白身か黄身か、全卵か「卵はどう食べたらいいですか?」

2022/04/04
更新: 2022/04/04

卵とくに鶏卵は、人間の生活に欠かせない重要な食べ物です。
一部には、「コレステロールが高い」という理由で卵白だけを食べ、卵黄を遠ざけている人もいます。「卵白製の食品」も市販されています。

 

「卵白だけを食べる」は正解か

では実際に全卵、卵白、卵黄が人体にどんなメリットあるいはデメリットがあるのか、以下に見てみましょう。

米国の管理栄養士であるテレサ・シャンク氏は、90年代から2000年の初頭までを振り返り、「当時は、低脂肪志向のため、卵白だけを食べることに人気が集まりました。しかしその後、健康に対する不飽和脂肪酸のメリットが認識されるようになりました。今では、卵白だけ食べるのが良いとは言いかねます」と語ります。

鶏卵1個の卵白には、タンパク質が約3g含まれています。一方、全卵1個を食べると、18gのタンパク質が得られます。

卵白には一定量のタンパク質は含まれていますが、タンパク質以外の栄養素はほとんどありません。それらは全て卵黄に含まれているのです。

では、卵黄には一体どんな栄養が含まれているのでしょうか。

卵に含まれる脂肪は、ほとんどが卵黄に集中しています。卵黄の脂肪は一価不飽和脂肪酸が主で、その50%以上がオリーブ油の主成分であるオレイン酸です。

卵黄に含まれる栄養素としては、タンパク質のほかに、鉄、ビタミンA、セレン、ビタミンB群、ビタミンD、ルテイン、カロテノイド、ゼアキサンチン、葉酸などがあります。いずれも人体に不可欠な物質です。

また卵黄は一価不飽和脂肪酸の良い供給源であるため、心臓病のリスクを軽減するのに役立つなど、多くの健康上のメリットに関係しています。

一方、卵黄には多価不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸も含まれています。「飽和脂肪酸は心臓病のリスクを高める」と言われていますが、21件の研究のメタ解析によると、この説を裏付ける十分な証拠は得られませんでした。

鶏卵1個の卵白には、タンパク質が約3グラム含まれています。(Shutterstock)

そこで「卵白だけを食べる」が有益かどうかについて再度触れますが、総合的な判断としては、免疫系、脳、心臓を含む体全体の健康にとって、卵白だけよりも全卵を食べたほうが良いと言えます。

 

「卵黄のコレステロール」をどう考えるか

卵黄について、最も議論を呼んでいるのはコレステロール含有量が比較的高いことです。
卵黄100gのコレステロール含有量は、約1510ミリグラムと測定されています。

しかし、それが健康にマイナス影響を及ぼすかというと、通常の食事による卵黄の摂取では血中コレステロール値に明らかな影響を与えず、心血管疾病などを引き起こす危険因子にならないことが科学的証拠によって示されています。

また、卵黄にはレシチンが豊富に含まれています。レシチンは血中コレステロールを調整する作用がある物質です。

つまり卵黄はコレステロールの含有量は比較的高いものの、卵黄そのものはコレステロール値を一定に調整する効能があるのです。

高コレステロール患者が控えるべき食物は、例えば豚の脳、イカ、脂身、動物の内臓などです。豚の脳、牛の脳のコレステロール含有量は卵黄の約2倍です。

そうした他の食材のリスクも含めて考えると、卵を食事から完全に排除するのではなく、食べる卵黄の量を把握することが重要だと言えます。

朝食の定番である目玉焼きには、野菜サラダなど食物繊維の豊富な食材を添えてください。(Shutterstock)

卵の不足を補う食材をプラスしましょう

では、卵はどのように食べたら良いのでしょうか。

米国人の朝食によく見られるような、「ベーコンチーズをテキサストーストに挟み、毎朝卵4個のオムレツを食べる」では、栄養バランスがあまり良くありません。

卵にはない栄養成分を含む食品を、卵とペアにすることが薦められます。食物繊維を補うため野菜料理やサラダを加え、卵料理にはアマニ油をかけると良いでしょう。

なお、タンパク質の生体利用率は、生卵が51%であるのに対して、加熱された卵では91%になります。卵は加熱調理してから食べるようにしてください。

(翻訳編集・鳥飼聡)