米外交官16人と家族、中国で強制隔離されていた 議員ら「安保上の懸念」

2022/10/01
更新: 2022/10/01

中国政府の厳格な感染対策のため、米外交官16人と家族らは隔離施設に強制的に入れられたことがわかった。米共和党の下院議員らはブリンケン国務長官に書簡を送り、「国家安全保障上の重大な懸念」を引き起こしたと指摘した。

米メディアによると、ジェームズ・コーマー下院議員らは29日、長官宛てに書簡を提出し、外交官の強制隔離に関する文書を保存するよう求めた。書簡は、「機密情報にアクセスできる米国人の安全を確保し」「品位に欠けた拘束を終わらせる必要がある」とした。また、「中国政府は新型コロナウイルス感染症を名目とする運動の中で、米国人外交官らの自由を奪った」と非難。

書簡によれば、米国大使館は外交官16人とその家族が強制的に拘禁されたことを確認した。議員らは、「拘禁期間中に外交官らは情報の引き渡しを(中国側に)強要されたかもしれない」と懸念している。

2020年6月、一部の駐中国外交官は、中国政府がPCR検査を通じて外交官らのDNA情報を収集している可能性があると不安視した。SNS上で、同僚の外交官が、隔離先のホテルで2週間以上閉じ込められていると投稿した外交官もいた。その後、米国務省と中国政府は、米外交官と家族の引き離しを最小限にとどめることと、PCR検査の匿名性を確保することで合意した。

米紙ワシントン・ポストのコラムニスト、ジョシュ・ロギン氏は7月21日の寄稿の中で、中国政府の感染対策は「かつてないほど外交官の権利を踏みにじった」うえ、「外交官らに恐怖を与えている」と指摘した。過去2年間、PCR検査で陽性と確認された外交官、または濃厚接触者と認定された外交官は家族と引き離され、強制隔離されていた。

ロギン氏によると、今年3月末に駐中国大使に着任したニコラス・バーンズ氏らの中国外務省への働きかけで、現在、外交官らは自宅、または米国の公館内で隔離することが可能になった。PCR検査で陽性になった外交官に対し中国側が隔離施設入りを強要した場合、米国務省は外交官を国外退避させることを対策の一つとして講じている。

3月末以降、強制隔離された米外交官はいないが、中国国外に退避した外交官は複数人いるという。

張哲
張哲
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