中国の農業スパイが産業の脅威 情報機関と連携を=米議会委員会

2022/05/31
更新: 2022/05/31

米国連邦議会の諮問委員会である米中経済・安全保障調査委員会(USCC)の最新報告書は、中国は米国など諸外国の農業技術を横取りして、自国の農業を発展させようとしていると記述した。

同報告書は「農業スパイを通じて米国の企業秘密を取得することは、中国が農業生産を向上させ、グローバル市場でより競争力を高めるための近道となっている」と述べた。

中国の習近平国家主席は、海外資源への依存を減らすため、農業界に種子の収集を拡大するよう指示した。その結果、国内の種子イノベーションの開発や研究に資源を向けるのではなく、スパイ行為が農業界の主要な手段になっているという。

報告書は、農業部門を強化しようとする中国の取り組みは、経済的な課題であるだけでなく、米国の安全保障に対する脅威にもなると警告している。

従来、中国は遺伝子組換えされた動植物の輸入を躊躇していた。しかし、報告書は、北京が「遺伝子組換え生物の戦略的優位性をますます認め」、欧米の輸入品を利用して技術を開発し、この分野を支配しようとしている可能性があると指摘している。

同報告書によると、2021年に米国が中国に輸出した種子の総額は1億7000万米ドル(約216億円)で、種子輸出全体の約15%を占め、主に野菜、トウモロコシ、大豆、牧草がメインだった。

「中国は明らかに、農業を含むあらゆる分野で米国の影響力とリーダーシップを奪おうとしている」と、米上院農業委員会のコアメンバーのジョン・ブーズマン上院議員は米FOXニュースに語った。「我々は中国に付け入る隙を与えてはならない」と警鐘を鳴らした。

USCCの同報告書は、中国などの競合国から米国の農業産業を守るには、米情報機関が米農務省と連携すべきだと助言した。

(叶子静)