を知る権利まで剥奪したのである。このような海外各国の協力者が一旦中共との利益上の目標が一致してしまうと、彼らは中共の海賊船に乗るだけではなく、海賊船が転覆しないようにしなければならないのである。

国際社会において、中共は勢力の強い者に対しては対抗せずに協力を求める低姿勢を示すが、弱いものに対しては、自国は強国であり、外交に成功していると強い姿勢を見せつける。さらに、恐喝と誘惑で相手を丸め込み、協力させる。例えば当年、アイスランド政府は中共に協力し、法輪功学習者が中共の迫害抗議活動を阻止した。

三.中共が唱える「発展」の意味の真相

発展とは平和及び協力を発展させることである。政治、経済、商業貿易などの関係を発展させることである。現段階において、中共がいう「発展」の本当の意味とは、中共が海外各国と協力し、共に財を成し、共に腐敗堕落に陥り、共に道徳を堕落させ、そして、宗教は不振になり、人々が全てに対して無感覚、無関心になり、良いことと悪いことの区別が付かなくなり、それによって、中共が望む不動の局面に達することである。しかし「発展」の中で「安定」を求めることは中共の理不尽な主張であることを、忘れてはならない。

しかし現在、国際社会では中共に融和するという逆流、即ち、中共の全ての悪行に対して見て見ぬふりをし、無関心となり、口をつぐんで押し黙り、中共の悪行を粉飾し賛同したり、争って中共と握手して歓談するという状況が現れている。中国の民主自由、人道、人権を実現するために戦う各界の有識者はこのことを重視すべきである。逆流に撃退されないよう、虚像に惑わされないように、人類の正義は最終的に邪悪中共に勝つことを信じて前進すべきである。

六つの字からなる三つの言葉は中共にとって民主自由、人道、人権に対する盾とお守りであり、中共が幾ばくもないない余命をつなぐための国際的策略である。多くの外国人にとって、中共が唱える三つの言葉はまさに、人を迷わす悪辣な企みである。正義の味方である有識者達は特に、現在の中共が既に瀕死の状態に陥っていることを知り、道徳道義に反する行いと西側諸国の融和の逆流に動かされないよう、中共のこの三つの言葉の虚像に惑わされないように、強靭な意志と崇高な信念を持って明るい朝を迎えるように邁進するよう呼びかける。

2005年5月2日、トロントにて

この記事の内容は著者個人の観点と陳述である。