【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

米下院 90億ドルの歳出削減法案を可決 トランプ大統領の署名へ

2025/07/18
更新: 2025/07/18

米下院は17日、総額90億ドルに上る歳出削減法案(リセッション・パッケージ)の修正版を可決し、大統領の署名を経て法制化される見通しとなった。

採決結果は賛成216票、反対213票。共和党からはマイク・ターナー議員とブライアン・フィッツパトリック議員の2人が反対票を投じた。

この法案の可決は、今月初めに成立した「大きくて美しい法(One Big Beautiful Bill Act)」に続くもので、同法では2017年の個人向け減税を恒久化する措置などが盛り込まれており、トランプ氏にとっては続けざまの立法上の成果となった。

公共放送予算にも影響

今回の歳出削減法案には、公共放送公社(CPB)に対する2年間で11億ドルの予算削減が含まれており、NPR(全米公共ラジオ)、PBS(公共放送サービス)やその加盟局に影響が及ぶ見通し。これは、トランプ氏が選挙戦で掲げた「公共放送への連邦支援の廃止」という公約の実現にあたる。

共和党は長年、NPRやPBSがリベラル寄りの報道姿勢を取っていると批判してきた。

上院でも可決、過去最大規模の削減に

この法案は、1974年の「予算押収管理法(Impoundment Control Act)」に基づく手続きに則って審議されており、これまで同様の法案は下院を通過しても上院で難航することが多かった。しかし、今回は一部修正を加えることで上院でも可決に至った。上院でこの方式により可決された法案としては、過去最大級の歳出削減規模となる。

上院多数党院内総務のジョン・スーン議員は、この法案が共和党の財政責任を確保するという目標を体現していると述べた。

削減の大半USAIDから

削減額のうち約79億ドルは、すでに廃止された米国際開発庁(USAID)の予算に由来し、同庁の機能は現在、国務省に引き継がれている。

当初は83億ドルの削減が盛り込まれていたが、PEPFAR(大統領エイズ救済緊急計画)への予算削減が撤回されたことで、4億ドル分が削除された。

PEPFARは、2030年までにHIV/AIDSの世界的流行を終息させることを目的としており、削減撤回は票の取りまとめのために行われたとされる。

下院共和党の一部からは、削減の一部が取り下げられたことへの失望の声が上がっている。

グレン・グロスマン議員は「上院の共和党は、財政責任において下院ほど厳格ではない。それは承知していたが、やはり失望ではある」と述べた。

エリック・バーリソン議員も「PEPFARの削除は残念だ。これ以上の削除がないことを祈っているが、いい兆候とは言えない」と語った。

ハリエット・ヘイグマン議員は、「議会内に、歳出削減に積極的でない姿勢があることを懸念している」と述べた。

ホワイトハウス前で記者団に応じた米行政管理予算局(OMB)のラッセル・ボート局長は、今後さらに新たな歳出削減パッケージが提出される可能性を示唆した。

「追加のパッケージが提案される可能性が高いと考える。現時点ではその段階には至っていない。現在、何かを発表する予定はないが、この取り組みが時間の無駄ではなく、有益な努力であったかという観点においては、確かにその基準を満たしている。今後の展開を見守るつもりだ」

民主党は強く反発

一方、民主党はこの法案に強く反発している。

上院少数党院内総務のチャック・シューマー議員は、採決前の演説で「この法案は地方や農村部のラジオ局を干上がらせる」とし、公共放送への影響を批判した。

また、上院外交委員会の筆頭委員ジャンヌ・シャヒーン氏は、今回の法案が中国に利する結果になると警鐘を鳴らした。

「この法案の成立は北京で歓喜をもって迎えられるだろう。トランプ政権の下、アメリカの国際的影響力が後退していることを、中国はすでに歓迎している」と述べ、「これらの削減は、アメリカの安全と繁栄を損なうものだ」と指摘した。

かつて上院多数党院内総務を務めたミッチ・マコネル議員は、当初「ソフトパワー(非軍事的影響力)」への悪影響を懸念していたが、最終的には賛成票を投じた。

大紀元のワシントン特派員。 ワシントン政治を中心に、政治とスポーツ、スポーツと文化の交差点についても取材・報道を行っている。 過去には、Mediaiteのライターや、Jewish News Syndicateのワシントン特派員を務めた。 また、The Washington Examinerにも寄稿したことある。 ジョージ・ワシントン大学卒業。
エポック・タイムズ記者。国政を担当し、エネルギーと環境にも焦点を当てている。核融合エネルギーや ESG から、バイデンの機密文書や国際的な保守政治まで、あらゆることについて書いている。米国シカゴ拠点に活動。