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急速に変化する米国政治 7年ぶりの次期国王訪米でかつてないほど強固い絆に

米・サウジが歴史的接近 総額2700億ドル超の巨額契約とF-35売却承認

2025/11/20
更新: 2025/11/20

ワシントンで11月19日に行われた米・サウジ投資フォーラムで、トランプ大統領は次のように述べた。

「今日だけで、数十社の企業が2700億ドル(約42兆円)もの契約や売買合意に調印している。これはとんでもない大きな話だ」

このフォーラムは、サウジアラビアの実質的な指導者であるムハンマド・ビン・サルマン王太子の訪米に合わせて開催されたものである。トランプ大統領は、この投資急増は自分の経済政策の成果だと強調した。

具体的な契約内容は以下の通りである。

  • サウジ国営石油会社サウジ・アラムコは、米国企業と総額300億ドル超の覚書や契約17件を締結した。液化天然ガス(LNG)、金融サービス、先端素材製造、資材・サービスの調達などが含まれる。
  • GEエアロスペースは、サウジの国営航空会社サウディア航空が保有するボーイング787ドリームライナー向けに、多数の航空機エンジンを供給する。さらにエンジンの整備・修理・オーバーホール(MRO)一式と予備エンジンも提供する。
  • サウジのAI企業ヒューメインは、AMDとシスコと共同でAIデータセンターを建設する合弁会社を設立する。まずサウジ国内に100メガワット級の施設を建てる。
  • 同社はさらに、イーロン・マスク氏のxAIとも提携し、サウジ国内に500メガワット級のデータセンターを建設する予定である。
  • エヌビディアのジェンスン・フアンCEOはフォーラムで、サウジと協力してスーパーコンピュータを構築していることを明らかにした。

また11月18日には、両国政府間で以下の協定が結ばれた。

  • 民間原子力エネルギー
  • 重要鉱物
  • 人工知能

これらに関する協力協定である。

トランプ大統領は「米国とサウジの関係は世界でもっとも重要なパートナーシップの一つだ。王太子と私は、これまでにないほど強固で力強い同盟関係を築いている」と語った。

防衛面でも大きな動きがあった。両国は「米・サウジ戦略防衛協定」を締結し、トランプ大統領はF-35ステルス戦闘機や米国製戦車約300両を含む大型の武器売却パッケージを承認した。

「サウジには、これまでで最高の軍事装備を売ることになる」とトランプ氏は胸を張った。ただしF-35の売却には米議会の承認が必要で、トランプ氏は「もう私が承認したから24時間もあれば通るだろう」と冗談交じりに語り、会場を沸かせた。

サウジ側も積極的である。王太子はホワイトハウスでの会談で、米国への投資を従来の6000億ドルから1兆ドル(約154兆円)に引き上げる考えを示した。特に新興技術、AI、データセンター、磁石などの分野に重点を置く。

さらにトランプ政権は、先端半導体技術の一部をサウジに輸出することを検討しており、国務長官のマルコ・ルビオ氏は輸出ライセンスの手続きを進めていると明かした。

一方、王太子はイスラエルとの国交正常化を目指す「アブラハム合意」への参加に関心を示した。ただしその条件として、イスラエルとパレスチナの二国家解決に向けた「明確な道筋」が必要だと強調している。

今回の訪米は、王太子にとって2018年以来、約7年ぶりの米国訪問であり、米・サウジ関係が再び緊密化していることを象徴する出来事となった。

Emel Akan
エポックタイムズのホワイトハウス上級特派員、トランプ政権担当記者。 バイデン前政権とトランプ第一次政権時は経済政策を担当。以前はJPモルガンの金融部門に勤務。ジョージタウン大学で経営学の修士号を取得している。