世論調査機関リサーチ社が1日に発表した北京冬季五輪に関する世論調査で、カナダ人の47%が意識的に大会の観戦を控えると答えていたことがわかった。また、カナダの代表選手の安全や健康についても7割が懸念を示した。
調査は1月21日から23日にかけて、カナダの成人1000人を対象に行われた。
2月4日に開幕した北京冬季五輪では、カナダや米国、オーストラリアなど数カ国が、中国共産党による人権侵害を理由に大会に外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」を表明している。
オンライン世論調査によると中国共産党による人権侵害を理由に59%が「完全ボイコット」を支持すると答えた。ケベック州とブリティッシュ・コロンビア州では「完全ボイコット」の支持率が66%に上った。
国際人権NGOフリーダムハウスが2021年に発表した報告書によると、中国共産党は「2018年に施行した『宗教事務条例』改正法の下で、中国全土の仏教徒、キリスト教徒、イスラム教徒による宗教活動への規制を強化し、法輪功への迫害も歯止めがかからない状況にある」と指摘。中国における自由度を100点満点中9点と評価し、「世界で最も人口の多い独裁国家」と表現した。
調査では、72%が五輪大会に参加するカナダ人選手の健康と安全に懸念を示していることもわかった。中国共産党の人権侵害について北京五輪開催中に「選手は自由に抗議の意思を示すことが認められるべき」と答えた回答者は72%に上った。
北京五輪では検査で陽性となった選手への待遇に批判の声が上がっている。ロシアのバイアスロン女子ワレリア・ワスネトコワ選手は、陽性判定後、隔離施設へと移されたが衛生的な問題などでろくに食事がとれていないと自身のインスタグラムで訴えた。「顔色は青白くなり、腹痛などの体調不良で毎日泣いている」と心境をつづった。
大会前には中国国内の中共ウイルス(新型コロナ)感染拡大の情報を大紀元に提供したとして、中国共産党は法輪功学習者11人に最長8年の有罪判決を下した。米国務省は迫害の即時停止を呼びかけている。
アムネスティ・インターナショナルの中国担当研究員アルカン・アカド氏は1月14日、中国共産党が人権状況を向上すると約束した2008年の北京夏季五輪以降も同国の人権侵害は悪化の一途をたどっていると指摘。「国際社会は(中国共産党の)プロパガンダに加担してはならない」と警告する声明を発表した。
北京冬季五輪大会組織委員会の高官は中国の人権問題について発言する選手に対し、参加資格を取り消すなどの処分を行うとしている。
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