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【プレミアム報道】なぜアメリカの1960年の選挙人団は勝利し、2020年の選挙人団は失敗したのか?

2024/05/18
更新: 2024/05/18

1960年の選挙では、激しい競争の結果、大統領選挙で勝者が決まった。 しかし、いくつかの州では、不正が疑われ、投票の結果が調査された。 ある州では、開票結果に明らかな誤りがあり、 他の州では、不正選挙の確かな証拠が見つかったという。

ハワイ州では、選挙結果をめぐる裁判が進行する中、両政党の「選挙人」団が州議事堂に集まり、「選挙人票」を投じた。最終投票では2つのそれぞれ異なる政党毎に結果が出た。 2つの認証はワシントンに送られた。 一通は民主党候補を当選者とし、もう一通は共和党候補を当選者としたものだった。

結局、二つの結果には双方に争いがあったため、1961年1月6日、当時の副大統領であり、選挙の候補者でもあったリチャード・ニクソン氏が、議会の合同会議を招集し、民主党の「選挙人票」結果を受け入れ、共和党の結果を破棄することを決定したのだ。

その時の選挙は、共和党のリチャード・ニクソン対民主党のジョン・F・ケネディだった。

60年後の2020年、歴史はほぼ同じことを繰り返した。不正選挙疑惑を背景に、7つの州の共和党「選挙人」が不正選挙の証拠をワシントンに提出したのだ。

多くのアメリカ人は、いまや1960年の選挙についてあまり覚えていない。 また、2020年の選挙が1960年の選挙と非常に似ていることに気づいている人も少ない。

選挙人と選挙人票とは何か?

アメリカ大統領選挙では、各州の有権者は実際に、まずその州の「選挙人」を選び、その「選挙人」が州を代表して投票するので、米国大統領は市民によって、直接選ばれるわけではない。

各州の選挙人票は、その州の下院議員数と上院議員数の合計に等しい。 選挙人票の過半数を獲得した候補者が大統領選挙に勝利する。

立憲連邦制の下では、全国民投票は法的な意味を持たない。 そのため、州選挙に基づいて発生する選挙人票が、全国民投票の結果と異なる可能性はある。 しかし、州選挙の結果にとっては、個々の市民の票が重要である。

1960年のハワイ州選挙では、第一回集計では民主党のジョン・F・ケネディが92票を獲得して勝利したが、第二回集計では共和党のニクソンが141票を獲得してリードしていた。

民主党は再集計を要求し、共和党のジェームズ・ケアロハ副知事は、投票を再開する権限を持たず、ニクソンの勝利を宣言せざるを得なかった。 その後、裁判所の介入により判事は、1960年12月13日(選挙人投票のわずか6日前)に、全州の投票用紙の再集計を命じた。

再集計とは、最初の集計に異論がある場合に、選挙結果の正確性を確保するために票を数え直すことである。

裁判命令は、ハワイ再集計の成功に不可欠だった。 総選挙の結果が法的には不確定な状態になるからだ。 勝者が認定されたとはいえ、州裁判所の措置によって異なる結果になった可能性もある。

2020年選挙を争う訴訟も起きている。ジョージア州では1件の訴訟が係争中であり、ミシガン州ではもう1件の訴訟が控訴中であるが、ミシガン州最高裁判所は2020年12月9日の総選挙結果認定を停止することを拒否している。

しかし、再集計を強制したり、選挙公認を遅らせたりする州裁判所の命令や州議会の動きは一切なかった。

2020年選挙の共通点

1960年、ハワイ州知事代理は再集計をめぐるジレンマを抱えていた。 共和党の選挙人だけが投票していれば、ケネディが最多票を獲得していたとしても、ニクソンがハワイの選挙に勝っていただろう。

しかし、連邦法の下では、選挙人は選挙後の「12月の第2水曜日の後の最初の月曜日」に投票することになっていた。 もし、1960年12月19日に投票しなければ、州になったばかりのハワイは、初めての大統領選挙を逃していたことになる。

そのため、再集計が行われている間、2組のハワイ人選挙人が、同時にイオラニ宮殿(ハワイ州政府の所在地)に集まった。 彼らは1分以内にそれぞれの候補者に投票した。ケアロハ知事代行は2通の決定書に署名し、ワシントンに送った。

決定書には、特定の大統領候補を支持すると誓約した選挙人と、その得票数の合計が記載されていた。最も多くの票を得た候補者が、その州の大統領選挙人とみなされる。

しかし、2020年の選挙人の決定文書は混乱している。これは1960年選挙と2020年選挙に大きな違いだ。

ジョージア州とウィスコンシン州の選挙人だけが、法律で義務づけられている通り、それぞれの州都で会合を開き、投票を行った。 アリゾナ州、ジョージア州、ネバダ州、ニューメキシコ州、ペンシルベニア州の選挙人から送られた書類には、法律で義務付けられている州印がなかった。

ジョージア州、ニューメキシコ州、ペンシルベニア州では、知事の承認なしに代理の選挙人が追加されており、これも法律に違反している。 最後に、ミシガン州とウィスコンシン州の選挙人書類が期限後にワシントンに到着した。

選挙人票の認証

1960年12月28日、ハワイでの再集計が完了し、ケネディが115票の差で勝利したことが示された。 ロナルド・ジェイミソン判事はケネディを当選者と宣言し、1961年1月4日、決定書に署名し、ワシントンに送付した。

ニクソンは副大統領として、「ハワイ州知事が署名した決定書に記載された選挙人を、ハワイ州の法定選挙人とみなす 」ことを提案した。 立法府はこの提案を異議なく受け入れた。

ニクソンは当時、自らの一方的な決定によって前例を作るつもりはないと述べていた。

2020年、トランプ大統領はペンス副大統領に対し、自身の権限で当該州の選挙人票を否決し、再認定のために州議会に差し戻すよう求めた。しかしペンス副大統領は、副大統領にはそのような憲法上の権限はないと主張した。

アリゾナ州の決定に反対した共和党下院議員スティーブ・スカリーズ氏は、アリゾナ州をはじめとする多くの州は、選挙結果を提出する際に、憲法上の手続きを踏んでいないと主張した。

アリゾナ州選出のポール・ゴーサー議員が、他の議員とともにアリゾナ州の決定を受け入れることに反対したため、上下両院はそれぞれの議場に戻り、この問題について協議した。

ゴーサー議員は、「憲法第2条第1節のどこにも、州務長官が選挙人を選出し、投票用紙をワシントンに送る権限は与えられていない。州知事にその権限が与えられているわけでもない。裁判所にその権限が与えられているわけでもない。その権限は州議会にのみ与えられている」と述べた。

実際、ほとんどの州ではこの手続きに従っているが、ペンシルベニア、ミシガン、ジョージア、ネバダなどの州では憲法が守られていないと主張した。

一方、選挙人票の受け入れを支持するロフグレン議員は、「1887年の選挙法では、州知事が選挙人名簿を認証し、その州に対抗する選挙人名簿がない場合(つまり、選挙人が異議ありで投票し、2つの結果がある場合)、州知事が認証した選挙人名簿をカウントしなければならない」と述べた。

「今日、バイデン氏もトランプ氏も、州知事が認証した選挙人名簿を獲得した。対抗する名簿を提出した州はなく、解決すべき争いもない」と語った。

最終的に、上下両院はジョージア州、ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州、ネバダ州、アリゾナ州、ニューメキシコ州から提出された選挙人票を受け入れ、ジョー・バイデンを選挙人票の勝者と認定することに賛成の票を投じた。

余波

1961年1月6日以降、ハワイの補欠選挙人はほとんど忘れ去られた。関係者は犯罪で起訴されることはなかった。いくつかの選挙の不正行為が知られていたにもかかわらず、国民はその結果を受け入れた。

数年後、ニクソンは1968年の大統領選挙に勝利し、1972年に再選された後、1960年の選挙について、ケネディ氏がイリノイ州とテキサス州で勝利したときに選挙不正の明白な証拠を受け取ったと書いた。

しかし、ニクソンは同僚からの再集計の要請を拒否し、後に「私がそのような行動をとれば、国民の恨みを買い、国家に計り知れない永続的な損害を与えることになると思う」と述べた。

2020年の選挙から4年近くが経過した現在も、アリゾナ州、ジョージア州、ミシガン州、ネバダ州の共和党員は、選挙人投票で選挙結果に異議を唱えるため、民主党による「政治的迫害」に直面している。

ジョージア州では、トランプ前大統領ら17人が、選挙結果を不法に改ざんし、前大統領に有利になるよう共謀した疑いで起訴されている。

トランプ前大統領とバイデン大統領は、2024年の大統領選を再び争っているのだ。

エポックタイムズの政治記者