今秋から接種開始される新ワクチン「レプリコン」 懸念抱く有志団体が中止を求める

2024/08/24
更新: 2024/08/26

今秋10月1日から新しい新型コロナワクチンの接種が開始される。23日、今回、世界で接種が初めてとなるレプリコンワクチンを含め、mRNAワクチンの接種の中止を求める「mRNAワクチン中止を求める国民連合」の記者会見が東京千代田区の外国人記者クラブで行われた。

レプリコンワクチンは、米国のバイオ企業であるアークトゥルス・セラピューティクス社の技術を使用し、細胞内にmRNAが送達されると自己増幅するという今までにないもので、既存のワクチンよりも少ない接種量でワクチンの効果が持続することが期待されている。今回、日本で承認されたのは世界で初めてとなった。

製造元のMeiji Seika ファルマ株式会社によると、レプリコンワクチン、商品名「コスタイベ筋注用」は、細胞内にmRNAが送達され自己増幅されるsa-mRNA技術を使用しており、既存ワクチンよりも少ない接種量で高い中和抗体価が持続するのが特徴。自己増幅期間は短かく、安全性に問題は無いとしている。

国内で実施した追加免疫の第Ⅲ相臨床試験では、起源株及びオミクロン BA.4-5株に対する中和抗体価が対照とした既存ワクチンよりも高いことが確認され、さらに、それぞれの中和抗体価は 6か月間持続することが確認された。

Meiji Seika ファルマは種量が少ないため分析結果も良好で、有害事象も多くが軽度か中等度で一過性のものであり、本剤接種と因果関係がある重度又は重篤な有害事象は認められなかったとしている。

治験期間は初回免疫の申請は23年4月28日、追加免疫は同年6月30日、その後、11月28日には極めて短い期間で承認を得ている。

2021年2月に接種が開始されたmRNAワクチンに関しては、これまで「副反応」と称される多様な有害事象が確認されており、厚労省はワクチン接種と接種後の健康被害についての因果関係を認めていないものの、厚生労働省新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査(2024年7月11日時点)は、進達受理件数のうち認定数が累積で7738件、死亡一時金または葬祭料に係る件数を含む認定数が累積で713件となる健康被害が見られている。

海外のワクチン接種を進めた国々でも同様の被害が発生し、国際的にワクチン接種と接種後の健康被害についての因果関係を認める研究結果も出ている。コロナワクチンの有害性に気がついた海外諸国はほぼ接種を取りやめ、または接種を進めていたとしてもワクチン接種者は少なく、7回と大規模に打ち続けてきたのは世界中で日本のみとなった。

こうした中で、「mRNAワクチン中止を求める国民連合」は自己増殖型mRNA ワクチンに対して、重大な懸念があるとして、7月24日、秋の接種開始に準備を進めているMeiji Seika ファルマ株式会社やレプリコンワクチンの研究・開発を行ったVLPT ジャバン社などに、レプリコンワクチンの詳細情報、シェディングとも呼ばれる個体間伝播の可能性、治験の方法と示されている安全性、治験審査委員会が美容皮膚科のマノメディカルクリニックになっていることに対する疑義や、5類に分類されて新型コロナ感染症において、健康被害が発生するか分からない中で、新しいワクチンの接種を進めることに対する適時性などといった内容を含む公開質問状を提出し、8月1日までの返答を要求したが、24日現在も全く回答がない状態だという。同団体は日本の公衆衛生の大きな危機と捉え、今回のレプリコンワクチンを含むワクチン全般の接種の即時停止を求めている。

以下は公開質問状の詳細

1 細胞内自己増殖及び標的細胞について

1. 御社のレプリコンワクチンのmRNA の体内における細胞内自己増殖についての以下の質問へのご回答をお願いします。

① どの程度の量の抗体産生を見込んでいるのか。

②どの程度の量と期間で自己増殖が止まるのか。

③ 自己増殖を止める機序はあるのか。

④ 自己増殖を止める機序がない場合、それを安全であるといえるのか。

⑤ 作用機序解析は十分に行われたのか。

© 使用後に作用機序解析を進める計画であれば、現段階での不足情報は何か。

2.標的細胞について

mRNA 技術は、核酸医薬品として長年研究されてきたが、標的細胞を特定し正確に届けることが課題であった。mRNAを取り込んだ細胞がスパイクタンパク質を発現すれば、その細胞は自身の免疫機能の攻撃を受けることになる。特例承認されたファイザー社のコミナティ筋注は、標的細胞が特定されぬまま接種が開始され、甚大な被害を出していることから、御社のワクチンについて以下の質問への回答をお願いします。

① 標的細胞は特定できているのか。

②標的細胞が特定されている場合、それはどこの細胞であり、どのように正確に届けるのか。

③標的細胞が特定されていないのであれば、ファイザー社のワクチンと同等の被害が起こる可能性がある。ましてや御社の製品はレプリコンワクチンであるがゆえ、さらに長期的であり、また多くの健康な細胞が自身の免疫機能の攻撃を受ける可能性があると考えられるが、この点について御社は、何をもって安全であるとしたのか、また安全を担保する研究データ等を教えてください

II ワクチンに用いる抗原について

1. 全長スパイクタンパク質の毒性について

御社のレプリコンワクチンでは、スパイクタンパク質の全長分のmRNAが設計されているが、すでに従来のmRNAコロナワクチンではスパイクタンパク質の毒性について数々の報告1)2)がある。そのような報告がある中で、御社が全長スパイクタンパク質を用いた理由についてご回答ください。

Ⅲ 個体間伝播の可能性について

1.細胞間伝播の可能性とそのリスクについての認識について

細胞間伝播のリスクが30年も前に論文化3)されているのにもかかわらず、そのリスクを検証することなく市中の一般人を対象に隔離もせずに大規模3相試験を行うのはなぜか、その理由をご回答ください。

2、個体間伝播の可能性とそのリスクの周知徹底について

レブリコンワクチンには個体間伝の可能性がある以上、接種対象となる被治験者、治験を実施する施設、そして被治験者に接触する可能性のある全ての人に、個体間伝播の可能性とそのリスクを直ちに周知徹底すべきと考える。しかしながら、日本国内において大規模臨床試験が進行中にも関わらず、御社のプレスリリースにも、厚労省やPMDA からも個体間伝播の可能性とそのリスクについての周知徹底は一切ない。なぜ御社は個体間伝播の可能性とそのリスクについて周知徹底しないのか、その理由をご回答ください。

3.個体間伝播の可能性とそのリスクによる開発会社の株価下落について

レプリコンワクチンの個体間伝播の可能性とそのリスクを海外に発信した結果、コスタイベ筋注の開発会社であるアークトゥルス(Arcturus)の株価が、6月7日あたりから下がり始めて7月3日あたりを底辺としてその後も低迷を続けている。これは、投資家がレプリコンワクチンによる個体伝播の可能性とそのリスクを懸念しての反応と思われるが、この投資家の反応についての御社のお考えをご回答ください。

4. 蚊による媒介について

ベネズエラウマ脳炎ウイルスをはじめとするアルファウイルスによる感染症は、蚊を媒介して感染することが知られている。御社のレプリコンワクチンにはベネズエラウマ脳炎ウイルスの一部を使用していることから、レプリコンワクチン接種者と非接種者間の蚊を媒介とした個体間伝播の可能性が危惧される。この点について、以下の質問へのご回答をお願いします。

①この蚊を媒介とした個体間伝播について、どの程度検証したのか。

②その結果、「蚊を媒介とした個体間伝播はない」とするのであれば、それを示す検証結果を教えてください。

IV IgG4の誘導について

これまでのmRNA ワクチン接種で明らかになったことは、接種を複数回繰り返すことで、通常は低濃度であるはずの IgG4の増加が誘導される 4)ことである。IgG4は、他のIgGやIgEなどによる免疫作用を阻害し、当感染症のみならず、あらゆる病気への免疫力の低下や、IgG4関連疾患をもたらすことも明らかとなってきており、感染症予防の観点から見ても本末転倒な結果を生み出すことが懸念されている。

1. VLPT社が報告している論文 6)の Fig.S7(supplemental Figure 7)によると、レプリコンワクチン接種で明らかに IgG4の増加が誘導されている。この誘導によって上記のようなIgG4関連疾患になるリスクがあり、ワクチンとしての利用は中止すべきと考える。IgG4の増加の誘導に関し、御社ではどのような研究をしてワクチンとして接種しても問題ないと判断したのか、その研究内容と結果を教えてください。

Ⅴ 治験について

1.抗体価の評価について

コミナティ筋注やスパイクバックス筋注などのこれまでに接種されたmRNA コロナワクチンでは、前述した IgG4 関連疾患のように、mRNA ワクチン接種によって引き起こされている可能性のある病態の報告がある。しかしながらレプリコンワクチンの治験においては最長でも52週と短い期間でしか検証されていない現状であるため、下記の質問へのご回答をお願いします。

①評価項目の抗体価の上昇とその持続期間について、ファイザー社のコミナティ筋注群との比較でしか検証していない理由。

② 長期にわたり抗体価を上げ続けることの健康被害についての御社の認識と、それに対してどのように長期的な検証をして接種者の安全を確保していくつもりなのか。

2.安全性について(蓄積・移行性、変異、個体間伝播の可能性、一般的な副反応、重篤な副反応)

御社の薬物動態の実験結果について、承認済みのコスタイ筋注1価審議結果報告書では、薬物動態の実験に使われた開発コードは、承認された ARCT-154とは異なっている。この点から下記の質問へのご回答をお願いします。

①承認された ARCT-154で薬物動態の調査をしない理由。

② 薬物動態の実験に使われた開発コードと承認されたものが異なるのにも関わらず、承認された理由と承認審査の時点でこの点について指摘を受けなかったのか。

③ 御社の薬物動態の実験結果に脳や卵巣や精巣に移行、蓄積しているという報告があるが、それによるリスクは認識しているのか、また追加研究の予定はあるか。

④ 従来の生ワクチンや不活化ワクチンと違い、mRNA ワクチンは核酸医薬品であり、③のような報告を踏まえ、生殖毒性や遺伝性の可能性があり、次世代への影響が懸念される。これは本来検証すべき項目であるが、「ワクチン」という名のもとで、これらの毒性については治験で検証されていない。現時点で次世代への影響について判明している知見はあるのか。「懸念はない」とする場合、根拠となる資料はあるのか。また、追加研究の予定はあるのか。

3. アルファウイルスの変異率

御社のレプリコンワクチンは、アルファウイルスという変異率も組み換え率も高いウイルスのレプリカーゼを使用している核酸医薬品である。よって東京理科大学の分子生物学者である村上康文名誉教授や分子腫瘍学研究所の分子生物学者及び免疫学者である荒川央博士は、接種者の体内でどのような変異が起こるのか不明であることから、遺伝的な悪影響について大きな懸念を示している。またアルファウイルスの変異について、今後接種者を増やしたときに治験の時点では発見されなかった変異が生じる可能性が高くなることから、以下の質問へのご回答をお願いします。

① 体内での変異や遺伝的影響について、何をもって「安全である」としたのか。

② 体内での変異や遺伝的影響についての具体的な評価項目や治験時の資料を提示してください。

③ 御社は、大規模接種を行った場合の、アルファウイルスの変異の可能性についてどのように認識しているのか。

④変異が生じた場合の弊害について、どのように考えて準備しているのか。

4治験デザインについて

(1)開発コードが異なっているにも関わらず、開発コードごとに全てのフェーズで治験を実施しない

ことについて

レブリコンワクチンにはいくつかの開発コードがあることが治験情報から判明している。レプリコンワクチンは遺伝子を組み替えて作製されるワクチンであるため、開発コードが違えばそれは一つ一つすべて別製品であると認識するのが通例である。しかしながら、開発コードによっては、第1相試験、第2相試験にとどまるものや、第1相試験や第2相試験を省略して第3相試験を実施しているものなど、開発コードごとに全て第1~3相試験までを実施しているわけではないように見受けられる。

コロナワクチンの治験に関する規定 7)において親フレームの治験が済めば子フレームは治験の一部を省いて良いと解釈できる記載はあるものの、これが新機序を有するレプリコンワクチンにも該当すると判断することは妥当とは思えない。このことから以下の質問へのご回答をお願いします。

① この治験デザインが妥当であると判断した根拠は何か。

② この治験デザインを妥当であると判断したのは誰か。

(2)治験実施施設について

レプリコンワクチンは、個体間伝播の可能性が懸念されているにも関わらず、全国各地の治験施設では、その検証もないまま治験終了または実施中となっている。このことから、以下の質問へのご回答をお願いします。

① 治験者に対して、レプリコンワクチン非接種者に伝播する可能性があることを伝えているのか。

② 伝えていないとしたらその理由。

③ 万が一、被治験者の同居人等の物理的に近い人や、家族や職場等にいる妊婦や小児、乳幼児などを含め、非接種者への悪影響があるか否かのモニター体制や、悪影響があった場合の御社の対応についての行動計画。

(3)治験審査委員会の選定基準について

治験審査委員会はマノメディカルクリニックとなっている。当該クリニックは公式ホームページを見る限りで美容皮膚科が専門のようであり、免疫学、ウイルス学が専門のようには見えない。なぜこのような施設を治験審査委員会に選定したのか、その理由をお答えください。

VI コロナウイルス感染症に対するレプリコンワクチンの必要性

新型コロナウイルス感染症は、2023年5月8日より「5類感染症」となっており、また現在の症状はこれまでの「風邪」と同程度である。それに対する社のワクチンは、新機序かつリスクが不明瞭で様々な検証が不十分であると思わざるを得ない。検証が不十分であると考える理由は、mRNA技術を用いた医薬品は核酸医療の分野であり、医薬品として承認を得る場合は、次世代への影響等も含めた治験が必要となるはずであるが、ワクチンの分野で承認申請するため、次世代への影響等の検証がなされていないためである。このことをふまえ、以下の質問への回答をお願いします。

①現在、新型コロナウイルス感染症に対して、ワクチンが必要と考える理由。

②現在行っている治験のみで、レプリコンワクチンを実用化する理由。

Ⅶ 国際問題に発展する懸念について

個体間伝播の可能性についての検証をせずに人への治験を実施しているが、現段階においても、また承認を経て実用化された場合においても、この問題は国内でとどまるものではない。海外から日本への入国を拒否される事態等に発展した場合、御社はどのような責任を取るつもりでいるのか、具体的にお答えください。

Ⅷ 御社のレプリコンワクチンに対する考えについて

これまでお伝えした通り、御社のワクチンは人体にとって安全なワクチンであるとは言い難い。これを製品化してワクチンとして人体に接種することについて、社はどのように考えているのか、御社の企業理念に照らしてお答えください。

文献

1) Trougakos IP et al:Adverse effects of COVID-19 mRNA vaccines: the spike hypothesis. Trends Mol Med. 2022 Jul;28(7):542-554. doi: 10.1016/j.molmed.2022.04.007. Epub 2022 Apr 21. PMID:35537987; PMCID: PMC9021367.

2) Parry PI et al: ‘Spikeopathy: COVID-19 spike protein is pathogenic, from both virus and vaccine mRNA. Biomedicines. 2023, 11:2287. 10.3390/biomedicines11082287.

3) M M Rolls et al: Novel infectious particles generated by expression of the vesicular stomatitis virus glycoprotein from a self-replicating RNA, Cell, 1994 ,Nov 4;79(3):497-506. doi: 10.1016/0092-8674(94) 90258-5.

4) Irrgang et al.Sci. Immunol. 8, eade2798(2023).

5) Uversky et al. Vaccunes 11:991, 2023. (https://doi.org/10.3390/vaccines11050991)

6) Akahata et al. Cell Reports Medicine 4, 101134, August 15, 2023.

(https://doi.org/10.1016/j.xcrm.2023.101134)

7)厚生労働省:ワクチン開発に関する説明会,ICMRA活動と今後の開発・評価について、2021.

(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000808778.pdf)

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。