[東京 2日 ロイター] – 松野博一官房長官は2日午後の会見で、極東ロシアの石油・天然ガス開発事業「サハリン1」への日本政府としての対応方針について、エネルギー安定供給に支障を来さない前提で主要7カ国(G7)と歩調を合わせて判断していくと述べた。
サハリン1を巡っては、米石油大手・エクソンモービルが1日、同事業から撤退するため操業停止に向けた作業を開始したと発表。「ウクライナ領土の一体性を侵害し、ウクライナ国民を危険にさらすロシアの軍事行動を非難する」との見解を示していた。
松野官房長官は、エクソンの動きに関する報道は承知しているが同社の判断に対してコメントする立場にないと指摘。ロシアへの国際的な制裁強化の動きに合わせて「わが国のエネルギー安定供給に支障を来さないという大前提の下で、G7とも歩調を合わせ日本政府の関与のあり方を検討していく」と述べた。
また、日本の原油輸入量全体のうちサハリン1からの輸入量は約1%だが「このプロジェクトの動向がわが国のエネルギー供給に影響をあたえるのかは現在、精査中である」と説明した。
サハリン1は、日本の官民で作るサハリン石油ガス開発が3割の権益を保有。同社には経産相が50%、伊藤忠商事グループが約16%、石油資源開発が約15%、丸紅が約12%、INPEXが約6%出資している。エクソンモービル、ロシア石油大手のロスネフチ、インド石油天然ガス公社も同事業に参画している。
一方、2日午前10時23分ごろ、ロシアのヘリコプターと推定される1機が北海道根室半島沖の日本の領海の上空を侵犯したことについて松野官房長官は、ロシア政府に対し外交ルートを通じて「厳重に抗議し、再発防止を求めた」と述べた。
また、今年2月以降、ロシアがオホーツク海など日本周辺で軍事行動を活発化させていることに対しては「現下の状況の下で、わが国周辺の海・空域でロシアの行動が活発化していることは懸念すべきもの」と指摘。日本政府として警戒・監視・情報収集に万全を期していくとした。
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