ロシア国防省は15日、ロシア海軍と中国海軍の艦艇が太平洋で合同巡視活動を行ったと発表した。同日にはプーチン大統領と習近平国家主席の首脳会談が予定されており、軍事面でも連携を示す意図があるとみられている。
中露海軍は昨年10月にも日本周辺で合同巡視活動を行ったほか、今年6月には日本を取り囲むように周回する動きを見せた。また、今月1日からロシアの極東地域で行われた多国間軍事演習「ボストーク2022」には中国の陸海空軍が初めて参加するなど、連携を強めている。
発表によると、中露の駆逐艦やフリゲート艦などが参加し、実弾射撃に加え、ヘリコプターを使用した訓練も実施した。
ロシア国防省は訓練の意義について「双方の協力関係を強化し、アジア太平洋地域の平和と安定を守ること」などとしている。
ウズベキスタンのサマルカンドで開かれる上海協力機構(SCO)の会合に合わせて、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平主席は首脳会談を予定している。NHKは同日の報道で、今回の共同巡視訓練は「両国の軍事面での連携を示し、アメリカなどをけん制する思惑がある」と指摘した。
ウクライナ戦場で連戦連敗のロシアに対し、習近平氏がどの程度接近するかを疑問視する声もある。米シンクタンク「カーネギー国際平和基金」副所長のエバン・ファイゲンバウム氏は13日、ロシアが撤退する瞬間を選んで接近を試みるのは「驚くほど不器用」な行為だと指摘。さらに、上海協力機構に心血を注いできた中国は、ロシアに警戒心を抱く中央アジア諸国の意向を無視することはできないと記した。
中国共産党のナンバー3である栗戦書・全人代常務委員長は7日、ウラジオストクでプーチン氏と会談し、最高指導部メンバーとして初めて公の場でウクライナ侵攻を支持する発言をした。ロシア連邦下院が公表した声明は、栗氏の発言を引用し「ロシアの国益に関わる問題、特にウクライナ情勢について、中国はロシアを理解し支持している」と述べた。
いっぽう、中国国営新華社の報道では、栗氏のウクライナ問題に関する発言に触れることはなかった。
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