【大紀元日本7月30日】米国務省の「中国軍事力年次報告書」がこのほど、米下院軍事委員会に提出され、審議が27日行われた。
この報告書は、今年の3月に提出される予定だったが、政府関係部門の親中派の再三の修正要求を受け、今日までに延長された。
「中国軍事力年次報告書」は、2000年から米議会の要求に応じ、国務省が毎年提出する中国軍事力の評価報告で、米国の軍事予算、軍備支出を決める際の重要な参考となっている。調査対象となっているのは、旧ソ連と中国だけである。
45ページにわたる報告書は、事実の記述が中心で、要点は比較的に明確であるとメディアや評論家らは評価している。
報告書は3つの部分から構成されている。
1、中国軍事予算の近年の急増問題
中国の軍事支出は非常に不透明で、実際の軍事予算増加率はGDPを超えている。中国政府が公表した299億人民元(日本円4200億円)の3倍で、事実上900億人民元(日本円1兆2600億円)になる、アメリカとロシアに続いて、世界3位である。
2、中国軍備の近代化に大きな進展
米議会審議会で、国務省前国務長官補佐クレーム氏(2000年度の報告書製作責任者)は、実例を挙げ、この問題を説明した。中国政府による台湾海峡での短距離弾道ミサイルの設置は、毎年100基増え、計700基に達している。特に台湾海域での潜水艦能力が強化された。例えば、空対空、空対地を攻撃する先端技術の第4世代戦闘機の配置、パソコンネットワークのコントロール能力が進化したなどなど。また中国政府は、核兵器の開発に力を注ぎ、アメリカ全土を含む広範囲が攻撃可能になっている。一方、核兵器を除いた通常兵器能力は、依然限定的であると指摘している。
軍事技術の大半は、ロシアやイスラエル、アメリカも含めて、外国からの輸入に頼っている。米国務省は、2005年2月に半導体光ファイバーの設計技術が中国に漏洩された件で、中国は厳重に警戒すべき相手であることを認識している。
3、中国は軍事戦略の十字路に立っている
中国軍備の拡張は、当地区の他国軍事力の配置でも、脅威となっている。中国の軍事関係首脳らは、台湾を越える地域に目を向けはじめている。中国のある軍部高官・温中文氏(音読)の発言:「台湾には、国際軍事力がわが国に対する海上封鎖を打破できる重大な意義を持っている・・・・・・、この封鎖を打破した時点で、はじめて中国の飛躍が確認される」を引用している。
ワシントン・タイムズ紙は、今回の報告書はこれまで以上に「強硬」路線を明確にしていると伝えている。
*中国共産党の本性*
審議過程で、ある議員は、中国に国際協定を締結させることで、彼らの軍備拡張を牽制できるのではないかと提議したが、ワシントンを拠点とするシンクタンク・国際戦略評価センター(IASC)のリチャード・フィッシャー氏は、「恐らく中国当局は国際協定には気軽に署名するが、しかしその後も依然として、協定を破り、好き勝手に行動するだろう。中国共産党の本性からみれば当然あり得る現実で、彼らは協定を守る事をまったく考えたことがない。反対に、協定の実行を口実に、戦略上の利益を要求してくるだろう」と鋭く暴いた。
*事実を語ろう*
米国シンクタンク「ヘリテッジ財団」のベテラン研究員ジョン・ターシック氏は、政策アドバイスとして「事実を語ろう」と明記した。「アメリカ行政部門は、複雑な米中関係に直面していることを自国民に知らせなければならぬ、再三に核脅威発言を受けながらも、粉飾した言葉で、両国関係を飾るべきではない、これは明らかな事実である、このままいけば、中国はアジア太平洋地域国家の脅威になる」と警鐘をならした。
ターシック氏は「第2次世界大戦が勃発する前夜、欧州の政治家ら多くは、ヒトラーに、『チェコを譲ったら、納得するか』と尋ねた。『もちろん、私は満足する』とヒトラーは答えた…。台湾は、チェコの二の舞になる可能性は十分にある」と歴史を挙げ説明した。
多くの学者らは、今回の「中国軍事力年次報告書」は、米国民に警鐘を鳴らすものと認識している。
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