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米最高裁 敵性外国人法の適用容認 国外退去の差し止めを無効に

2025/04/08
更新: 2025/04/08

米連邦最高裁判所は4月7日、トランプ政権による「敵性外国人法」の適用を一時差し止めていた連邦地裁の命令を無効とする判断を下した。これにより、ベネズエラ人ギャングの関係者とされる拘束者の国外退去手続きが進められる可能性が高まった。

最高裁は署名のない「パー・キュリアム」形式の意見書で、トランプ政権の訴えを認め、地裁が出していた2件の一時的差し止め命令とその延長措置を取り消すと表明した。これらは連邦地裁のジェームズ・ボーズバーグ判事によって発出されていた。

ソトマイヨール判事は反対意見を書き、ケーガン判事とジャクソン判事がこれに同調した。バレット判事も一部において反対意見に賛同している。

判決では、政府側の主張に沿って、「国外退去の対象者が適正手続きを求めるにはハビアス・コーパス(人身保護請求)によるべきであり、原告側は訴訟の初期段階でその手続きを放棄した」と指摘。また、訴訟を提起した裁判所に適切な管轄権があったかについても、DC巡回区控訴裁のジャスティン・ウォーカー判事の意見を引用しつつ、疑義を示した。

「被収容者はテキサス州に拘束されているため、コロンビア特別区(ワシントンD.C.)での審理は適切ではない」と意見書は述べている。国外退去に異議を唱える機会は認められるものの、適切な審理の場は「拘束されている地区」、すなわち原告らが実際に収容されている場所であると付け加えた。

また、退去対象者には、「敵性外国人法」による国外退去が決定したことを「適切な期間内に通知し、適切な地域でハビアス請求を行う機会を保障すべきだ」とした。

ソトマイヨール判事とジャクソン判事は、「裁判所は拙速すぎる対応を取った」として反対意見を表明。ソトマイヨール判事は「多数派は、確立された司法権の限界を無視し、緊急対応用の手続きで新たな法理を創出し、個々の拘束者の生命に対する深刻な脅威を軽視している」と批判した。

この判断は、最高裁が直前に連邦教育助成金の凍結に関する下級審命令を差し止めた件に続くものだ。

ソトマイヨール判事はケーガン判事の反対意見を引用し、「簡易な書面審理のみで、口頭弁論なし、熟考する時間もほとんどない」まま審理を進めたと述べた。

今回の最高裁判断について、ボンディ司法長官はXで「法の支配にとって画期的な勝利だ」と称賛。「ワシントンD.C.の活動家判事が、トランプ大統領の外交政策権限を奪おうとしたが、それは許されない」と述べた。

トランプ氏もトゥルース・ソーシャルに投稿し、「最高裁は、大統領が国家の安全と国境管理を担うことを認め、法の支配を支持した」と強調。「アメリカにとって偉大な一日だ!」と続けた。

この判断は、政府と原告団がそれぞれ対立する意見書を最高裁に提出していたことを受けて出されたもの。

連邦政府側のサラ・ハリス代理訟務長官は、「この訴訟は、国家安全保障に関わる機密性の高い作戦の遂行について、誰が最終的な判断を下すのか――憲法第2条に基づく大統領なのか、それとも一時的な差し止め命令を通じて司法が関与すべきなのか――という根本的な問題だ」と述べた。

トランプ氏はこれに先立ち、ボーズバーグ判事の命令を不服としてDC巡回控訴裁に上訴したが、裁判所はその請求を退けていた。

原告側は4月1日、地裁の差し止め命令について、「前例のない平時での『敵性外国人法』の適用によって、これ以上の人たちが司法手続きもないまま、厳しい環境の外国の刑務所に一生送り込まれてしまうような事態を防いでいる」と裁判所に訴えた。

ワシントン特派員 サム・ドーマンは、エポックタイムズの裁判と政治を担当するワシントン特派員です。X で @EpochofDorman をフォローできます。