中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)会期中、北京駐在のスペイン大手新聞社ABCの特派員が警察官の家宅訪問を受け、報道内容の指図を受けていたことがわかった。警察の行為は「脅迫だ」と特派員はツイートした。ボイス・オブ・アメリカ(VOA)16日付が報じた。
VOAによると8日、ABCのハイメ・サンティルソ記者の北京の自宅に警察官3人が訪ね、報道内容について「指示」した。当時、不在だった同氏の代わりに妻が対応したが「悪いニュースだけでなく良いニュースも含めて、バランスのとれた(全人代の)報道をするように」と要求したという。
とても「親切」に接してきたが「その核心は脅迫だ」とサンティルソ氏は語る。「ジャーナリストの記事内容に影響を与えるという明確な目的で警察官が私邸に踏み込んだ。決して一般的な行為ではない」とツイートした。
国際ジャーナリスト連盟は「中国(共産党)の路線に従わない国のジャーナリストに対して、嫌がらせや脅迫を行い、退職や転勤に追いやっている」と指摘。「戦狼外交」と国家からの圧力を兼ねあわせて「メディアの報道内容をコントロールし、外国人ジャーナリストの独立性を攻撃している」と非難した。
中国外国人記者クラブ(FCCC)が2月に発表した報告書によると、中国当局からの脅迫や嫌がらせにより中国で活動する外国人特派員の数が大幅に減少した。「裁判に掛けられた外国人の出国を禁止する」恐れもあるとし、今後、中国の外国人記者はさらに減るだろうと危機感を示した。
中国共産党は2020年12月、国家安全保障を危険にさらした疑いで米通信社ブルームバーグ北京支局のヘイズ・ファン氏を拘束している。
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