【大紀元日本8月8日】今年の9、10月期において、上海の分譲住宅は供給のピークに達する。これに、上半期の市場で未消化の大量の在庫物件が加わり、市場における供給量は需要を大きく上回ることになる。大幅に価格を下げて販売を促進することは、すでにディベロッパーの心理にあるようだ。経済学者・陶冬氏の予測によると、上海の不動産市場は短期的な急落期に入るという。
現在の懸念は、購入者とディベロッパーの繰り広げるゲームの中で一体誰が持ち堪えられるかということである。これは、時間と利益のバランスに関わる問題である。普陀万里地区で物件を販売している大華愉景華庭、頤和華城、万里雅築等の価格はすべて2000元/㎡以上も下落した。また、宝山大華の一部である楓庭麗苑、濱江雅苑等の物件についても3000元/㎡近くも下落している。
このうち、万里雅築は、更に「底値伺い」に近い8500元/㎡で販売され、一週間以内に117件を販売、今夏における新築物件の販売量トップを占めている。万里雅築による必死の値下げ販売から伺えることは、こうした幅の大きい価格調整の出現、特に「心理的な最低価格ライン」を突破した物件に対しては、明らかに購入者の反応があるということである。
事実が証明していることとして、購入者の購買力は相当に可視的であるが、その前提は、あくまで価格が心理上の予測と符号していることである。しかし、住宅の潜在的購買力は、機に応じて変化するものである。販売が好調な物件を見るに、価格が下がりさえすれば、取引量は直ちに増加する。方方不動産工作室の胡宗亘主任によると、住宅販売について膠着した局面を真に打破しようとすれば、必ず、比較的大きな価格調整が伴うことになるという。
政府もまた、上海の住宅価格は下降の途に入ったことを公に述べているー-7月20日、上海市政府の記者発表会上、上海市統計局の潘建新・局長は「上海不動産価格の過剰な上昇傾向は既に抑制されており、上半期の分譲住宅販売価格の上げ幅は緩和の趨勢にあり、最近の価格は小幅に下落している」と述べた。
「消費者が様子見をする時間には限りがある。上がるものを買って下がるものを買わないというような局面は一時的なものである。このため、住宅価格が一定程度下落した時、様子見であった消費需要が喚起され、取引量の上昇が促進されるのである」。戴徳梁行が発表した最新の「夏季住宅市場報告」もこのように分析している。
しかし、美聯物業上海公司の馮泓叡・副社長によると、マクロ調整によって需要が調整されているようだが、そのディベロッパーに対する影響の大きさは、既に購入者に対する影響のそれを上回っている。購入者は待っていられるが、販売者は待っていられない。トレンドに乗ることは、消費者だけの専売特許ではなく、ディベロッパーもかくの如しである。市場における全てのディベロッパーがこうした行為によって限られた消費者を奪い合う時、価格は更に下落する。現在のように販売が全体として氷河期に遭遇している状況の下では、値下げは、ディベロッパーが資金をできるだけ早く回収するための唯一の手段となっている。
しかし、実力の異なるディベロッパーの間において、市場に対する態度に相違が現れている。緑地集団の張玉良・総裁と金地格林世界の范成東・社長は、暫く価格を下げない戦略を取っている。9月、10月期は、緑地集団等のディベロッパーが公認する重要な時期となっており、多くのディベロッパーは皆次のように述べている、「今年最後のチャンスを掴めるか否かは、第3四半期を見なくてはならない」。福納コンサルティングが、最近の上海における住宅購入者に対して実施した購入のタイムスケジュールに関する調査によると、将来の6ヶ月間において、市場に参入する時期が秋季の9、10月期と答えた回答者は36%であった。
7月20日に開催された「長江デルタにおける住宅市場の動向に関するシンポジウム」において、五合国際の劉力・社長は次のように分析している。今年の9、10月期において、上海の分譲住宅は供給のピークに達する。これに、上半期の市場で未消化の大量の在庫物件が加わり、市場における供給量は需要を大きく上回ることになる。中小のディベロッパーの下げ幅では現金化の目的を達成することができず、更に大幅な値下げ行動に出ることになるが、これが大型ディベロッパーに対する衝撃になる。
「第一期のごくわずかな下落を経て、上海住宅価格の調整は価格が急落する第二期に入った」。スイス・クレディ・ファースト・ボストン取締役社長兼アジア地区首席アナリスト・陶冬氏の見解によると、この段階の主な特徴として、プレイヤー同士の足の引っ張り合いが起こり、住宅市場において、短期的に強烈な価格下落が起こる。彼のいう第一段階とは、上海不動産市場の非常に小さな価格調整、取引量の急落を指している。この時、販売者に対する現金のフローが発生せず、購入者は様子見をするという状況が発生していた。
しかし、時流はディベロッパーの為だけに傾いているのではない。陶冬氏が懸念しているのは、新規物件の供給ストックが増えるにつれ、ディベロッパーの資金圧力が更に強くことである。実力を欠く少数のディベロッパーが先んじて値下げをし、やがて、最終的に集団的なパニック状態になる。不動産市場における調整の通例に鑑みれば、これは住宅価格をして急落期に入らしめる主な原動力となる。しかし、苦痛を伴う急落期を乗り越えて初めて、市場において真の居住への需要が上昇する。「上海における確固たる需要がどれだけあるかについて、これまで計測することはなかったが、今回の販売苦境がその良い機会となるだろう」と、張玉良氏は評価している。
ディベロッパーが苦悩しているのは、最低の値下げラインを予測し難いことである。「民衆は、価格がいくら下がれば購入を許容できるかを知らない」。上海社会科学院不動産研究センターの姚宏来・主任は語る。彼の予測によると、上海における住宅価格は、全体として20%~25%下がる可能性がある。しかし、復旦大学不動産研究センター主任尹伯成によれば、全体として30%下落したところで取引高が増加し、需給が均衡するという。
「現在、上海の住宅価格は、適度な水準に回帰することになるであろうが、その必要性はないし、大幅に価格が下落する必然性はない」。上海社会科学院不動産研究センターの張泓銘・理事長は自分の考えを堅持する。彼の依拠するところは、最近5年間(主に2003年~2004年)において上海の住宅価格は高騰したが、なおもコントロール可能であって、臨界点を越えなかったことである。
「今回の不動産における調整の中で、上海の住宅価格が理性的な段階まで回帰することを望んだにせよ、下げ幅については、あらゆる要素を勘案してもせいぜい29%の下げ幅をベースに議論すべき問題であり、50%という驚異的な下げ幅は根本的に存在しない」。張泓銘氏の分析によると、「上がるものを買って下がるものは買わない」という心理と行動は、主として短期の利ざやを得ようとするにわか需要者にのみ当てはまる。真の需要者は、その多くが購入の決定を適度に遅らせているだけであって、決して長期的に購入を取りやめることはないのである。
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