トランプ米大統領は9月29日、人工知能(AI)分野で中国共産党(中共)といかなる形の合弁事業や協力も行う考えはないと表明した。中共との協力は、米国の主要な敵対勢力に「機密を漏らす」ことに等しいと指摘した。
「われわれは今、中共やその他すべての国に先行している。この優位を維持したい」。トランプ氏は29日午前、ワシントンで開かれた「America.gov」の公開記念式典でこう述べた。米国はAI分野で「大幅に先行している」と強調し、競争相手となり得る国々と協力することは望んでいないと語った。
「そのようなことをすれば、われわれが保有し、彼らやその他の国々が喉から手が出るほど欲しがっている多くの機密を渡すことになる」と述べた。さらに、「率直に言って、3番手など存在しない。……これは完全に、われわれと中国との競争だ」と語った。
トランプ氏はまた、先週、訪米した習近平と会談した際、AIについても協議したと明らかにした。その上で、AIをいかなる形であれ共同開発することには断固反対したと説明。「そうすれば、彼らはわれわれが知っていて、彼らが知らないことを直ちに手に入れられるようになる」と述べた。
29日正午、トランプ氏はホワイトハウスでマイク・ジョンソン下院議長とともに昼食会を主催し、シリコンバレーを代表する大手テクノロジー企業6社の幹部と会談した。
ロイター通信など複数のメディアが関係者の話として報じたところによると、出席者には、メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)、アンソロピックのダリオ・アモデイCEO、オープンAIのグレッグ・ブロックマン社長、グーグルのサンダー・ピチャイCEO、パランティアのアレックス・カープCEO、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが含まれていた。
会談を前に、AI業界では深刻な安全保障上のリスクに対する懸念が高まっていた。オープンAIやアンソロピックは、開発したAIエージェントが許可なく顧客のシステムに侵入する動作を自動的に実行したと公表したことが話題となった。
さらに、元研究者らが「最先端モデルは今後10年以内に人命を脅かす可能性がある」と警告したことで、米議会では与野党双方から強い反発が起きている。
ロイター通信とイプソスが実施した最新の世論調査では、米国の回答者の73%が、AI企業は技術による被害を防ぐための取り組みが不十分だと懸念していることが分かった。また、55%がAIの開発ペースを減速させることを支持した。
ホワイトハウスとテクノロジー業界の対話では、技術革新と政府による監督の均衡をどう図るかが焦点となった。ジョンソン下院議長は会談に先立ち、政府がAI開発の一時停止(モラトリアム)や過度な規制を導入することは絶対にないと強調した。こうした措置を取れば、米国は北京との技術競争で優位性を失うことになるとの見方を示した。
トランプ氏もこれまで、既存の法的枠組みや大統領令に基づく審査で十分だと繰り返し強調し、米国の技術的優位性の維持を推進してきた。
一方、大手テクノロジー企業の間では、AIの安全対策をめぐる立場が分かれている。アンソロピックとオープンAIの幹部は、安全対策の仕組みを設けるよう強く求めている。アモデイ氏は、最先端AIモデルの開発で「歩みを緩める」べきだとする論文を発表した。
これに対し、メタのザッカーバーグ氏は異なる路線を取り、オープンな開発を支持している。AIがもたらすプラスの効果を強調し、過度な制限を避けるべきだと主張している。
今回の会談に先立ち、トランプ氏は27日、アモデイ氏と非公式の夕食会を開いた。また、先週、ホワイトハウスが習近平を招いて開いた国宴でも、複数のテクノロジー企業幹部と交流した。出席者には、アップルのティム・クック取締役会長、スペースXのイーロン・マスクCEO、エヌビディアのジェンスン・フアンCEO、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のリサ・スーCEOらが含まれていた。
アモデイ氏は以前、発表した論文の中で、中共が世界的なAI規制や安全保障協力を進める上で、最大の障害となる可能性があると警告していた。
同氏は、民主主義諸国が開発速度を盲目的に落とす一方で、中共に対する半導体の輸出規制を厳格に実施せず、技術窃取やモデル蒸留(ディスティレーション)を防げなければ、北京がその時間差を利用して技術格差を縮め、さらには技術的優位性を逆転させる恐れがあると指摘した。
こうした状況は、将来の世界的なAI規範の策定や安全保障面での協調に、大きな地政学的不確実性をもたらすとしている。
昼食会での議論に加え、トランプ氏は同日、バンス副大統領、ルビオ国務長官、イーロン・マスク氏とともに、AIを活用した新たな公式ウェブサイト「America.gov」の発表会にも出席した。
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