子供の大麻中毒増加…「麻薬グミ」が要因か 合法化進む米国で

2023/08/01
更新: 2023/08/01

日本でも若者を中心に検挙者数が急増する大麻。カナダや米国では医療用や娯楽目的でのマリファナ使用を認める州もあり、個人にとって身近な商品となりつつある。しかし、こうした大麻の合法化により、中毒者が増加していることが学術誌『Addiction』に発表された研究で明らかになった。

米国とカナダにおける大麻合法化に焦点を当てた30件の研究結果によれば、国内各地で大麻が合法化されて以降、中毒リスクは3倍以上に増加したと推定される。子供に特化した研究では、合法化前の4.5倍に増加した。

シドニー大学のローズ・ケアンズ博士は「法律が変わったことで、消費者が錯誤に陥っている可能性もある」と指摘。消費者は大麻が合法であれば、その薬物は安全だと考える傾向にあるが、それは間違いだと強調した。

また、「大麻成分入り」グミやチョコレートが入手しやすくなったことが子供の中毒増加の重要な要因となっていると述べた。「大麻入り食品は中毒の危険性が高い。大麻を吸うよりも(お菓子などで)摂取した場合のほうが、作用が現れるのに時間がかかるため、多くの量を消費する傾向にあるためだ。食品は子供にとって魅力的であるため、これは懸念すべきことである」

大麻中毒は、喫煙者が大麻を吸いすぎたり、高濃度の大麻成分「テトラヒドロカンナビノール(THC)」を含む食品を食べすぎた場合に発症する。米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、歩行障害や短期記憶の障害、呼吸困難などの症状が表れることがあり、場合によっては緊急入院が必要となることもある。

CDCはまた、中毒の大半が食用に起因するものであると指摘している。このため、研究の著者は、特に小児がより大きな危険にさらされていると述べた。

米国立衛生研究所のこれまでの推計によれば、米国では10万人のうち6人が大麻中毒で入院する可能性があるという。