トランプ氏 米・メキシコ・カナダ協定の再交渉について「無関係」と一蹴 カナダは中国に接近

2026/01/15
更新: 2026/01/15

トランプ米大統領は今週、カナダとの貿易の重要性を否定する従来の姿勢を改めて示した。発言があったのは、カナダのマーク・カーニー首相が中国訪問に向かう直前だった。

カーニー首相は、米国との通商摩擦が続く中、アジアなどに目を向け、貿易関係の拡大を模索してきた。カーニー政権が、中国という一党独裁体制の国との関係深化を訴える主張は、米国の政策がもたらす経済環境を前提としている。

一方、中国側は、北京に対する国内外の安全保障上の懸念や中国の強硬姿勢を背景に関係が長年停滞してきた後、なぜカナダ政府が接近してきたのかを十分に理解しているとみられる。

トランプ大統領は1月13日、ミシガン州で米フォード・モーターの工場を視察中、カナダとの貿易について言及した。自らの関税政策が米国内の自動車生産活動を活発化させていると説明した後、記者団から米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の再交渉について問われた。

トランプ大統領は、USMCAについて「考えもしない」と述べ、カナダとメキシコが繁栄することは望むとしつつ、米国は両国の製品を必要としていないとの認識を示した。完成品や石油、木材といった原材料に関しても、同様の主張を過去に繰り返してきた。

トランプ大統領は、カナダやメキシコ製の自動車は必要なく、米国内で生産したい考えだと強調した。その結果、企業がカナダ、メキシコ、日本、ドイツなど世界各国から米国に移転してきていると述べた。

USMCAを再交渉する意向があるのかと重ねて問われると、トランプ大統領は、協定は近く期限を迎え、維持してもしなくても構わないとの考えを示し、実質的な利点はなく自分にとっては「無関係」だと述べた。

こうしたUSMCAの将来に関する発言は、2025年12月にもトランプ政権のジェイミソン・グリア通商代表が行っている。グリア代表は当時、協定からの離脱、改定、再交渉はいずれも可能だと述べた。これに対し、カーニー首相とカナダのドミニク・ルブラン米加通商相は、トランプ政権がUSMCAの破棄を協議しているわけではないとの認識を示していた。

一方、カーニー首相は1月14日、北京到着後、カナダと中国の関係が「太平洋の両側に機会と繁栄を生み出してきた」と述べ、新たなパートナーシップ構築に意欲を示した。

同日、アニータ・アナンド外相も記者団に対し、2017年以来となるカナダ首相の中国訪問の重要性を強調した。アナンド外相は、貿易関係や、両国間の強い人的つながりを踏まえた協力の可能性について、中国側と協議する考えを示した。

アナンド外相は、2022年に公表されたインド太平洋戦略で中国を「破壊的」な世界的勢力と位置づけている点について、記者団の質問に直接答えることを避けた。その上で、新政権と新首相の下、新たな地政学環境に対応した外交を進める必要があるとし、経済的な圧力が強まる中、今後10年間で非米国向け貿易を少なくとも50%拡大する必要があると述べた。

こうした動きに対し、中共は、カーニー首相の訪中を前に、関係改善はカナダが対中政策で米国と距離を置くかどうかにかかっているとの警告を発した。中国国営紙チャイナ・デーリーは1月12日の社説で、カーニー政権が中国との協力強化を本気で考えているのであれば、それが米国の負担を軽減するための一時的措置ではないことを示す必要があると指摘した。

同紙は、将来再び中国政策をワシントンの意向に従属させるなら、北京との関係修復の努力は無に帰すと論じている。

一方、ワシントンはカーニー首相の訪中を注視し、どのような合意や譲歩がなされるのかを見極めようとしている。カーニー首相は、貿易摩擦の打開を期待する一部産業界から圧力を受けているが、その場合、カナダは外交政策面で米国からさらに距離を置くことになる。

中国は昨年、カナダが中国製の鉄鋼、アルミニウム、電気自動車(EV)に追加関税を課したことへの報復として、カナダ産の農産物や水産物に関税を課した。トルドー前政権は2024年後半、バイデン政権に追随する形で対中関税を導入していた。

トランプ大統領は1月13日、中国製自動車を米国で受け入れる可能性について問われ、中国は欧州で自動車産業を「席巻している」と述べた一方、米国では中国車に100%の関税を課しており、これにより米国メーカーは中国に対して「非常にうまくやっている」と説明した。

欧州連合(EU)の中国製EVに対する関税は米国より低く、中国メーカーは2024年から2025年にかけて販売台数をほぼ倍増させるなど、急速に市場シェアを拡大している。

カナダの保守党のピエール・ポワリエーブル党首は1月14日、中国製EVに対する関税を後退させるべきではないと述べた。ポワリエーブル党首は、中国製EVについて監視能力を理由に「国家安全保障上の脅威」であり、カナダの雇用を脅かす存在だと指摘した。

また、カナダ政府が中国製船舶を購入するためにブリティッシュ・コロンビア州のフェリー会社に提供した10億カナダドルの融資を交渉材料に、中国側に報復関税の撤廃を迫るべきだとの考えを示した。

モントリオールを拠点とするエポックタイムズ記者。Twitter: @NChartierET