1月30日、ニューヨーク発の神韻芸術団が愛知県芸術劇場で最終公演を迎えた。この日、フィナーレでは万雷の拍手と歓声が満席の劇場を包み、カーテンコールが3度続いた。
今回の日本巡回公演は過去最多となる10都市で開催され、劇場によっては1か月以上前に完売するなど、チケット販売状況も過去最高を更新した。 千秋楽から一夜明けた31日、芸術団はファンの声援のなか次の開催国、韓国へと出国した。
元タカラジェンヌ「二胡が素晴らしい、エネルギーもらえた」
30日、元宝塚歌劇団団員の瀬央みつきさんが公演を鑑賞した。「雲海から人が出てきた場面が素敵でした。柔らかな衣裳とジャンプの高さが素晴らしいし、お芝居からお話が伝わってきやすかったです」
ダンサーとしての自身の活動にも収穫があったようだ。「背中の使い方や見せ方、あと私たちがなかなかしない振り付けもあって、参考になりました」
東西の楽器を融合したオーケストラの演奏にエネルギーを感じたという。「音もすごいですね。二胡が素晴らしかったです。すごくエネルギーとパワーもらって元気になりました」
「作品自体をちゃんとお見せしているのが人気の一つじゃないですかね。誰かをスターにするのではなくて、ちゃんと作品を伝えようとしているのが見えて、とても素敵です」
瀬央さんは、伝統文化の復興を掲げる神韻の理念に共感していた。「伝統は守った方がいいと思います。古き良きものを愛して新しいものを取り入れるのが良いです」
「深い精神性が表現されていた」創建一千年以上の古刹の長老が賞賛
同日、創建一千年以上の古刹で長老を務める近藤眞道さんが公演を鑑賞した。
「もちろん技術はものすごく高いんですけど、それ以上に精神性の高さを感じましたね。中国文化が本来持っている深い人間のあり方が表現されていて、非常によかったです」
舞踊だけではなく、オーケストラのレベルの高さに感心したという。「大変豊かな感情を持った、非常に優しい音が出ていました。精神性が音の中に現れていました」
「あぁ、これが昔の中国だ、と思いました。その文化を我々日本人は受け継いだでしょ。あのレベルの演奏を聞くと、日本人と中国人の心は同じだなという気がしました」
近藤さんは、中国古来の神伝文化が現代に継承されていることを感じ取っていた。
「神の下の一番大切なものをきっちりと守って立派な人間になっていくという、人間の在り方の追求が芸として表現されていた。中国五千年の伝統で育まれたそういうものが今は少なくなってきているが、皆さんがそういう考えを持って励んでおられるのがよく分かりました。それが素晴らしかった」
神韻芸術団、ファンの声援のなか出国
神韻芸術団は1月31日朝、ファンの見送りのなか関西国際空港から出発した。「来年も日本で公演してほしい」「神韻ありがとう」の歓声に、神韻アーティストは笑顔で応えた。
昨年末から約1か月にわたり日本列島を巡った神韻日本公演が幕を閉じた。3年ぶりの公演では満席御礼が続出し、急遽追加席を設けることもあった。各会場は歓声と拍手で包まれた。
演目『単騎の趙雲』で趙雲役を演じた任劭呈(ショーン・レン)さんは取材に対し、中国伝統文化に対する観客の熱烈な思いを感じ取ることができたと語った。「日本の方々のご声援に感謝しています。来年の公演ではさらに華やかな演目をお届けしたいと思います」と意気込みを見せた。
任さんにとって日本での公演は今回で3度目。「日本はどんな所も清潔で、人々は礼儀正しく、温かみを感じました」と日本に対する印象も語った。
神韻交響楽団の指揮者・林家綺(リン・ジャーチー)さんは取材で、伝統文化の復興を目指す神韻の取り組みは「観客の方々にも理解していただけたのではないか」と語った。中国本土で公演できないことを残念に思うとの声が多く聞かれるなか、林さんは「私たちも早く中国本土で公演できることを願っている」と期待を寄せた。
神韻芸術団と神韻交響楽団のアジア巡回公演は続く。2月2日から19日にかけて行われる韓国公演では3つの都市で14回の公演を行う。その後、一行は台湾に赴き、2月24日から4月2日にかけて、5つの都市で25回公演を開催する。
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